The Vault of Horror(ヴォールト・オブ・ホラー、<別題:>Further Tales from the Crypt、Tales from the Crypt IIとも表記)は、イギリスのアンソロジーホラー映画である。1973年にアミカス・プロダクションズ(Amicus Productions)によって製作され、監督はロイ・ワード・ベイカーが務めた。本作は、1972年のアミカス映画『Tales from the Crypt』に続く同社のホラー・アンソロジー作品で、元となったのはアル・フェルドスタインとビル・ゲインズによるECコミックスの物語群である。
概要
『ヴォールト・オブ・ホラー』は短編オムニバス形式のホラー映画で、複数の独立したエピソードが連作状に並び、いずれも皮肉な落ちや残酷な結末を持つ、いわゆる“EC流”の作風が特徴である。映像表現やブラックユーモア、倫理的な反転(悪事を働いた者への鉄槌)といった要素は、原作コミックの雰囲気を受け継いでいる。
原作との関係と相違点
重要な点として、本作に収められたエピソードの多くは、タイトルにあるVault of Horror(ヴォールト・オブ・ホラー)誌そのものから採られたものではなく、むしろ『Tales from the Crypt』誌に掲載されていた短編が中心になっている。例外的に1編だけはShock SuspenStoriesからの流用である。また、原作コミックでおなじみのホスト的存在である“Vault Keeper”(ボールト・キーパー)のキャラクターは映画版には登場しない。こうした点から、タイトルと原作の出典が必ずしも一致しないことに注意が必要である。
構成(形式)
映画は数編の独立した物語で構成され、それぞれが短いプロローグやエピローグでつながれる形式をとっている。各エピソードは比較的短時間で完結し、しばしばブラックユーモアを伴った意外な結末で締めくくられる。映像は1970年代初頭のイギリス映画らしい演出・撮影でまとめられており、セットや衣装も当時の様式を色濃く反映している。
製作・公開
本作はアミカス・プロダクションズの一作として制作され、1973年に公開された。アミカスは1970年代に多くのホラー・アンソロジー映画を手がけ、イギリスのホラー映画シーンにおいて一定の地位を築いていた。『ヴォールト・オブ・ホラー』は前作『Tales from the Crypt』(1972年)に続く流れの作品であり、シリーズ的な期待を背負って公開されたが、評価は作品ごとに分かれている。
評価と影響
公開当時およびその後の評価は賛否両論で、原作コミックのエッセンスを活かしたシニカルな語り口や映像表現を評価する声がある一方、構成や脚本の出来、演出の差などを批判する声もあった。とはいえアミカスのアンソロジー作品群の一作として、ホラーファンの間で一定の知名度と影響力を持ち続けている。
見どころ
- 短編ごとに完結する“ひねりのある結末”とブラックユーモア。
- ECコミックスの雰囲気を映像化したスタイル(ただし出典は混在)。
- ロイ・ワード・ベイカー監督による堅実な演出と1970年代風の美術。
参考:映画のタイトル表記や収録話の出典などは、版や配給によって表記が異なる場合がある。原作コミックやアミカスの他作品と合わせて鑑賞すると、当時のホラー表現の文脈がよく分かる。