帆船の艤装(リギング)とは|構造・種類・役割を徹底解説

帆船の艤装(リギング)を構造・種類・役割まで図解でわかりやすく解説。ジャンクリグからスクーナーの複雑な配索まで網羅した入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

帆船の艤装は、船のマスト、ヤード、セールを支えるためのロープや鎖で構成されています。マストを支えるのが「スタンディングリギング」。走行艤装はヤードとセールを支える。マストが支持されていないヨットの中には、艤装がないものもある。ジャンクリグやキャットボートリグがこれにあたる。バミューダ・ループは、1本のマストと1枚のヘッドセイルで、かなりシンプルなリギングを使用しています。カッターリグのケッチとスクーナーは、最も複雑なリギングを持つ。

艤装(リギング)とは — 役割の整理

艤装(リギング)は大きく分けて二つの役割を持ちます。スタンディングリギングはマストやヤードを常時支持して船体・セールに力を受け渡す構造体で、主に張力(テンション)を受け持ちます。一方、走行艤装(ランニングリギング)はセールを操作し形を変えるための可動部分で、ハリヤードやシートなどが該当します。これらが協調することで帆走性能と安全性が得られます。

主な構成要素

  • スタンディングリギング
    • ステー(フォアステー、バックステーなど) — マストの前後方向の支持。
    • シャックルやシャロウ(シャラップとも)/シャウ(シングル:シャロウ) — マストの横方向支持であるシャント(シャロウ)とチェーンプレートで船体に固定される。
    • ターンバックル — 締め込み・緩めでテンション調整。
  • 走行艤装
    • ハリヤード(Halyard) — セールを上下させるロープ。
    • シート(Sheet) — セールの角を引いて角度やトリムを調整するロープ。
    • ブレース(Braces) — ヤードの向きを変えるロープ(ヤード式の帆船で使用)。
    • オーサル、バング、カフ(vang、outhaul等) — セールの形(キャンバー)を調整する補助装置。
    • リーフィングライン — 強風時にセール面積を小さくするための線。
    • ブロック、ウィンチ — ロープの力を増幅・制御するための機構。
  • その他の部品 — スナッチャー、クリート、カラビナ、アイスプライス、フェアリード等。

リグの種類と特徴

  • バミューダ(バウミューダ)/スループ:モダンな三角帆(ラテラルフォイル)を用いることが多く、一本マスト+メインセール+ジブでシンプル。操作性が良く軽風〜中風で効率的。
  • カッター:フォアステー側に複数のヘッドセールを持ち、風向に応じて使い分け可能。帆の組み合わせが多く柔軟性が高い。
  • ケッチ/ヨット(キッチ):後方に第二マスト(ミズン)を持ち、帆の分割で扱いやすくなる。長距離航海でのバランスに優れる。
  • スクーナー:複数マストを持ち、帆を小分けにすることで各帆の扱いが容易。大規模な帆船に多い。
  • ジャンクリグ:横片帆を積んだ東洋由来のリグ。セールの取り扱いが簡単で、近代帆船より風に対する調整が容易。
  • キャットボート:マストが船首寄りにありヘッドセイルを持たないシンプルなリグ。

素材と性能

  • ワイヤー(ステンレスワイヤー) — スタンディングリギングに多く用いられる。張力耐性・耐久性が高いが、疲労や腐食に注意。
  • 合成ロープ(ダイニーマ、スペクトラ等) — 軽量で伸びが少なく、近年はスタンディングにも使用される。UVや摩耗への配慮が必要。
  • 麻やナイロン — 走行艤装や補助ロープに使用されることがあるが、強度や伸びの特性で用途が限定される。

点検とメンテナンス

艤装は命にかかわる重要な装備です。定期的な点検・交換が必要です。主なチェックポイント:

  • ワイヤーの摩耗、断線、錆び、崩れ(鳥の糞や塩分による腐食も確認)
  • ターニバックルやスプレッダーのクラック、ボルトの緩み
  • ブロックのベアリングやシーブの滑り、ロープの摩耗箇所
  • クリートやカムの動作確認
  • フェアリードやチェーンプレート周辺のデッキ貫通部のシール不良

長期間の使用やハードな海域を航行した場合は早めの交換を検討してください。プロによる検査(特に目に見えない内部損傷の有無)は安全確保に有効です。

調整(リグチューニング)

スタンディングリギングのテンションは帆の性能に直接影響します。一般的な調整項目:

  • ヘッドステーの張り具合でジブの形状が変わる
  • サイドステー(シャラップ)のテンションでマストの横たわりやプレベンド(前後のしなり)を調整
  • マストのレイク(傾き)やプレベンドを変えることで上部セイルの風の当たりを最適化

風域・コースに応じて走行艤装側の微調整も行い、常にセールのキャンバーをコントロールしてください。

安全上の注意点

  • 夜間や荒天時の点検は避け、必ず固定・安全装備を着用すること。
  • 摩耗や腐食を放置すると突然の断裂につながるため、早めの交換を行う。
  • 改造や材質変更を行う場合は、設計者や造船所、リギング専門家に相談する。

まとめ

艤装(リギング)は帆船の心臓部とも言える構造で、スタンディングリギングはマストを支え、走行艤装は帆を操るために働きます。リグの種類や素材、調整方法を理解し、定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、安全で効率的な帆走が可能になります。

ヨットの艤装品。1.ヘッドステー、2.バックステー、3.シュラウドまたはサイドステー、4.スプレッダー、5.バックステー、7.ブームZoom
ヨットの艤装品。1.ヘッドステー、2.バックステー、3.シュラウドまたはサイドステー、4.スプレッダー、5.バックステー、7.ブーム

スタンディングリギング

帆船では、マスト、ヤード、ブームを支えるためのロープをスタンディングリギングと呼びます。現代の帆船では、ほとんどの場合、ワイヤーロープが使用されています。現代のスタンディングリギングは、専用のゲージを用いて定期的に張力をチェックします。張力の調節はターンバックルで行う。マストやスパーを安定させるために、中心線に沿って前後に走るロープ、ワイヤー、ロッドをステーと呼びます。マストから船首までのものをフォレストセイと呼びます。マストから船尾に向かうものはバックステーと呼ばれる

ランニングリギング

帆船の走行艤装は、帆を制御する。ランニングリギングは通常、様々な種類のロープで構成されている(ロープはラインとも呼ばれる)。そのロープの長さを調節するために、ブロックとシーブを使用する。ブロックは滑車の一種。シーブはブロックの中にある溝付きの車輪のことです。大型の帆船や船舶ではウィンチを使用する。ランニングリギングを調整することで、タッキングやジビングなど、さまざまな操船が可能になる。すべてのヨットに共通するのは、アウトホールとダウンホールである。アウトホールはセイルをブームの自由端に引き寄せます。ダウンホールは、ブームがマストから浮き上がらないようにするためのもの。



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