供給側経済学(トリクルダウン)とは:ラファー曲線・歴史・批判を解説

供給側経済学(トリクルダウン)の歴史・ラファー曲線・主張と批判を分かりやすく解説。理論の効果と問題点を短時間で把握。

著者: Leandro Alegsa

供給側経済学(しばしば「トリクルダウン(滴り落ち)」経済学と呼ばれる)は、富裕層や企業への減税や規制緩和によって生産や投資が促進され、結果的に経済全体が成長して下位層にも好影響が「滴り落ちる」とする考え方です。支持者は、税率が高いと生産意欲や投資が損なわれるため、税負担を軽くすることで労働・資本の供給が増え、長期的に経済成長と雇用が拡大すると主張します。加えて、多くの供給側支持者は政府支出の抑制、低インフレ、規制緩和や市場の自由化といった政策も合わせて支持します。

ラファー曲線と理論的な枠組み

供給側の理論的支柱の一つがアーサー・ラファーによる「ラファー曲線」です。ラファー曲線は、税率と税収の関係を示す概念図で、税率が極端に低ければ税収は少なく、税率が極端に高ければ経済活動の抑制や脱税・租税回避の増加で税収が減るため、ある中間点で税収が最大になると説明します。つまり、税率を下げれば必ず税収が増えるわけではなく、税率が高すぎる場合には減税で税収が増えることがあり得る、という主張です。

歴史的背景と主な採用例

供給側政策は20世紀後半に注目を集め、特に1970–80年代の経済政策論争で中心的な役割を果たしました。アメリカではロナルド・レーガンが大統領を務めていた1980年代に供給側的な減税政策が実施されました。レーガン政権の期間に、最高実効税率は段階的に引き下げられ、1980年代後半には約28%台にまで下がったとされます。また、キャピタルゲイン税の引き下げや規制緩和も行われました。イギリスでもマーガレット・サッチャー政権下で市場の自由化や規制緩和が進められ、似た論点が議論されました。

政策メカニズム(なぜ効くとされるか)

  • 労働供給の増加:所得税や社会保険負担が下がると、働く意欲が高まり労働参加や労働時間が増えるとされる。
  • 資本形成と投資の促進:法人税やキャピタルゲイン税が低ければ企業や富裕層がより多く投資し、生産力が増す。
  • 企業活動の効率化:規制緩和や税負担の軽減により生産コストが下がり、企業の収益性・競争力が上がる。
  • 税率と租税回避の関係:高税率は租税回避や脱税、資本の国外流出を誘発するため、適正な税率にすることで課税ベースが拡大するとされる。

主要な批判と論点

供給側経済学には多くの批判があります。主な指摘は次の通りです。

  • トリクルダウンの効果の実証性が弱い:富裕層に減税しても、その追加的所得が必ずしも国内の労働者や低所得層に回るとは限らない(貯蓄や海外投資に回る可能性)。このため批判者は、供給側理論をあざ笑う意味でそれを「ブードゥー経済学」と呼ぶことがあります。
  • 格差の拡大:減税は相対的に高所得者に恩恵が大きく、結果として所得格差が拡大する傾向があるとする指摘が多いです。
  • 財政赤字と社会保障削減:大規模な減税が歳出削減と組み合わされない場合、財政赤字の拡大を招きやすく、公共サービスや社会保障の削減につながる恐れがあります。
  • 成長効果の限定性:多くの実証研究は、減税が短期的・中期的に経済成長を押し上げる効果はあるものの、減税だけで成長率の大幅な上振れを長期的に維持することは難しい、と結論付ける場合が多いです(成長効果は制度設計や経済環境に依存)。

実証研究と経済学界の見解

経済学者の間では意見の分かれる分野ですが、広く見られるコンセンサスは次の通りです。

  • ラファー曲線の存在自体は理論的に支持されるが、どの税率が税収最大点(曲線の頂点)に対応するかは国・時期・税目によって大きく異なるため、単純に「減税すれば税収が増える」とはいえない。
  • 多くの研究は、通常の税率水準(先進国の典型的な範囲)では、減税が税収を完全に相殺するほどの成長を生むことは稀であり、部分的にしか税収増にならないことが多いと示唆している。
  • 動学的効果(時間をかけて成長が税収に反映される)をどう評価するかで結論が変わるため、政策評価は慎重な動的スコアリングや長期的視点を必要とする。

現代における供給側政策の変形と応用

現代の政策議論では、「供給側」と呼ばれる要素が単純な富裕層優遇の減税とイコールに扱われないことも多いです。たとえば、研究開発税制の優遇、教育・職業訓練への投資、インフラ整備、競争促進のための規制改革などは、供給能力(潜在成長力)を高めるための政策として評価されます。これらは単なる所得税の引き下げよりも広い意味での「供給側政策」として支持を得ることがあります。

結論(要点の整理)

供給側経済学は、税制や規制を通じて供給(生産能力)を刺激すれば、経済全体の成長が促されるという考えに基づいています。しかし、その効果の大きさや分配面での帰結、財政への影響については依然として議論の的です。実務上は、減税・規制緩和を行う際に、期待される成長効果を慎重に評価し、所得再分配や社会保障の安定、財政健全性をどう担保するかを同時に考える必要があります。

質問と回答

Q:サプライサイド・エコノミクスとは何ですか?


A: サプライサイド経済学とは、トリクルダウン経済学とも呼ばれ、社会で最も裕福な人々に対して減税を行えば、その余剰資金で経済への投資を行うとする理論である。

Q: サプライサイド・エコノミーの支持者は何を信じているのですか?


A: 供給側経済学の支持者は、税金は生産性を罰するものであり、もし税金が下がれば、人々はより多くの商品やサービスを生産するようになると信じています。また、政府支出の制限、低インフレ、経済規制の緩和も支持しています。

Q: ラッファー曲線と呼ばれる理論でサプライサイドの経済学を支持したのは誰ですか?


A: 経済学者のアーサー・ラファーは、ラッファー曲線と呼ばれる理論でサプライサイドの経済学を支持しました。

Q: ロナルド・レーガンの大統領時代、サプライサイド・エコノミクスはどのように使われたのか?


A: 1980年代のロナルド・レーガン大統領時代には、アメリカの富裕層に対する所得税が70%から50%に、キャピタルゲイン税が28%に減税されました。

Q: サプライサイドの経済政策の支持者はどのように言っているのか?


A: サプライサイドの経済政策の支持者は、それらの減税が1980年代の景気回復、1990年代と21世紀最初の10年間の力強い好景気をもたらしたと言及しています。

Q: これらの政策にはどのような批判があるのでしょうか?


A: サプライサイドの経済政策に対する批判は、富裕層に多くのお金を与え、貧しい個人や家族にはあまり還元されないため、貧富の差が大きくなるとしています。また、減税の結果、最も必要とする人々のためのプログラムが削減されるという批判もあります。さらに、大規模な減税と軍事費の増加が組み合わさり、政府の負債を増加させたと批判しています。

Q: ブードゥー・エコノミクスとは何ですか?



A: ブードゥー経済学とは、サプライサイド経済学の別名で、富裕層や企業に減税することで、より貧しい個人や家庭にお金が落ちることを示唆するものですが、そのようなことはほとんど起こりません。


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