Polity IVとは:国家の民主主義度と独裁性を測る政体評価指標
Polity IVとは国家の民主度と独裁性を数値化する政体評価指標。米日中北朝鮮など各国ランクと変動を分かりやすく解説します。
Polity IVは、Center for Systemic Peace(CSP)が作成した政体評価データの一つで、原則として人口50万人以上の主権国家を対象に毎年評価を行います。各国の統治形態を定量的に比較できるように、最高で+10から最低で-10までのスコアで政体の「民主主義度/独裁性」を示します。評価は学術研究や比較政治学の分野で広く使われてきました。
スコアとカテゴリー
Polityスコアの範囲:+10(最も民主的)〜 −10(最も独裁的)。この連続指標をもとに、一般に次の5つのカテゴリーに分類されます。
- 完全民主主義(+10):制度的に民主的な要素が強く、権力分立や競争的選挙などが整備されている。
- 民主主義(+6〜+9):選挙や政治的競争が機能するが、完全民主とは言えない点がある。
- オープン・アノクラシー(+1〜+5):民主的要素と権威主義的要素が混在する過渡的/混合型の政体。
- 閉鎖的アノクラシー(−1〜−5):民主的制度が事実上弱体化し、権威主義的傾向が強いが完全な独裁には至らない政体。
- オートクラシー(−6〜−10):強い中央集権や選挙の欠如など、独裁的な政治体制。
評価の要素(どのようにスコアが決まるか)
Polityのスコアは複数の制度的側面をコーディングして合成することで算出されます。主に次のような要素が考慮されます:
- 行政トップ(元首・政府首班)の選出過程の開放性と競争性
- 行政権に対する制度的制約(立法・司法などによるチェックの程度)
- 政治参加の競争性や規制の程度(政党・選挙の自由度など)
これらの項目をコーディングして合成することで、最終的な-10〜+10のスコアが得られます。
主な例(各分類の代表的な国、例示)
以下は、ある時点でのPolity分類に基づく代表例です(代表的な例を示すもので、最新の年次値はデータで確認してください)。
- 完全民主(+10)例:米国、カナダ、英国、ドイツ、日本(制度的に高得点を得る国の代表例)
- 民主(+6〜+9)例:メキシコ(+8)、ブラジル(+8)、フランス(+9)、トルコ(+9とされる時期もあった) 、インド(+9とされる時期もあった)
- オープン・アノクラシー(+1〜+5)例:ナイジェリア(+5)、ベネズエラ(+4)、ロシア(+4とされる時期もあった)
- 閉鎖的アノクラシー(−1〜−5)例:モロッコ(−3)、エジプト(−3)、アフガニスタン(−1とされる時期もあった)
- オートクラシー(−6〜−10)例:キューバ(−7)、シリア(−9)、イラン(−7)、中国(−7)、北朝鮮(−10)
利用上の注意・限界
- 制度的側面に着目:Polityは主に制度(制度上の選挙の有無、権力分立の程度など)を定量化するため、非公式な権力構造や腐敗、選挙の不正といった実態を十分に反映しない場合があります。
- 規範バイアス:自由民主主義を基準にした評価基準が組み込まれているため、文化的・歴史的背景を必ずしも中立に扱えないとの批判があります。
- 移り変わりの速い状況の反映:年次データでは急速な政治変動(クーデターや突然の制度変更など)をタイムラグなく反映しにくいことがあります。
- 対象の制限:人口500,000未満の微小国家などは原則対象外となるため、すべての「国」を比較できるわけではありません。
実務的な使い方の提案
Polityは政体の制度的な差を定量的に比較するうえで有用ですが、単独で結論を出すのは避け、以下のように他の指標と組み合わせることが推奨されます:
- Freedom House(政治的自由・市民的自由の評価)やV-Dem(多様な民主主義指標)などと併用する
- 定性的な国別分析やニュース、専門家の報告と照合する
- 時間的変化を見る際は、複数年分の推移を確認し、急変点の背景を評価する
まとめると、Polity IVは政体の制度的特徴を比較・分析するための有力なツールですが、その解釈にはデータの性格と限界を踏まえる必要があります。
百科事典を検索する