ローズガーデン(ロザリウム)の定義と歴史:種類・栽培と観賞ポイント
ローズガーデンまたはロザリウムは、バラを栽培している庭園または公園で、一般に公開されていることが多い。装飾のみを目的としたバラ園もあるが、多くは様々な種類のバラを展示・栽培するために利用される。
最初のバラ園は、フランスの皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネがマルメゾンに造園したことが知られている。1814年に彼女が亡くなったとき、庭には約250種類の庭木が植えられていた。また、ドイツのダルムシュタットにあるローゼンヘーエ公園は、1810年にバーデン王女ヴィルヘルミーネによって造られた古いバラ園である。
商業的な目的でバラを栽培するようになったのは、19世紀に入ってから。商業的なバラの育種のために作られた重要なバラ園は、ヨーロッパや北米を中心に各地に設立され、収集・育種・展示の拠点として発展した。これらのロザリウムは、園芸品種の系統保存や新品種の発表、園芸教育や一般公開による普及に大きく寄与している。
歴史的背景と発展
バラは古代から観賞や香料、薬用として用いられてきたが、庭園として体系的に栽培・展示されるようになったのは近代以降である。18〜19世紀にかけて東アジアや地中海地域から新しい種や品種がヨーロッパにもたらされ、交配育種が盛んになったことがロザリウムの発展を後押しした。王侯貴族や富裕な愛好家がコレクションを持ち、公共の庭園として一般に開放される例も増えた。
ローズガーデンの種類
- フォーマルローズガーデン:幾何学的な花壇配置と剪定で整えられた様式的な庭。対称性や視覚的な軸が重視される。
- カントリーローズ/コテージガーデン:自然な混植で、宿根草やハーブと組み合わせてにぎやかに見せるスタイル。
- ロゼリウム(Rosarium)/アーバレタム的コレクション:品種や系統ごとに分類・表示し、学術的・保存的な役割を持つ庭園。
- クライミングローズの構造物:アーチやパーゴラ、壁面を覆うように誘引する展示型。
- 香りの庭(セントガーデン):香りの強い品種を選んで、嗅覚を楽しむために設計されたエリア。
代表的な品種群と育種の流れ
バラの系統には、ロサ・チャイナ(中国産の園芸種)を起源とする品種群が重要な役割を果たし、それがティー・ローズやハイブリッドティーなどの近代品種へとつながる。その他、オールドローズ(オールドガーデンローズ)、ブーケローズ、フロリバンダ、ノイゼッテ、ブルボンなど多様なグループが存在する。ロザリウムでは、歴史的な古品種と最新の品種を並べて比較できることが魅力の一つである。
栽培の基本ポイント
- 日照:1日に直射日光を6時間以上確保できる場所が理想。
- 土壌:水はけが良く、有機物に富んだ土。pHはやや酸性〜中性(目安6.0〜6.5)。
- 植え付け:根鉢を崩しすぎずに植え、根元に適度な土を掛けて安定させる。植え付け後はたっぷりと灌水。
- 剪定:品種や目的に応じて剪定時期や強さを決める。一般には遅冬〜早春に株元の不要枝を切り戻すことで翌年の花つきが良くなる。
- 施肥:生育期に合わせてバランスの良い肥料を与える。開花後の追肥で次の花期を助ける。
- 病害虫対策:黒星病、うどんこ病、さび病やアブラムシ、コガネムシなどに注意。剪定で風通しを良くし、必要に応じて薬剤や生物的防除を組み合わせる。
- 水管理:表面乾燥を避けるために深めの灌水を心がける。葉に水がかからないように株元に与えると病気予防に有効。
- 接ぎ木と株の更新:多くの園芸品種は台木に接ぎ木されており、老化した株は更新(挿し木や接ぎ木での更新)を行うとよい。
展示・観賞の工夫と観察ポイント
- ラベリング:品種名・育種者・系統・開花期などの情報を付けることで教育的価値が高まる。
- 開花期の分散:早咲き〜遅咲きの品種を組み合わせることで長期間の見ごろを作れる。
- 香りの楽しみ方:朝の涼しい時間帯は香りが立ちやすい。香りの強い品種を人の動線近くに配置すると体験価値が増す。
- 写真撮影のコツ:柔らかい朝夕の光、背景の処理(無地や緑の葉で花を引き立てる)を意識すると美しく撮れる。
- 鑑賞マナー:花摘みや枝折りは控え、植栽の保全に配慮する。案内表示やルールに従うことが重要。
公共施設としての役割と保存
ロザリウムは単なる観賞場所にとどまらず、品種保存、教育、研究、地域の観光資源としての役割を担っている。特に絶滅危惧の古品種や地域固有の品種を保存する取り組みは重要で、市民ワークショップやガイドツアーを通じて園芸知識を広める活動が行われている。
季節ごとの管理スケジュール(目安)
- 春:芽出し後の整枝、施肥、追肥。病害虫の発生に注意。
- 夏:乾燥対策と通気確保。花がら摘みで次の開花を促進。
- 秋:最終の施肥は控えめにし、冬の備えとして土壌改良やマルチングを行う。
- 冬:寒風や凍結から根元を保護。剪定作業は地域の気候に合わせて行う。
ローズガーデンは、品種の多様性、香り、色彩、景観設計の美しさを同時に楽しめる場所です。公共ロザリウムを訪れる際は、その歴史や育種の背景、季節ごとの見どころに注目すると、より深くバラの魅力を味わえます。


ロゼリー・デュ・ヴァル・ド・マルヌ(フランス、ラハイ・レ・ローズ市
質問と回答
Q: ロザリウムとは何ですか?
A: ロザリウムとは、バラを栽培している庭園や公園のことで、一般に公開することができます。
Q: ほとんどのバラ園の目的は何ですか?
A:多くのバラ園は、様々な種類のバラを展示・栽培するために利用されています。
Q:最初にバラ園を作ったのは誰で、どこに作られたのですか?
A: フランスの女帝ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネが、マルメゾンに最初のバラ園を作りました。
Q: フランスの皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネが亡くなった時の庭には、何種類のバラが植えられていたのでしょうか?
A: フランスの皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネが亡くなった時の庭には、約250種類のバラが植えられていたそうです。
Q:1810年にバーデン公女ヴィルヘルミーネによって造られた古いバラ園はどこでしょう?
A: ドイツのダルムシュタットにあるローゼンヘーエ公園は、1810年にバーデン公女ウィルヘルミーネによって作られました。
Q:バラの商業栽培はいつから始まったのですか?
A:バラの商業栽培が始まったのは19世紀です。
Q:バラの商業栽培のために作られた重要なバラ園とは何ですか?
A:商業的なバラの品種改良のために作られた重要なバラ園は、本文中では触れられていません。