スーパーマリオ128とは:スペースワールド2000で示された任天堂の開発プロジェクトと技術的影響

スペースワールド2000で公開された『スーパーマリオ128』の開発概要と、ピクミン〜トワイライトプリンセス・ギャラクシーに及ぶ任天堂の技術的影響を詳述。

著者: Leandro Alegsa

スーパーマリオ128とは、本来は『スーパーマリオ64』の続編をめざして行われた一連の開発プロジェクトおよび技術デモの総称です。2000年に開催された任天堂の展示会「スペースワールド」で披露された技術デモは、複数の「マリオ」モデルを同時に動かすインスタンシングやリアルタイム物理演算、球状の地形に沿った重力表現などを示し、当時のゲーム開発における新しい表現可能性を明らかにしました。デモ自体は製品版としては発売されませんでしたが、そのコンセプトや内部で試された技術は後の複数のタイトルへと受け継がれていきます。

技術的な特徴

  • 大量オブジェクトの同時処理(インスタンシング):多数の同一キャラクターを同時に表示・制御する性能を示しました。デモでは「128」という名前にちなみ多くのマリオが同時に動いている様子が話題になりました。
  • リアルタイム物理演算と衝突判定:オブジェクト同士の相互作用や力の伝播をリアルタイムで扱う基礎技術が検証されました。
  • 球体や曲面上の重力表現:球状環境での歩行や落下方向の制御など、従来の平面重力とは異なる重力処理の実装が試みられました。
  • 動的なオブジェクト生成と管理:大量の小さなオブジェクトを高速に生成・破棄・管理するための手法が研究され、その後の群れや群集表現に応用されました。

実際に影響を与えた作品例

  • 『ピクミン』:大量の個体を同時に扱うゲームプレイやオブジェクト管理の技術的土台に、スペースワールドで示された考え方が活かされています(高速なオブジェクト生成や群れの制御)。
  • ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』および『スーパーマリオギャラクシー』:球体や曲面に沿った移動・重力表現など、空間の扱い方に関する技術的知見が反映されています。特に『スーパーマリオギャラクシー』では、多様な重力方向の表現がゲームシステムの中心になりました。
  • 『メトロイドプライム』:物理挙動やリアルタイムでの環境相互作用に関する要素が、探索型アクションの表現に寄与しています。

位置づけと結論

スーパーマリオ128は最終的に単独の市販タイトルとしてはリリースされませんでしたが、スペースワールドで示された「多体処理」「物理演算」「球体空間の重力表現」といった技術コンセプトは、任天堂内の研究・開発において重要な転換点となりました。宮本茂氏らも後に、デモで試した技術やアイデアが複数の作品に分散して取り入れられたことを示唆しており、結果的に同社のゲーム表現を広げる役割を果たしたと評価されています。

歴史

スーパーマリオ64の続編

スーパーマリオ128という名称は、1997年1月に宮本茂が『スーパーマリオ64』の続編の名称として初めて使用したものである。スーパーマリオ64の続編として噂されていた「スーパーマリオ64-2」は、64DD用に開発されると言われていたが、64DDの商業的失敗により中止されることになった。宮本茂氏は1997年のE3のコンベンションで、このプロジェクトについて「これから始めるところだ」と言及している。

今、64DDで発売する「マリオ64-2」の準備の真っ最中です。64DDの情報蓄積能力を生かしたいと思っています。今のところ、ルイージもフル参戦していますが、マリオとルイージの2人プレイはまだ考えていません。処理能力の問題もあるので、やろうと思えばできるのですが。

- 宮本茂、1997年12月

1999年11月、宮本茂は「そういえば、もう1年以上、私のデスクでは、マリオとルイージのプロトタイププログラムがモニター上で動いている。このゲームは、まったく新しいゲームシステムで動くものなのかもしれない "と考えていた。このゲームには、1つのレベルのデモが作られただけだった。宮本は、マルチプレイヤー機能は、このゲームの最初の側面として盛り込みたかったと主張した。

Nintendo Power:『スーパーマリオ64』の続編はどうですか?
宮本です。ゲームについては考えていて、まったく新しいシステムで動くようなものになるかもしれません。
ニンテンドーパワー2人同時の協力プレイのゲームを作る予定はありますか?
宮本です。宮本:実は4人同時プレイも考えているのですが、その場合は1つ1つの画面を非常に小さくする必要がありますし、新しいカメラワークも実装しなければなりません。でも、こういう問題に取り組むのは好きなんですよ。

- 宮本茂、Nintendo Power購読者向けスペシャル、1998年



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