テイデ(テネリフェ島の活火山・標高3,718m)—スペイン最高峰・ユネスコ世界遺産
テイデは、テネリフェ島(スペイン・カナリア諸島)にある活火山です。
標高3,718mの火山。スペインで最も高い山であり、大西洋に浮かぶどの島でも一番高い。海底からの高さは7,500メートルで、麓から見ると世界で3番目に大きい火山である。
2007年にユネスコの世界遺産に登録されたテイデ国立公園内に位置する。
地質と火山活動
テイデは長い火山活動の歴史を持ち、巨大なカルデラ(Las Cañadas)内にそびえる中心火山です。火山活動は現在も継続する「活火山」とされ、過去数万年にわたって溶岩流や火山灰の噴出を繰り返してきました。テネリフェ島内で最後に記録された歴史時代の噴火は1909年のチニエロ(Chinyero)火山の噴火であり、これはテイデ火山系の一部と考えられていますが、中心火山そのものもホロシーン(約1万年以内)に活動しています。
自然環境と生態系
テイデ国立公園は高度差と乾湿差が大きいため、低地から高地まで多様な植生帯が見られます。標高の低い場所には乾燥した低木帯が広がり、高山帯には固有種が多く、特に高地に生育するテイデスミレ(Viola cheiranthifolia)などの固有植物や、砂礫地を好む特殊な昆虫類が知られています。保全上の価値が高く、希少種の保護が行われています。
観光と登山情報
テイデは観光地としても非常に人気があり、ハイキング、自然観察、写真撮影、天体観測など多くのアクティビティが楽しめます。主要な施設と注意点は以下の通りです。
- ロープウェイ(Teleférico del Teide):ロープウェイで標高約3,555mの上駅まで登ることができます。山頂(3,718m)までは上駅から約160mの高低差があり、山頂直下の狭いピーク部へ入るには事前に許可が必要です(登頂許可制度)。
- 登山ルート:山麓からの長距離登山ルートやカルデラ内のトレイルが整備されています。標高差が大きく天候変化も激しいため、十分な装備と体力が必要です。
- 気候:高山気候で、夏でも朝晩は冷え、冬は雪が積もることがあります。紫外線が非常に強いため日焼け対策も必須です。
天文観測と科学的価値
テイデ周辺は大気が安定し晴天日が多いため、天文観測に適した場所としても知られています。近隣にはObservatorio del Teide(テイデ天文台)があり、光学・太陽観測などで国際的に重要な観測拠点となっています。
歴史と文化的意義
先住民グアンチェ(Guanche)にとってテイデは宗教的に神聖な山であり、地元の伝承や名称にもその痕跡が見られます。現在では観光・研究の対象であると同時に、地元住民にとって象徴的な存在です。
アクセスと注意事項
- テネリフェの南北空港や主要都市(サンタクルス、プエルト・デ・ラ・クルス)から車でアクセス可能。公園内は主要道路(TF-21など)が通じています。
- 保全のためのルールがあり、指定されたトレイル以外の立ち入り制限や登頂許可の申請が必要な場所があります。訪問前に最新の情報を自治体や国立公園管理事務所で確認してください。
- 高山症、急な天候変化、強い紫外線への備えとして、服装・水分・食料・サングラス・日焼け止めなどを必ず用意してください。
テイデは自然のスケール、地質学的・生態学的価値、文化的背景、そして星空観察の魅力を兼ね備えた場所です。訪れる際は保全ルールを守り、安全に配慮して楽しんでください。


テイデ
関連ページ
- 火山リスト
- 休火山
- 死火山