クォーターバック(QB)とは 基本役割とプレー解説 有名選手を紹介
クォーターバック(QB)は、アメリカンフットボールとカナダンフットボールにおける主要な攻撃ポジションの一つです。クォーターバックはオフェンスの中心に位置し、センターの後ろでスナップ(ボールを受け取る動作)を受けてプレーを開始します。チームの司令塔としてプレーを組み立て、プレー開始前の指示出しや戦術変更(オーディブル)を担うことが多く、試合におけるチームの顔となる選手が多いポジションです。チームの攻撃を統率し、パスを投げる、ランニングバックにハンドオフする、自らボールを持って走るなど、さまざまな役割を果たします。こうした理由から、トム・ブレイディ、ジム・ケリー、ペイトン・マニングなどが有名です。
基本的な役割
- プレーの開始:センターからスナップを受け取り、攻撃をスタートさせる。
- パスの実行:レシーバーへの正確なパスを投げる。読んだ守備に応じてターゲットを変える。
- ハンドオフ:ランニングバックへボールを渡し、地上攻撃を支援する。
- 自らのラン:ポケットが崩れたときや設計プレー(QBスクランブル、オプション)で自ら走る。
- プレーコールとオーディブル:試合状況や相手ディフェンスに応じてプレーを変える判断を行う。
主なプレーの種類
- ショットガン(スナップが離れて構える)/アンダーセンター:ショットガンはパッシングに有利、アンダーセンターは手短なランや速いスナップに向く。
- パスプレー:短いダム(ダムとは短距離のパス)、中距離、ロングパスなど多彩なルートを狙う。
- ランプレー(ハンドオフ):RBに渡して走らせる従来のラン。
- プレイアクション:偽のハンドオフでパスを通しやすくする戦術。
- オプション/リードオプション:ディフェンスの反応を見て、ハンドオフするか自分で走るか選択する。
プレー前の仕事(プリスナップ)
- 相手ディフェンスの配置を素早く読む(ブリッツ、ゾーン、マンカバーなど)。
- ラインとのコミュニケーションでブロッキングの調整を行う。
- 必要に応じてオーディブル(プレー変更)を指示し、チームを統率する。
必要なスキルと身体的特徴
- 判断力・読解力:ディフェンスを分析し、最適なプレーやターゲットを素早く選ぶ能力。
- パス精度とスローイングメカニクス:正確なボールコントロール、タイミング。
- フットワークとポケットムーヴ:プレッシャーの中でポケットを保ち、位置を変えて投げられる技術。
- リーダーシップ:チームを引っ張る声かけ、冷静さの維持。
- 耐久性と体力:ヒットを受けることが多いため、肉体的な強さと回復力が重要。
評価指標(スタッツ)
- パッシングヤード、タッチダウンパス数、インターセプト数、パス成功率(Completion %)、クォーターバックレイティング(QB Rating)などで評価される。
- 最近ではサックされた回数やターゲットごとの効率、ビッグプレー率など細かい指標も重視される。
カナダンフットボールとの違い
- カナダンフットボールとアメリカンフットボールではフィールドサイズやダウン数(カナダは3ダウン、米国は4ダウン)などルール差があり、QBのプレースタイルや戦術にも影響を与える。
トレーニングと準備
- テクニック練習(パスの反復、フットワークドリル)、フィルムスタディ(相手ディフェンスの分析)、プレーコールの暗記やシミュレーションを日々行う。
- オフシーズンはウエイトトレーニング、敏捷性トレーニング、肩とコアのコンディショニングが中心。
有名なクォーターバック
歴史的・現代を通じて多くの名QBがいます。先に挙げたように、トム・ブレイディ、ジム・ケリー、ペイトン・マニングなどが広く知られています。それぞれが異なるスタイル(ブレイディの勝負強さ、マニングの戦術理解、ジム・ケリーのタフネスなど)でチームを牽引しました。
まとめ
クォーターバックはチームの攻撃を統括する重要なポジションで、技術・判断力・リーダーシップ・フィジカルのすべてが求められます。試合の勝敗を大きく左右することが多く、観戦でもプレーの流れを作る存在として注目されます。


クォーターバックの通常の位置は青色で表示されています
特殊戦術
クォーターバックは、ディフェンスが使っているフォーメーションが気に入らない場合、オーディブルを使うことがあります。オーディブルとは、クォーターバックがスクリメージライン(プレーを開始するために選手が整列する場所)でプレーを変更するための方法です。クォーターバックは、チームメイトが理解できるようなことを叫ぶことによって、プレーの内容を変更します。クォーターバックがディフェンスの選手の並び方を見て、コールされたプレーがディフェンスの並び方に対して有効でないと判断した場合、オーディブルがコールされることがあります。


2009年、試合前のウォームアップで投球するニューヨーク・ジャイアンツのQBイーライ・マニング。ボールの持ち方と足の位置に注目。