透磁率とは?定義・単位(H/m)・相対透磁率と強磁性材料の特徴
透磁率の定義と単位(H/m)、相対透磁率の計算方法、鉄やニッケルなど強磁性材料の特徴を図解でわかりやすく解説。
透磁率(記号 )とは、ある物質が磁場をどれだけ通しやすいか(磁場をどれだけ「密に」するか)を表す物性値です。電流や磁石によって生じる磁界の強さ H と、それに対応する磁束密度 B の関係を表す量で、基本式は次のようになります。
B = μ H
透磁率 μ の単位はヘンリー毎メートル(H/m)です。磁気回路や誘導コイル、変圧器など磁界を扱う設計では重要なパラメータとなります。
定義と自由空間の透磁率(μ0)
真空(自由空間)には一定の透磁率が定義されており、これを自由空間の透磁率と呼びます(記号 )。物理定数としての値は
μ0 = 4π×10−7 H/m ≒ 1.25663706×10−6 H/m
(注:本文中に表示されている別表現 と同値になるよう注意して扱います。)
相対透磁率 μr と磁化率(χm)
物質の透磁率 μ は、自由空間の透磁率 μ0 に対して比で表すことが多く、この比を相対透磁率(記号 )と言います。定義は次のとおりです:
μr = μ / μ0
磁化率(磁性率)χm を用いると、μ = μ0 (1 + χm) となり、したがって μr = 1 + χm です。多くの物質では μr はほぼ 1(=透磁率が自由空間とほぼ同じ)であるため、通常の設計では μ0 のみを考慮することが可能な場合が多いです。
強磁性材料(フェロ磁性体)の特徴
例外的に μr が大きくなるのが、強磁性体と呼ばれるクラスの材料です。これらは常温で大きく磁化されやすく、以下のような特徴を持ちます。
- 非常に大きな相対透磁率(例:鉄はおよそ 5000、ニッケルはおよそ 600 といった代表値。合金や特殊処理で μr がさらに高くなるものもあり、場合によっては空間の 105〜106 倍に達することがある)。
- 磁化の非線形性:磁界(H)と磁束密度(B)の関係が線形ではなく、飽和(saturation)やヒステリシス(残留磁化と保磁力)を示す。
- 周波数依存性:高周波では渦電流損失や磁心損失によって有効な透磁率が低下する。
用途と設計上の注意点
透磁率の違いは以下のような応用・設計に直結します。
- 変圧器やコイルの磁心材料選定:高い μr は磁束を集中させてインダクタンスを大きくする。
- 磁気シールド(磁気遮へい):高透磁率材料で外部磁場を逃がすことで内部空間を保護する。
- センサやメモリデバイス:磁気特性の非線形性やヒステリシスを利用する設計がある。
ただし、強磁性材料を使う場合は飽和やヒステリシス、温度依存性、周波数損失(コア損)などの影響を考慮する必要があります。
測定方法と周波数依存性
- 静的測定(低周波):B–H 曲線を測定して初透磁率や最大透磁率、保磁力などを評価する。
- 交流・高周波測定:インピーダンス法や共振法を用いて周波数依存の有効透磁率を求める。高周波では渦電流や磁心損失が現れるため、実効 μ が低下する。
- 実用上の注意:成形や熱処理、合金組成により μr は大きく変化する。例えば薄板積層や粉末芯など構造を工夫して高周波損失を抑える手法がある。
まとめ
透磁率は磁界の伝わりやすさを表す基本物性で、単位は H/m、記号は です。相対透磁率 μr は μ を自由空間の透磁率 μ0 で割った値で、一般材料では μr ≒ 1 ですが、強磁性体では数千〜数百万倍に達することがあります。設計や応用では周波数依存性、非線形性、ヒステリシスなども含めた評価が必要です。
質問と回答
Q:透磁率とは何ですか?
A:透磁率とは、同じ量の電流を流した場合の磁界の密度を表す物質の性質のことです。
Q: 透磁率はどのように測定するのですか?
A: 透磁率は、1メートルあたりのヘンリー数(H/m)で表され、その記号はμです。
Q: 空の空間の一定の透磁率は何と呼ばれていますか?
A:何もない空間の一定の透磁率は、自由空間の透磁率またはμ0と呼ばれています。
Q: 相対的透磁率はどのように測定するのですか?
A:相対透磁率は、材料の透磁率を自由空間の透磁率(μr=μ/μ0)で割ることにより算出できます。
Q:通常より高い比透磁率を持つ材料はありますか?
A:はい、鉄(5000)やニッケル(600)のように、強磁性体で他の材料よりはるかに高い比透磁率を持つ材料があります。また、特殊な設計により、空洞の100万倍の比誘電率を持つ物質もあります。
Q: 磁場を計算する際に、材料の比誘電率を考慮する必要があるのか?
A:いいえ、ほとんどの材料は比誘電率が1に近いので無視でき、自由空間の比誘電率が代わりに使われます。
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