SUDOC(フランス大学図書館共用カタログ)—1,000万件超の学術文献オンライン目録
Système universitaire de documentation(SUDOC)は、フランスの大学や高等教育機関の図書館で共同利用される総合書誌データベース(連合目録)です。大学図書館が所蔵する文献を一元的に把握・検索できるように設計されており、教育・研究活動を支える重要なインフラとなっています。このオンラインカタログには1,000万件超の文献が登録され、学生や研究者は3,400以上のドキュメントセンターの書誌情報や所蔵場所(所在情報)を確認できます。カタログの維持管理は、Agence bibliographique de l'enseignement supérieur(高等教育文献情報局)が行っています。
カバー範囲と収録資料
- 収録件数:1,000万件を超える書誌レコード(単行本、雑誌、学位論文、地図、音像資料、電子リソース等を含む)。
- 参加機関:大学図書館、研究機関、専門学校など約3,400を超える図書館・ドキュメントセンターが参加。
- 所蔵情報:各機関が保有する物理資料の所在情報のほか、電子版や一部のデジタル資料へのリンクも提供。
主な機能
- 検索機能:タイトル、著者、主題、ISBN/ISSNなどによる基本検索と詳細検索。
- 所蔵表示:特定資料のどの図書館に所蔵されているかを一覧表示。
- 権威ファイルの利用:人名・件名などの統一見出しを用いた検索で精度が向上。
- 相互貸借(PEB)支援:所属図書館を通じて他館所蔵資料の取り寄せ依頼が可能(手続きは各館により異なる)。
- 共同目録作成:参加機関が共同で書誌レコードを作成・更新することで重複を避け、データ品質を保つ仕組み。
利用方法(実用的な手順)
- 1)検索語を入力:まずタイトルや著者名、ISBNなどで検索します。引用やフレーズは引用符で囲むと精度が上がる場合があります。
- 2)該当レコードの表示:書誌情報を開くと所蔵館一覧や所蔵形態(冊数、コピー、電子版の有無)が確認できます。
- 3)取り寄せ・利用申請:資料が所属する図書館に所蔵があれば、自分の所属館を通じて相互貸借(PEB)を依頼できます。取り寄せ方法や手数料は所属館に確認してください。
- 4)書誌情報の活用:引用データや書誌IDをメモして管理、研究ノートや参考文献リストに活用できます。
データと相互運用性
SUDOCのデータは図書館間で共有・交換される標準的な書誌フォーマットを基に構築されており、図書館システムや外部の学術サービスと連携しやすくなっています。書誌レコードのダウンロードやエクスポート、リンク生成機能を備え、研究管理ツールや学術リポジトリと併用することができます。
運営と共同作業の特徴
このカタログは各図書館が情報を持ち寄って作る「共同目録」であり、ABES(Agence bibliographique de l'enseignement supérieur)が中央で管理・技術支援を行っています。参加館は相互に記録を整備・更新し、利用者に正確な所蔵情報を提供するための共同作業を行っています。
利用上のヒント
- 特定の版や刊行年を探すときは、詳細検索で出版年や出版社を指定する。
- ISBNやISSNでの検索は同一文献の特定に有効。
- 外国語資料や古い資料は所蔵館の説明や注記をよく確認する(所蔵条件が限定される場合がある)。
- 検索結果に電子版へのリンクがある場合は、所属機関の認証が必要なことがあるため所属図書館のアクセス方法を確認する。
- 不明点や複雑な取り寄せについては、所属図書館のレファレンスカウンターに相談するのが最短です。
SUDOCはフランスの高等教育・研究コミュニティにとって不可欠な資源であり、分散する学術資料を効率よく検索・取得するための強力なツールです。まずはカタログで検索を試み、必要に応じて所属図書館を通して取り寄せ手続きを行ってください。
関連ページ
- フランス国立図書館