疥癬(かいせん)とは?ダニ感染の原因・症状・治療と予防
疥癬の原因・症状・検査から最新の治療法、家庭でできる予防策までわかりやすく解説。保育施設や集団生活での注意点と早期発見の対処法も紹介。
疥癬は、疥癬虫(Sarcoptes scabiei)の雌ダニに感染することによって引き起こされます。ダニは外部寄生生物です。ダニは皮膚に潜り込んで生活し、卵を産み付けます。
疥癬の症状は、ダニに対するアレルギー反応によるものです。疥癬は通常、感染者との直接的な皮膚接触(少なくとも10分以上)により広がります。感染者がまだ発症していなくても、感染が広がることがあります。保育施設、グループホーム、刑務所などの混雑した生活環境では、感染の危険性が高まります。また、水へのアクセスが悪い地域でも、感染率が高くなります。
ダニは非常に小さく、通常は直接見えません。
主な症状
- 強いかゆみ(特に夜間に悪化)
- 小さな赤い丘疹(ブツブツ)や水疱
- トンネル状の皮疹(疥癬虫が作る「トンネル」):細い灰色〜白色の線状や点状のもの
- 好発部位:指の間、手首の内側、肘の内側、わきの下、乳房の下、腰回り、性器周辺など
- 二次感染:強い掻破により細菌感染(とびひ、化膿)を起こすことがある
感染経路とリスク要因
- 主に長時間の直接的な皮膚接触(家庭内、性的接触、介護など)で伝播
- 衣類や寝具を介する間接伝播は稀だが、密に共有される場合は起こり得る
- 高密度の集団生活(介護施設、刑務所、保育園など)はリスクが高い
- 免疫が低下している人、高齢者、糖尿病など基礎疾患がある人は重症化しやすい
診断
診断は主に臨床所見(皮疹の分布、トンネルの有無、かゆみの程度)から行われます。確定診断のために以下が行われることがあります。
- 皮膚掻爬(スキン・スクレーピング):顕微鏡でダニ、卵、糞を確認
- ダーモスコピー(皮膚鏡):トンネルやダニを観察
- 必要に応じて専門医(皮膚科)への紹介
治療
治療はダニを駆除することと、かゆみや炎症の対症療法を組み合わせて行います。
- 外用薬
- パーマスリン(permethrin)5%クリームが第一選択のことが多い。全身(首から下)に夜間に塗布し、指の間や爪周囲までよく塗る。通常1回塗布し、1週間後に再度塗布することが勧められる場合がある。
- 内服薬
- イベルメクチン(ivermectin):重症例(かさぶた状のノルウェー疥癬=crusted scabies)や集団発生時、外用が困難な場合に使用。体重や年齢、妊娠の有無により適応が制限されるため医師の判断が必要。
- 症状緩和
- 抗ヒスタミン薬でかゆみを和らげる
- 炎症が強い場合は短期間の外用ステロイドを併用することがある
- 接触者の同時治療:家庭内や性的接触があった人は症状の有無に関わらず同時に治療することが推奨される場合が多い。
生活上の対策(感染拡大防止)
- 患者の衣類、寝具、タオルは高温(60℃以上)で洗濯し、乾燥機を使用するかよく乾かす
- 洗濯できない物は密閉袋に入れて72時間以上放置するとダニは自然死する
- 共有する寝具や衣類の使用を避ける。家庭内であっても長時間の皮膚接触を控える
- 施設内では早期発見と速やかな隔離・治療、関係者への通知と検査が重要
- 家具やマットレスは掃除機で念入りに清掃する
重症例:ノルウェー疥癬(かさぶた状疥癬)
免疫不全者や高齢者で見られる重症型で、皮膚に大量のダニが繁殖し、厚いかさぶたや広範な皮疹を呈します。感染力が非常に強く、集団発生の原因になりやすいため、入院や強力な局所・全身治療(外用薬とイベルメクチンの併用など)が必要になることがあります。
受診の目安・注意点
- 夜間の強いかゆみや特徴的な皮疹がある場合は皮膚科を受診してください
- 妊娠中や小児(特に体重が少ない乳幼児)は使用できない薬があるため、必ず医師に相談する
- 治療後もかゆみが数週間続くことがあるが、これはアレルギー反応の残存であり、必ずしも治療失敗を意味しない。かゆみが改善しない、皮膚の化膿や広がりがある場合は再受診を
まとめ
疥癬は特定のダニによる感染症で、典型的には強い夜間のかゆみと特有の皮疹を呈します。診断は臨床的に行われ、外用パーマスリンなどの駆虫薬が基本治療です。感染拡大を防ぐために、同居者の同時治療や衣類・寝具の適切な処理が重要です。疑わしい場合は早めに皮膚科を受診し、適切な治療と予防策をとってください。
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