雪崩は、雪に関係する自然災害である。山に雪が積もると、その雪が落ちてきて、行く手にあるものに被害を与えることがあります。これを雪崩という。雪崩が話題になるのは、スキーヤーなどウィンタースポーツをしている人たちにとって危険だからです。
大きな雪崩は、石や岩、木などを一緒に運んでくることがあります。その下に人が埋まってしまうこともあります。救助隊がすぐに見つけられなければ、窒息(十分な空気が得られない)や低体温症(凍えるような寒さ)で死亡することになります。
雪崩で助かる確率は次の通り。
雪崩の定義と種類
雪崩は、雪の塊が斜面を一気に滑り落ちる現象で、規模は小さなものから山麓まですべてを押し流す大規模なものまでさまざまです。代表的な種類は次の通りです。
- スラブ雪崩(板状雪崩):強固な表層が弱い層の上で一気に剥がれて滑るもので、人が引き金になることが多く、最も危険で破壊力が大きい。
- ルース雪崩(ゆる雪雪崩):表面の新雪やゆるい雪が散開しながら落ちる小規模な雪崩。
- グライド雪崩:雪全体が緩やかに滑るもので、時に非常に大きくなる。
- 雪崩崖(コーニス崩落):尾根のコーニスが崩れ落ちて起こる雪崩。
起こる主な原因と要因
- 斜面の傾斜角:雪崩は一般に30〜45度の斜面で多く発生する。
- 積雪の不安定な層構造:新雪の下に古い硬い雪や弱い結晶(ホーン、スサン)などがあると不安定になる。
- 急激な気象変化:大量の新雪、強い風による吹きだまり(ウィンドスラブ)、急激な気温上昇(融雪ストーム)など。
- 地形要因:凹地やサイドスロープ、尾根下の好適な集雪地形は危険。
- 人的トリガー:バックカントリーでの滑走や踏み込みが引き金になることがある。
- 音や振動:稀ではあるが、大きな音や地震が誘発する場合もある。
危険性 — なぜ命に関わるのか
- 埋没による窒息:雪は非常に圧縮されやすく、呼吸空間が失われる。埋没直後の数分が生死を分ける。
- 外傷:木や岩、雪の塊にぶつかって重傷や骨折を負うことがある。
- 低体温症:雪と風の中で早く体温が奪われる。特に長時間埋没すると致命的。
- 救助の遅れ:埋没者の位置特定が難しく、発見・掘り出しに時間がかかると助かる確率は急速に下がる。
雪崩での生存確率(目安)
埋没された場合の生存率は時間経過で急速に悪化します。目安としては次の通りですが、状況や埋まり方で変動します。
- 埋没から15分以内:生存率が最も高く、おおむね約80〜90%程度(ただし外傷の有無で変わる)。
- 15〜35分:生存率は急激に低下し、おおむね約30%前後に落ちる。
- 35分以上:生存率はさらに低くなり、一桁台にまで下がることが多い(低酸素・低体温で致命的になる)。
注:上記は一般的な統計的目安であり、個別事例では大きく異なることがあります。迅速なコンパニオンレスキュー(同伴者による救助)が最も重要です。
事前の対策・装備
- 情報収集:出発前に地元の雪崩情報・気象予報・積雪レポートを確認する。危険度が高ければ行動を中止する。
- 適切な装備:最低限、雪崩ビーコン(トランシーバー)、プローブ(プローブポール)、ショベルを携行する。可能ならエアバッグ式バックパックを装着する。ビーコンは常にON。
- ビーコンの練習:実際に使う練習を定期的に行い、捜索プロセスを身につける。
- 仲間とのルール:単独行動を避け、各自の装備を確認し合う。危険箇所では1人ずつ通過するなどルールを決める。
- 計画と撤退ライン:リスクを評価し、撤退基準(風・降雪量・可視条件など)をあらかじめ決める。
現場での安全な行動
- 斜面横断時は等高線に沿って短時間で横断する。集団で斜面にいるときは間隔を空ける。
- 危険地形(急な凹地、トラフ、東向き朝の斜面など)を避ける。尾根伝いに移動するのが比較的安全。
- 斜面評価:傾斜角を角度計で測るか目安(30度以上は注意)。最近の崩壊跡、割れ目、サクサクと崩れる音(「ウームフ」音)は要注意。
- 不安がある場合は無理をせず撤退する判断を優先する。
雪崩に巻き込まれたときの対処(自分が巻き込まれた場合)
- できるだけ早く斜面の脇に逃げる・横に移動して雪崩の流れから離れる。
- 滑り落ち始めたら、手足を使って「泳ぐ」ようにして表層にとどまるよう試みる(特にルース雪崩の場合)。
- 流されながら頭を守るために腕を使う。大きな障害物や岩から離れるように姿勢を工夫する。
- 止まったらできるだけ大きな空間(呼吸空間)を作り、口や鼻を覆って雪の侵入を防ぐ。腕を胸の前にクロスして空間を確保する方法が推奨されることがある。
- パニックを抑え、呼吸をゆっくりにする。埋没後は自分で脱出できるか素早く試みるが、深く埋まれば待機して救助を待つ。
同伴者が巻き込まれたときの対処(コンパニオンレスキュー)
- 直ちに安全な場所に移動し、二次被害を避ける。斜面の上方に残留しない。
- ビーコンを使った捜索を素早く開始する(ビーコンはON、捜索モードに切替)。
- ビーコン捜索ができない場合は「最後に見た場所」を基準にして探す。発見点はマーキングする。
- プローブで格子状に探査する(探査間隔は通常1〜2m)。発見したら即座にショベルで掘る。掘削は頭部を最優先に掘る。
- 大人数で効率的に掘る。掘る位置は顔向きに注意して空気を確保できる向きで掘る。
- 救助は時間との勝負。可能なら救助要請(地元の救助隊や警察)を行う。
雪崩予報と情報の利用
- 日本国内では各地の気象台や雪崩情報を提供する機関がある。出発前に必ずチェックする。
- 当日の天気、風向風速、新雪の深さ、過去数日の積雪変化を総合的に判断する。
- 危険度が高い地域は地図や現地表示で確認し、立ち入りを避ける。
教育・訓練の重要性
- 雪崩講習やビーコン訓練、コンパニオンレスキュー実習に参加して実践的技能を身につける。
- 定期的に装備点検(ビーコンの電池、プローブの継ぎ目、ショベルの状態)を行う。
- バックカントリー活動は経験者と行動するか、ガイドを利用する。
その他の注意点
- 豪雪地域の道路や建物に対しても雪崩対策(防雪柵、雪崩堤、植生保全)が行われている。山や斜面の周辺ではこれらの構造物にも注意する。
- 雪崩は突発的かつ局所的なため「絶対安全」は存在しない。リスクを減らすための準備と判断が不可欠。
雪崩は短時間で大きな被害をもたらします。適切な情報収集、装備、判断力、そして仲間との協力が生存率を大きく左右します。バックカントリーや雪山に入る際は、事前準備と継続的な学習を怠らないようにしてください。

