ねじ山とは:定義・構造・種類(ストレート/テーパねじ)と機械的利点
ねじ山の定義・構造、ストレート/テーパねじの違いとリードに基づく機械的利点を図解と実例でわかりやすく解説。
ねじ山は、しばしばスレッドと略され、らせん状の構造である。円柱や円錐に稜線を螺旋状に巻き付けたもので、前者をストレートスレッド、後者をテーパースレッドと呼ぶ。ねじ山は外径・有効径・根元径・ピッチ・山の角度などいくつかの幾何学的要素で定義され、用途に応じて形状や寸法が規格化されている。
ねじ山の基本要素
- 外径(外側の最大直径):ボルトやねじの見かけの太さ。
- 有効径(中間の実効径):ねじがかみ合う際に力を伝える主要径。
- 根元径(谷の直径):ねじ山の谷部分の直径。
- ピッチ(pitch):隣接するねじ山の同一面が1周分移動したときの軸方向の距離。単位はmm。
- リード(lead):ねじが1回転したときに進む直線距離。単一ねじ山(single-start)ではリード=ピッチだが、複数山(multi-start)のねじではリードがピッチ×山数になる。
- 山形(断面形状):三角形(メートルねじ等)、台形(トラペゾイダル)、角ねじ(スクエア)、アクメ、ラウンドなどがある。
ストレートねじ(平行ねじ)とテーパねじ(テーパーねじ)
- ストレートスレッド(平行ねじ):ボルトとナットのように円柱状の外形に山が刻まれたねじ。機械部品の締結や位置決めに広く使われ、ISOやJISで規格化された寸法体系(例えばISOメートルねじ)がある。
- テーパースレッド(円錐ねじ):管継手や一部の機械部品で使われる、外径が先端に向かって細くなる円錐形のねじ。ねじ込みにより密封性や圧力保持が得られやすい(例えば配管用のテーパねじ)。
ねじの種類(形状と用途別)
- 三角ねじ(メートルねじ、UNねじなど):小ねじや一般的な機械締結に最も多用される。
- 台形ねじ(トラペゾイダル):送りねじ(ボールねじ以外)や昇降機構に使われる。耐久性と効率のバランスが良い。
- 角ねじ(スクエア):効率が高く、荷重伝達に優れるが加工が難しい。プレスやジャッキに用いられることがある。
- アクメねじ:台形と三角の中間的性質で、荷重分布が良く加工もしやすい。測定器やバルブで使われる。
- ウォームねじやラウンドねじ:特殊用途(減速機、パイプ接続など)に使われる。
- 右ねじ・左ねじ:ねじの回転方向。一般的に右ねじが多いが、用途により左ねじが使われる(回転方向による締め緩めを防ぐためなど)。
ねじの製造方法(代表例)
- 切削(旋盤やタップ・ダイスで溝を切る):小ロットや精密ねじに適する。
- 転造(冷間塑性加工で金属表面を成形):強度が高く表面粗さが良いので量産ねじに多用される。
- 研削や研磨:高精度ねじや試験用部品で用いる。
ねじの機械的利点と効率
ねじの機械的な利点は、ねじが1回転する間に移動する直線距離であるリードに依存します。理想的なねじ(摩擦が無い場合)の機械的利得(MA)は次の式で表せます:
MA = (2πr) / L
ここで r はねじの半径、L はリードです。つまり、ねじをゆっくり回すほど大きな力の増幅(機械的利得)が得られます。ただし現実では摩擦があるため効率は低下し、得られる上げ力はこの理想値より小さくなります。
摩擦と自己ロック(セルフロッキング)性
ボルトとナットの締結やねじ機構では摩擦が重要です。摩擦トルクが高いと保持力が良くなり、外力で勝手に解除されにくくなります(自己ロック)。自己ロックの条件は概念的に次のように表現されます:ねじのリード角(λ)に対して摩擦係数(μ)が大きければ、ねじは自重で戻らない。数学的には tan(λ) < μ の場合に自己ロックする、と説明されることが多いです。
用途例
- 一般機械の締結(ボルト・ナット)
- 位置決め機構(送りねじ、顕微鏡や微調整ねじ)
- 昇降装置(ジャッキ、バイス)
- 流体配管の密閉(テーパねじの配管継手)
- 伝動・変速機構(ウォームギア等)
規格と互換性
ねじは安全性と交換性のために各国や国際的な規格で寸法・ねじ山形状・許容差が決められている。代表的なものにISOメートルねじ、JIS、UN(ユニファイド)ねじ、管用テーパねじなどがある。選定時は使用環境、強度、締結方式(締付トルク)、耐食性などを考慮して規格・材質・表面処理を決める。
まとめ(ポイント)
- ねじ山はらせん状の稜線で、ストレート(平行)とテーパー(円錐)がある。
- リードとピッチの違いを理解すると、ねじの進み量や機械的利得が把握できる。
- 山形・材料・製法・規格の組合せで用途に最適なねじを選ぶことが重要。
ボルトにナットを締め付けるのは、摩擦と塑性変形(2つの物体の表面がわずかにつぶれること)でくっつくまで隙間に楔を打ち込むようなものであり、適切な締付管理(トルク管理や座面処理)が信頼性のある締結に欠かせません。
ねじは、機械的な利点を与える6つの単純機械のうちの1つであり、正しい理解と設計で力と運動を効率的に伝達する重要な要素です。

ねじ切りされた棒の一部
ナット、ボルト、スクリューのすべてにネジ山がある

ピッチと直径が同じで、リードが異なる2つのねじ山
質問と回答
Q: ネジ山とは何ですか?
A: ネジ山とは、機械的な利点をもたらす、円柱または円錐に巻き付いたらせん状の構造です。
Q: 2種類のねじ山は何ですか?
A:ストレートネジとテーパーネジの2種類です。
Q: ナットとボルトの締め付けはどのように行われるのですか?
A: ナットとボルトの締め付けは、摩擦と塑性変形でくっつくまで隙間に楔を打ち込むようなものです。
Q: ネジ山の機械的優位性は何に依存しているのですか?
A: ネジ山の機械的な利点は、そのリードに依存します。これは、ネジが1回転する間に移動する直線距離です。
Q:機械的な利点をもたらす単純機械はいくつありますか?
A:6つの単純機械が機械的な利点を持ち、ねじ山はそのうちの1つです。
Q: ストレートスレッドとは何ですか?
A: 直ねじとは、ねじが円筒に螺旋状に巻かれたものです。
Q: テーパードネジとは何ですか?
A:テーパーネジとは、円錐に螺旋状に巻かれたネジのことです。
百科事典を検索する