ミッシング・リンク 1980年のフランス・ベルギー成人向けアニメ映画 ピシャ監督の進化論風刺 カンヌ出品

ミッシング・リンク』フランス語Le Chaînon manquant)は、1980年のフランス=ベルギー合作による成人向けアニメーション映画である。作者・監督は風刺画家・漫画家として知られるピシャ(Picha、本名ジャン=ポール・ワルラヴァン)。ピシャが脚本と監督を務めた本作は、前作Tarzoon: Shame of the Jungleほどの商業的成功は得られなかったが、1980年のカンヌ映画祭に出品され、注目を集めた。

製作経緯

本作は長期にわたる準備と制作を経て完成した。ピシャは当初からダーウィンの理論や人類の起源、進化に関するテーマを取り上げることを意図しており、企画は1960年代半ばから温められていた。制作は1965年から1979年にかけて断続的に続けられたが、1974年にピシャが前作Tarzoon: Shame of the Jungleの制作・公開に関わるため一時プロジェクトを離れた。1977年に再び本作に戻り、配給についてはコロンビア・ピクチャーズを配給者として選定した後、1980年に完成し公開された。

あらすじ(概略)

物語は人間の起源や進化を寓話的に描くもので、原始的な生物から現代社会に至るまでの変容を通じて、人間の欲望、虚栄、社会的矛盾を風刺する内容となっている。ピシャらしい過激なユーモアと性的描写、グロテスクなデザインが随所に用いられ、単純な進化史の再現ではなく、風刺劇としての色彩が強い。

表現とテーマ

  • 風刺とユーモア:ピシャ特有の辛辣な社会風刺が中心で、宗教観や権力構造、性道徳などを揶揄する場面が多い。
  • 成人向け表現:性的ユーモアや露骨な描写を含むため、明確に成人向けを意図した作品である。
  • 視覚スタイル:荒唐無稽で奇妙なキャラクターデザインや独特のアニメーション表現により、観客に強い印象を残す。

公開と評価

1980年に公開され、同年のカンヌ映画祭にも出品されたものの、批評家や観客の評価は賛否両論に分かれた。前作のような商業的成功には至らなかったが、成人向けアニメーションとしての挑戦性や風刺の鋭さは評価され、一部でカルト的な支持を得た。性的描写や過激な風刺は物議を醸すこともあり、地域によっては検閲や年齢規制の対象となった。

影響と意義

本作はヨーロッパにおける成人向けアニメーションの流れの中で重要な位置を占め、アニメを単なる子ども向け娯楽にとどめず、成熟したテーマや政治的・社会的風刺を表現する媒体として示した点で意義がある。ピシャの作風(過激なコメディと風刺を組み合わせた表現)は、その後の成人向けアニメや風刺アニメーションに影響を与えたと評価されることが多い。

備考

  • 本作は前作Tarzoon: Shame of the Jungle(1975年公開)と同様に、成熟した観客層を想定したコンテンツである。
  • 制作・配給に関する詳しい経緯や公開時の詳細な反応については、当時の資料や批評を参照するとより深く理解できる。

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