パルチザン(ゲリラ/レジスタンス)とは:定義・国際法上の地位と捕虜基準
パルチザン(ゲリラ/レジスタンス)の定義と国際法上の地位、捕虜基準をわかりやすく解説。歴史・法的判断の実例と最新議定書も網羅。
パルチザンとは、国家の正規軍に属さない武装した戦闘集団や戦士を指す一般的な呼称です。語源はイタリア語の「partigiano(党派の人)」に由来し、歴史的には占領や抵抗、反乱などの状況で活動するゲリラやレジスタンス運動を指して用いられてきました。国際法上、「パルチザン」という用語自体が独立した法的地位を与えられるものではなく、個々の戦闘員がどのような法的地位(正規戦闘員=combatant/捕虜(POW)としての保護を受けるか、あるいは違法戦闘員として通常の刑事処罰の対象となるか)は、既存の国際人道法の基準に照らして判断されます。
国際人道法における捕虜(POW)認定の基準
1949年のジュネーヴ第三条約(捕虜に関する条約)では、民間人と区別される戦闘員・捕虜として保護を受けるための基準が定められています。特に、民兵や志願兵、組織的なレジスタンス運動の構成員が捕虜に当たるためには、次の4つの条件を満たす必要があるとされています(同条約 Article 4 の趣旨)。これらは、国際慣習法上もしばしば参照されます。
- 組織の指揮系統が存在し、指揮官が部下に対して責任を負っていること(責任ある指揮)。
- 遠方からでも識別できる一定の標識や区別できる外観(固定的な識別標章)を有していること。
- 武器を公然と携行していること(携行の公開性)。
- 作戦遂行に当たって戦争の法と慣習(交戦法)を遵守していること。
1977年の追加議定書による修正(解釈の緩和)
1977年の第一追加議定書(Additional Protocol I)は、非正規の闘争形態を考慮し、運動の実態に合わせた柔軟な解釈を明記しました。具体的には、すべての時間帯で常に固定の標章を着け続けることは実務上困難である場合があるため、「戦闘行為中および敵に見える間は武器を公然と携行していること」が十分であると解釈できる旨が示されています(同議定書の該当規定)。また、第一追加議定書は民族解放闘争など特定の類型の武力闘争に対して、一定の法的保護を拡大する趣旨も含まれています。
捕虜に認定されない場合の扱いと最低限の保護
上記の基準を満たさない者は、国際人道法上「捕虜」としての地位を直ちに得られない可能性があり、当該国の刑法に基づいて違法行為で処罰されることがあります(いわゆる「違法戦闘員」)。しかし、たとえ捕虜として認められない場合でも、すべての被拘束者には人道的取扱いが保証されます。具体的には:
- ジュネーヴ諸条約の共通第3条(国際的でない武力紛争に適用)や習慣国際人道法に基づき、拷問や残虐な扱い、恣意的な処罰は禁止される。
- 捕虜と認定されるかどうかが疑わしい場合、拘束国は速やかにその地位を判断し、正当性が争われる場合は手続きにより決定しなければならない(ジュネーヴ条約第5条が参照する仕組み)。
実務上の問題点と歴史的背景
パルチザンやゲリラは、都市部や占領地で民間人と近接して活動することが多く、①識別標章の着用が難しい、②奇襲戦術で戦闘行為が短時間に行われる、③指揮系統が流動的である、などの理由で正規戦闘員との区別が困難になりやすいという実務上の問題があります。その結果、戦時における捕虜認定や処罰、民間人の安全確保に関して重大な紛争や人権侵害が生じることが歴史的に見られます(例:第二次世界大戦下のレジスタンス運動やその後の国内反乱など)。
まとめ(ポイント)
- 「パルチザン」は一般語であり法的カテゴリではない:国際法は「パルチザン」という言葉そのものに固有の地位を与えていない。個々の戦闘員が国際人道法上どのような保護を受けるかは、既存の条約や慣習法に照らして決まる。
- 捕虜(POW)としての4要件:責任ある指揮、識別標章、武器の公然携行、戦争法の遵守の4点が伝統的基準。
- 1977年の議定書での柔軟化:戦闘の実態を考慮し、戦闘中や敵から見える間に武器を公然と携行していれば足りるといった解釈上の緩和が示された。
- 保護は限定されない:たとえ捕虜として認められなくても、拘束された者は最低限の人道法上の保護を受ける権利がある。
以上は一般的な解説であり、具体的な事件や紛争では条約文や関連する判例・国家慣行に基づく個別の法的判断が必要になります。

武器の使い方を教えるゲリラ隊長(1941年、スモレンスク近郊)。

1941年、パルチザンに分類された人たちを射殺するドイツ兵たち。
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