Suicidal Tendenciesは、1981年にカリフォルニア州ベニスで結成されたハードコア・パンク/クロスオーバー・スラッシュ・バンドです。結成以来、メンバーの入れ替わりが非常に多く、リード・シンガーのマイク・ミューア(Mike Muir)が唯一の不動のメンバーとなっています。バンドは初期からハードコア・パンクとスラッシュ・メタルを融合させたスタイルで注目を集め、「クロスオーバー・スラッシュの父」の一人として広く評価されています。
音楽性と影響
Suicidal Tendenciesの音楽は、速く激しいハードコアのテンポと、メタル的なギター・リフやソロ、時にファンクやパンクの要素を取り入れることで特徴づけられます。歌詞は社会的不満、個人的葛藤、若者の反抗などをテーマにすることが多く、代表曲「Institutionalized」は若者たちの疎外感を代弁するアンセムとなりました。彼らの映像やスタイルはスケートボードやサブカルチャーとも深く結びつき、後続の多くのバンドに影響を与えました。
活動の歩みとラインナップ
Suicidal Tendenciesは1983年にセルフタイトルのデビュー・アルバム(Suicidal Tendencies)をリリースし、シングル「Institutionalized」のビデオはMTVで放映され、ハードコア系バンドとしては早い段階で大きな注目を浴びました。セカンド・アルバムのJoin the Armyは1987年に発表され、この作品をきっかけに主要レーベルの関心を集め、やがてEpic Recordsのような大手からのオファーを受けることになります。1988年には3枚目のアルバムHow Will I Laugh Tomorrow When I Can't Even Smile Todayを発表し、バンドの認知度はさらに高まりました。
その後もControlled by Hatred/Feel Like Shit...Déjà VuやLights...Camera...Revolution!などの作品で存在感を強め、1990年代前半にはThe Art of RebellionやSuicidal for Lifeといったアルバムをリリースしました。バンドは1995年に一度活動を停止しますが、1997年にマイク・ミューアを中心に再結成し、以降も録音・ツアーを続けています。メンバーでは、ギタリストのロッキー・ジョージやベーシストのロバート・トゥルージョ(後にMetallicaに加入)などが在籍した時期があり、各メンバーの個別プロジェクト(例:Mike Muirのファンク/メタル寄りのサイドプロジェクト“Infectious Grooves”など)もシーンに影響を与えました。
ディスコグラフィー(主要作品)
- Suicidal Tendencies (1983)
- Join the Army (1987)
- How Will I Laugh Tomorrow When I Can't Even Smile Today (1988)
- Controlled by Hatred/Feel Like Shit...Déjà Vu (1989)
- Lights...Camera...Revolution! (1990)
- The Art of Rebellion (1992)
- Suicidal for Life (1994)
- Free Your Soul.../Save My Mind (2000)
- 13 (2013) — 約13年ぶりのオリジナル・スタジオ・アルバムとして発表されました
- Still Cyco Punk After All These Years (2018) — 再録/再構築アルバム
また、バンドは複数のEP、スプリット盤、コンピレーション、映像作品を発表しています。オリジナル・アルバムの長期空白期間があったものの、スプリット/コンピレーションアルバム『Friends & Family, Vol.2』(2001年)、『Year of the Cycos』(2008年)、『No Mercy Fool!/The Suicidal Family』(2010年)、『The Mad Mad Muir Musical Tour』(2011年)などでは、未発表曲や再録曲を断続的にリリースしています。
遺産と現在
Suicidal Tendenciesは、ハードコア・パンクとメタルの境界を曖昧にしたクロスオーバー・シーンの先駆者として評価され、数多くのバンドに影響を与え続けています。結成以来の数多くのラインナップ変更にもかかわらず、マイク・ミューアの下でバンドは活動を継続しており、ライブパフォーマンスやフェス出演を中心に世界各地で支持を保っています。
※本文中のアルバム年表やリリース状況は概略であり、編集盤・再発盤・ライブ盤などを含めると作品数はさらに増えます。