氷河粉(岩粉)とは?生成メカニズム・特徴と湖が青く見える理由

氷河粉(岩粉)の生成メカニズムと特徴をわかりやすく解説し、湖がターコイズに見える物理的理由や代表的な氷河湖の事例まで詳しく紹介。

著者: Leandro Alegsa

岩石粉(通称:氷河粉)は、氷河の移動・侵食作用や人工的な粉砕により形成される、非常に細かい岩石粒子です。粒子はしばしば粘土状の質感を持ち、直径は一般に数マイクロメートル以下〜数十マイクロメートル程度と非常に小さいため、水中に長く浮遊しやすく、流れを濁らせます。こうした粒子が河川を下り、氷河湖に流入すると、湖面が独特のターコイズ〜エメラルド色に見えることがあり、カナダのルイーズ湖やノルウェーのジェンデ湖などがその代表例です。

生成メカニズム

  • 物理的摩耗(研磨):氷河底での岩盤と氷の間の擦れ合いにより、岩石が細かく砕かれていきます。氷の運動と内部に含まれる大きな岩片が研磨材となります。
  • サブグレイシャル(氷床下)輸送:細かくなった粒子は融水に取り込まれて氷河から下流へ運ばれ、氷河口やモレーン周辺で放出されます。
  • 氷融解と季節変動:夏季の融水増加により大量の氷河粉が洗い流され、湖や河川の濁度と色が季節的に変化します。
  • 人工的生成:鉱山や建設現場での粉砕でも類似の細粒が生じることがあり、これも「岩石粉」として扱われます。

物理・化学的特徴

  • 粒径:一般に数マイクロメートル以下〜数十マイクロメートル。非常に細かいため浮遊時間が長く、沈降が遅い。
  • 鉱物組成:氷河が削る母岩によって異なり、長石、石英、雲母、炭酸塩鉱物などを含むことが多い。これらが水の色や光の散乱特性に影響する。
  • 表面特性:表面積が大きく、光の散乱や溶解性の点で特徴的。コロイド的挙動を示す場合もある。

湖が青く(ターコイズに)見える理由

氷河粉が湖水中に浮遊すると、光の散乱と水自体の吸収特性が組み合わさって独特の色を作ります。主な要点は次の通りです:

  • 粒子による光の散乱:粒子サイズが可視光の波長と近い場合、ミー散乱やチンダル効果により光が散乱されます。これにより短波長(青〜緑)が比較的強く散乱され、目に届く光が青緑寄りになります。
  • 水の吸収特性:水は赤い波長を比較的よく吸収するため、散乱された光のうち赤成分が減り、結果として青・緑系の色が目立ちます。
  • 濁度と色調の変化:粒子濃度が適度な場合に鮮やかなターコイズ色になる一方、粒子が非常に多いと白っぽく濁った灰色やミルキーブルーになることがあります。
  • 鉱物組成の影響:含まれる鉱物(例えば炭酸塩の有無や雲母など)の光学特性が色合いに微妙な違いを与えます。

環境・生態への影響

  • 高濁度は水中光量を減少させるため、浅い水域における水生植物や藻類の光合成を抑える場合があります。
  • 浮遊微粒子は魚類などの鰓(えら)を刺激・障害することがあり、特に幼生への影響が懸念されますが、多くの高山河川魚はある程度の濁度に適応しています。
  • ダムや取水施設では細粒が堆積して作業や濾過に悪影響を及ぼすことがあるため、水質管理上の課題となります。

人間の利用と注意点

  • 農業分野では、岩石粉を土壌改良材やミネラル補給のために利用する例がある(ただし成分分析が必要)。
  • 景観価値が高く観光資源となる一方、観光活動による汚染や侵食で氷河や周辺環境が悪化するおそれがあるため保全が重要です。
  • 飲料水源として利用する場合は、微細粒子の除去(凝集・沈殿・濾過)が必要になることが多いです。

代表的な例

観光写真などでよく知られるのがカナダのルイーズ湖やノルウェーのジェンデ湖のような氷河湖で、氷河から運ばれる岩石粉の存在がその鮮やかな色を生んでいます。季節や降水・融雪量によって色合いは変化します。

測定・観察方法

  • 顕微鏡観察で粒子サイズ分布を確認する。
  • 濁度計や懸濁物濃度(SSC: suspended sediment concentration)の測定により浮遊粒子の量を定量化する。
  • スペクトル測定で水色の波長分布を解析し、散乱・吸収の寄与を評価する。

まとめ:氷河粉(岩石粉)は氷河作用や粉砕で生じる極めて細かい岩石粒子で、湖沼や河川の色や生態に大きな影響を与えます。粒子の大きさ・濃度・鉱物組成と水の光学特性が組み合わさることで、氷河湖の美しいターコイズ色が生まれます。

ペイト湖に流れ込む岩粉Zoom
ペイト湖に流れ込む岩粉

ノルウェーのGjende湖に流れ込むMuru川Zoom
ノルウェーのGjende湖に流れ込むMuru川

農業用

農学者の中には、石粉には土壌の微量ミネラルを回復させる強力な効果があると考える人もいる。1890年代には、ドイツの製粉業者ユリウス・ヘンゼル(『石焼きパン』著者)が、シュタインミール(石粉)を使った実験に成功し、その成果を報告している。しかし、ヘンゼルは技術的な限界や、従来の肥料を使う人たちからの反対もあって、この方法は採用されなかったという。



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