短絡(ショート)とは — 原因・危険(火災・破損)と予防法をわかりやすく解説

短絡(ショート)とは何か、原因・火災や破損の危険、発生を防ぐ具体的な予防法を図解でわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

ショートとは、電気回路において、本来接触しないはずの2本以上の電線が接触してしまう不具合を指します。短絡すると、回路に非常に大きな電流が流れます。この大電流は、部品を破壊したり、絶縁体を溶かしたり、火災を発生させる可能性があります。また、十分な電圧がかかっている場合は、アーク放電と呼ばれる激しい放電(アークフラッシュ)を起こし、爆発ややけど・視力損傷など重大な人身事故につながることもあります。サーキットブレーカーとヒューズは、短絡を検出し、(通常は)損害が発生する前に電源を遮断する装置です。

短絡が起きる仕組み(簡単な原理)

電気は抵抗(インピーダンス)の低い経路を好んで流れます。つまり、「負荷」(電球やモーターなど)がない、もしくは経路の抵抗が非常に小さい経路ができると、そこに大電流が集中します。簡単にいうとオームの法則(V = IR)により、抵抗Rが小さいほど同じ電圧Vで流れる電流Iは大きくなります。回路内で絶縁が破れたり、金属同士が接触したりすると短絡が発生します。

主な原因

  • 絶縁の劣化・摩耗(経年劣化や過熱による被覆の破損)
  • 水や湿気、塩分による導電経路の形成(屋外や浴室など)
  • ケーブル切断や被覆に傷をつけること(工事ミス、工具の落下、ネズミ等によるかじり)
  • 接続不良や緩んだ端子(接触抵抗が局所的に上がり、熱で溶けて短絡に至る)
  • 誤配線・施工不良
  • 過負荷や過電流で部材が溶融して短絡する場合
  • 製造欠陥や不良部品(内部短絡)
  • フェーズ間での直接接触(相間短絡)や地面と接触する地絡

短絡の種類(代表例)

  • 相間短絡(ライン同士が接触)— 三相や複数線の設備で発生し、非常に大きな電流が流れる
  • 地絡(ラインと接地間での短絡)— 人や設備への感電リスクも高まる
  • アーク短絡(アーク放電を伴うもの)— 接触が断続的で火花や高温のアークを生じる
  • 内部短絡(機器内部での部品間短絡)— 電池や電子機器でよく見られる

危険性(なぜ危ないか)

  • 発熱・発火:大電流は配線や機器を急速に加熱し、被覆や周囲可燃物に着火する可能性があります(火災を参照)。
  • 機器破壊:トランスやモーター、電子部品が損傷し、修理不能になることがある。
  • アークフラッシュ:高電圧下ではアーク放電が生じ、爆風や高温で重大な火傷や失明を引き起こす。
  • 感電・人身事故:直接触れた場合や地絡により感電する危険がある。
  • 停電・設備停止:保護装置作動で広範囲の停電や生産ライン停止を招く。

短絡を検出・防止する装置

  • サーキットブレーカー(配線用遮断器):過電流を検出して回路を遮断
  • ヒューズは:過電流で溶断して回路を切る、シンプルで確実な保護
  • 漏電遮断器(RCD/GFCI):地絡(漏電)を高速で検出して遮断
  • アーク検出器(AFCI):アーク特有の波形を検出して遮断、火災防止に有効
  • 適正な接地・配線保護(ケーブルダクト、保護管)や適切な定格のヒューズ/遮断器選定

短絡の兆候(前兆と発見方法)

  • ブレーカーが頻繁に落ちるまたはヒューズが飛ぶ
  • コンセントや機器からの焦げ臭い匂い、変色
  • 火花、チリチリという音、光るスパーク
  • 照明の明滅や電圧低下、機器の異常動作
  • 配線やプラグが異常に熱い

短絡が起きたときの対処法(安全優先)

  • 煙や火が発生している場合は即座に避難し、119(消防)に通報する。
  • 安全にできる場合はブレーカーや主電源を切る。ただし、アークフラッシュの危険がある高電圧設備では素人が操作しない。
  • 水を使っての消火は絶対に避ける(感電・拡大の危険)。電気火災にはCO2系や粉末系消火器が有効。
  • 感電した人がいる場合は、直接触れて救助しない。まず電源を切るか、絶縁された棒などで接触を断つ、安全が確保できなければ119に連絡。
  • 事故後は必ず資格のある電気工事士やメーカーのサービスへ点検・修理を依頼する。

予防法(日常でできる対策)

  • 配線・機器は信頼できる資格者に設置・点検してもらう。
  • 配線の被覆が傷んでいないか定期点検する。古い電気製品やコードは早めに交換。
  • コンセントや配線に水や湿気が入らないように管理する(屋外は防水対策を行う)。
  • 適正な定格のヒューズや遮断器を使用し、安易な増設やタコ足配線を避ける。
  • アーク検出器(AFCI)や漏電遮断器(RCD/GFCI)を必要箇所に設置する。
  • ネズミ対策や配線保護管で機械的損傷を防止する。
  • 異常があれば早めに専門家に相談する。自己判断での難しい修理は危険。

用語の注意点

日常会話では「ショート」や「ショートサーキット」という言葉が、あらゆる電気トラブルの総称のように誤用されることがありますが、本来は「電線同士が不本意に接触して低抵抗経路ができる現象」を指します。故障の原因や症状は多岐にわたるため、具体的な現象(感電、過熱、接触不良など)を正しく伝えることが重要です。

まとめ:短絡は瞬時に大電流を発生させ、火災や機器破壊、重大な人身事故を招く危険があります。日常の点検と適切な保護装置の設置、そして異常発見時には速やかに専門家に連絡することが最も重要です。

2本の爪の間が短絡している状態Zoom
2本の爪の間が短絡している状態

質問と回答

Q:ショートサーキットとは何ですか?


A: ショート回路とは、電気回路において、互いに接触するはずのない2本以上の電線が接触する問題です。

Q: ショートするとどのような結果になりますか。
A: ショートすると、回路に非常に大きな電流が流れます。大電流は部品を破壊し、絶縁体を溶かし、火災を引き起こす可能性があります。また、十分な電圧がある場合は、アーク放電と呼ばれる爆発を起こすこともあります。

Q: サーキットブレーカとヒューズはどのように機能するのですか?


A: サーキットブレーカとヒューズは、短絡を検出し、(通常は)損害が発生する前に電源を遮断する装置です。

Q: ワイヤーが触れずに「短絡」が起こるのはなぜですか?


A: 「短絡」は、電流のバイパスがあるときにも起こります。電気は「怠け者」なので、「負荷」(電球など)のない迂回路があると、最も電気インピーダンスの低い経路を通ります。

Q: 「短絡」という用語はどのように誤用されることが多いのですか?


A: 「短絡」という用語は、あらゆる電気的問題を説明するために頻繁に誤用されます。

Q: なぜサーキットブレーカーやヒューズを設置することが重要なのですか?


A: 短絡を検出し、損害が発生する前に電源を遮断するために、サーキットブレーカーとヒューズを設置することが重要です。

Q: 短絡によって何が損傷する可能性がありますか?


A:短絡の結果、コンポーネントが破壊されたり、絶縁体が溶けたり、火災が発生したりすることがあります。


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