高周波(短波)とは|定義・周波数帯・電離層反射と通信利用
高周波(短波)は、一般にHF(High Frequency)帯域に相当する電波で、周波数帯はおおむね3 MHz〜30 MHz(波長では約100 m〜10 m)と定義されます。短波は地球の大気中の電離層で反射(厳密には屈折による曲げ)されやすく、その結果として遠距離伝搬(国際放送や海上・航空通信、アマチュア無線など)に適しています。
定義と他の帯域との位置関係
マイクロ波やVHF/UHFより低く、電磁放射スペクトル内では中低周波側に位置します。帯域の区分は以下のようになります(代表値):
- 長波(LF):30 kHz〜300 kHz(波長10 km〜1 km)
- 中波(MF):300 kHz〜3 MHz(波長1 km〜100 m) — 多くのAM放送はこの帯域
- 短波(HF):3 MHz〜30 MHz(波長100 m〜10 m) — 本稿で扱う短波帯
- 超短波/VHF・UHF/マイクロ波:30 MHz以上(波長10 m以下)
電離層反射(スカイウェーブ)と伝搬の仕組み
短波帯の特徴は、電離層による反射(より正確には屈折して地表に戻る現象)を利用して長距離伝搬が可能な点です。電離層は主にD層・E層・F層(昼夜や太陽活動で変化)に分かれ、各層が異なる周波数帯の電波に影響を与えます。
- 昼間:D層の電子密度が高まり、低い周波数(数MHz以下)は吸収されやすくなります。これにより、日中は比較的高い短波(例えば10〜30 MHz)が遠方へ届きやすくなります。
- 夜間:D層が薄くなり吸収が減るため、低めの短波(3〜10 MHz)が長距離伝搬に適します。
- 最大使用周波数(MUF)/最低使用周波数(LUF):その時刻・経路で伝送可能な上限・下限の周波数。MUFは太陽活動や季節で大きく変化します。
- スキップ距離とスキップゾーン:電離層反射で到達できない近距離の空白領域(スキップゾーン)が生じることがあります。
通信利用と実際の運用
短波は国際放送(例:VOA、BBCなど)、海上・航空の長距離通信、業務用・軍事通信、アマチュア無線など幅広く利用されてきました。短波放送局や固定局は、電離層の状態に応じて適切な周波数を選択します。これが本文で述べられているように、放送局が月や時間帯で周波数を切り替える主な理由です。
- 国際短波放送は、季節・時刻・受信地域に合わせて周波数リストを更新します。
- アマチュア無線ではバンドプランに従い、伝搬状況に合わせて運用周波数を変えます。
- 緊急通信や災害時には短波が有用で、インフラが破壊されても遠隔地との連絡が取れることがあります。
長波・中波との違い
本文ではやや混同が見られますが、長波(LF)および中波(MF)は短波と比べて伝搬特性が異なります。長波は地表面に沿って伝わるグラウンドウェーブが主体で、天候や地形に強く影響されにくく比較的近距離〜中距離で安定した通信が可能です。中波(AM放送帯)は夜間に電離層反射で遠方受信が起こることがありますが、短波ほどの国際伝搬性はありません。
実務上の注意点・要因
- 季節変動:冬季や夏季で電離層の挙動が異なり、反射しやすい周波数帯が変わります。
- 太陽活動:太陽黒点数や太陽フレアはMUFを大きく変動させ、通信に影響を与えます。
- 時間帯:昼夜で最適周波数が変わるため、多くの放送局が時間帯別に周波数を切り替えます。
- アンテナ設計:短波帯では長さや指向性が伝搬距離・到達方向に与える影響が大きく、国際放送局や長距離通信局は高利得アンテナやビームアンテナを使用します。
まとめ
短波(HF)は約3〜30 MHzの帯域で、電離層を利用した長距離伝搬が可能なため国際放送や各種長距離通信に歴史的に重要な役割を果たしてきました。電離層の時間・季節・太陽活動による変動を踏まえ、適切な周波数選択とアンテナ設計によって安定した通信が実現されます。放送局が月別・時間別に周波数を変えるのは、このような伝搬条件の変化に対応するためです。
質問と回答
Q: 無線周波とは何を指すのですか?
A: 無線周波とは、マイクロ波よりも低い周波数の電磁波のことを指します。
Q: これらの周波数の電波は何に役立つのですか?
A:これらの周波数の電波は、長距離通信に有用であることが分かっています。
Q: 短波ラジオ通信とは何ですか?
A:電離層で反射され、地球を飛び回ることができる周波数です。
Q: なぜ長波は比較的短距離の通信に使われるのですか?
A: 長波の周波数は、商業用振幅変調(AM)ラジオ局の最も一般的なもののように、比較的短距離の通信に使用されています。
Q: 長波の送信はロングバウンドするのでしょうか?
A: 通常はロングバウンドしません。
Q:電離層の状態が異なる時、世界各地で異なる短波の周波数がロングバウンドしてよく伝わるのでしょうか?
A:電離層の状態が異なる場合、異なる短波(波長120m以下)を反射し、ロングバウンドで世界中に送信することが可能です。
Q: VOAやBBCは、なぜ月ごとに、また24時間ごとに周波数を変えているのですか?
A:電離層の状態が異なる時間帯に、異なる短波の周波数がよく反射し、ロングバウンドで世界中に送信できるためです。