101匹わんちゃん(ダルメシアン百匹わんちゃん)とは ドディ・スミスの1956年児童小説
ダルメシアン百匹わんちゃん(原題: The Hundred and One Dalmatians, 別題 The Great Dog Robbery)は、ドディ・スミスによる1956年の児童小説である。作品は、ダルメシアンの子犬101匹の毛皮を作ろうと企てる悪名高いクルエラ・ド・ビル(Cruella de Vil)と、その計画から子犬たちを救おうとする犬や人間たちの活躍を描く。ディズニーは1961年に原作を基にしてアニメ映画「One Hundred and One Dalmatians」を公開し、本作は日本語では一般に『101匹のダルメシアン』としても知られている。スミスは本作の続編として『星影の吠え声』(The Starlight Barking)も執筆している。
あらすじ
物語はロンドンを舞台に、飼い主のロジャーとアニタ(とその飼い犬ポンゴとミシス/ディズニー版ではペリディタ)が幸せに暮らしているところから始まる。ある日、服に使うためにダルメシアンの毛皮が欲しいという野望を持つクルエラが、子犬たちをさらわせる計画を立てる。子犬たちは誘拐されるが、ポンゴや仲間の動物たち、さらには人間側の協力もあって救出劇が展開され、最終的に101匹の子犬たちは無事に保護されるという筋立てである。
主な登場人物
- ポンゴ — 飼い犬で、子犬たちを救おうと奮闘するオスのダルメシアン。
- ミシス(ディズニー版ではペリディタ) — ポンゴのメス犬で、母としての役割が描かれる。
- ロジャーとアニタ — 犬たちの飼い主となる夫婦。物語の人間側の主要人物。
- クルエラ・ド・ビル — 毛皮を得るために子犬を狙う極悪のファッション狂。名前は "cruel devil"(残酷な悪魔)という語感のしゃれにも近い。
テーマと評価
本作は子ども向けの冒険譚として楽しめる一方で、動物愛護や動物に対する残酷さへの批判といったテーマも含んでいる。クルエラ・ド・ビルは強烈な個性を持つ悪役として広く知られるようになり、ポピュラー文化における象徴的なキャラクターの一つとなった。発表以来、子ども向け文学として高い人気を保ち、各国語に翻訳されている。
映像化・派生作品
最も有名な映像化は1961年のディズニー長編アニメ映画「One Hundred and One Dalmatians」で、ここでクルエラや犬たちのキャラクターが広く知られるようになった。その後、1996年には実写映画「101 Dalmatians」(グレン・クローズがクルエラを演じる)が公開され、2000年には続編の実写映画「102 Dalmatians」も制作された。ディズニーによる続編アニメ(直販ビデオ作品)や、舞台ミュージカル、さらにはクルエラの若き日を描いたスピンオフ映画『Cruella』(2021年)など、多数の派生作品が生まれている。
原作と映像版の違い
原作とディズニー版では細部に違いがある。たとえば原作ではメス犬の名が「ミシス(Missis)」であるのに対し、映画では「ペリディタ(Perdita)」と名付けられている点などがある。物語のトーンや演出、登場人物の描写にも相違があり、それぞれ別の魅力がある。
続編と余波
スミスは本作の後に続編として『星影の吠え声』(The Starlight Barking)を発表し、物語世界を拡張した。さらにディズニー作品を中心に、多くの世代で親しまれ続けており、クルエラをはじめとするキャラクターはファッションやポップカルチャーにも影響を与えている。