圧電体(圧電素子)とは?原理・特性・加工・応用をわかりやすく解説

圧電体(圧電素子)の原理・特性・加工法・実用例を図解でわかりやすく解説。発電・センサー・精密機器への応用と設計ポイントを初心者向けに紹介。

著者: Leandro Alegsa

圧電体(圧電素子)は、力や変形を加えると電気(電圧・電荷)を生じ、逆に電圧を加えると機械的に変形する性質を持つ材料です。この「圧電効果」はセンサーやアクチュエータ、超音波発生器、エネルギーハーベスティングなど幅広い用途で使われています。

圧電効果の原理

  • 物質内部の結晶構造に中心対称性がないとき、機械的な歪み(圧縮・引張・せん断)が内部の電荷分布を変化させ、電荷や電圧を発生します(これを「直接圧電効果」と呼びます)。
  • 逆に、外から電界(電圧)を加えると結晶格子が変形する現象は「逆圧電効果(コンバース効果)」です。これにより圧電素子はアクチュエータとしても利用できます。
  • 圧電特性はテンソル(dijなど)で表され、作用する力の方向と発生する電荷・変位の方向の組合せに依存します。単純化すると、発生する電荷量Qは、材料定数dと加えた力Fにほぼ比例し、Q ≈ d·F と表せます。発生する電圧はこの電荷を電極間の静電容量で割った値になります(V = Q/C)。
  • ひずみの大きさは一般に非常に小さく、材料や形状によりますが10^-4〜10^-3(0.01〜0.1%)程度の変形が多く見られます(高性能材料や駆動条件によって変わります)。

主な材料と特性

  • 結晶系:石英(SiO2)、ローシェル塩、トルマリンなど。温度安定性やヒステリシスが小さいものが多い。
  • セラミックス系:PZT(鉛ジルコン酸チタン酸塩)やBaTiO3など。高い圧電定数(感度)を持ち、工業用途で最も多用されるが、脆く高温での特性劣化や有害物質(鉛)問題に注意が必要。
  • 高分子系:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)など。柔軟で薄膜化しやすく、曲面やウェアラブル用途に適するが、圧電特性はセラミックスより小さい。
  • 特性指標:d33(縦方向の圧電係数)やg33(電圧定数)、耐圧・共振周波数・機械的Q値・温度依存性などで評価されます。

加工・製造とドメイン処理(ポーリング)

  • 圧電セラミックスは粉末を成形し焼結することで作られ、焼結温度や焼結後の焼入れ処理が材料特性に大きく影響します。粒径制御やドーピングによって特性を最適化します。
  • ポーリング(分極処理):高電界を印加し温度を上げることで微小な分極ドメインを整列させ、圧電特性を発現させます。これを行わないと圧電活性は発現しません。
  • 薄く切断・研磨することで感度や周波数特性を調整できます。超音波トランスデューサでは厚さ方向のモードを利用するため、厚さ精度が重要です。
  • 電極付けや接合、封止などのプロセスも性能や耐久性に直結します。接着剤やはんだ、導電ペーストの選定に注意が必要です。

代表的な応用例

  • センサー:衝撃センサー、力センサー、振動・加速度センサー、圧力センサー、タッチスイッチなど。
  • アクチュエータ:精密位置決め(ピエゾステージ)、インクジェットプリンタの噴射素子、バルブ駆動など。
  • 超音波機器:医療用超音波プローブ、非破壊検査用トランスデューサ、ソナー。
  • エネルギーハーベスティング:振動や歩行などの機械エネルギーを電気に変換してセンサ駆動や小型電子機器の電源に利用(実用化には整流・蓄電回路と組合せが必要)。
  • 日用品・産業機器:電子ライターの発火素子、圧電ホーン、ピエゾ式点火、ガスバーナーのフレーム検出など。

設計上のポイントと注意点

  • 出力(電圧・エネルギー)は材料定数に加え、素子の形状、電極配置、負荷(接続回路)によって大きく変わります。電荷を電圧に変換するときは静電容量が重要です。
  • 圧電セラミックスは脆いので、過大な機械的衝撃や曲げに弱く、割れやすい点に注意が必要です。
  • 温度制約:キュリー温度(分極が失われる温度)を超えると圧電特性は失われます。高温下での使用や温度サイクルには注意。
  • 長期安定性:高電界や経時的なドメインの再配列で特性が変化することがあるため、用途に応じた寿命評価が必要です。
  • 安全面:高電圧でポーリングや駆動を行う場合は絶縁対策と安全手順を守ること。

まとめ(実務的な視点)

圧電材料は、微小な変形で電気を生じ、逆に電圧で微小変形するというユニークな性質を持ち、多くのセンサー・アクチュエータに用いられます。材料選定(セラミック/結晶/高分子)、素子形状、加工・ポーリング条件、回路設計(整流・蓄電・インピーダンス整合)などを総合的に設計することが、目的に合った性能を引き出す鍵です。



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