危険な生年月日(1983年映画)概要とキャスト監督情報
概要
危険な年 (The Year of Living Dangerously)は、ピーター・ウィアー監督による政治ドラマ映画で、原作はクリストファー・コッチの小説、脚色はデヴィッド・ウィリアムソンが担当しました。物語は1960年代のインドネシア、ジャカルタを舞台に、共和国の政治的不安定さと個人の倫理・愛情が交錯する様を描いています。主要キャストはメル・ギブソン、シガーニー・ウィーバー、リンダ・ハントです。
あらすじ
若きジャーナリストのガイ・ハミルトン(メル・ギブソン)は、ジャカルタでエージェンシーの仕事や人脈作りに苦労している。ある日、小柄な写真家ビリー・クワン(リンダ・ハント)と親しくなり、彼の紹介でイギリス大使館の外交官ジル・ブライアント(シガーニー・ウィーバー)と出会う。やがてブライアントはハミルトンに惹かれ、彼女は共産党の反乱が近いという極めて重要な情報をもたらす。報道と政治の緊張が高まる中で、ハミルトンは記者として、また人間として重大な選択を迫られる。作品は恋愛と政治的良心、報道の責任をテーマに展開し、ビリー・クワンの存在が物語の倫理的軸となっていきます(作品中にはビリーの悲劇的な結末も描かれます)。
キャスト・スタッフ
- ガイ・ハミルトン — メル・ギブソン
- ジル・ブライアント — シガーニー・ウィーバー
- ビリー・クワン — リンダ・ハント
- 監督:ピーター・ウィアー
- 原作:クリストファー・コッチ(小説)
- 脚色:デヴィッド・ウィリアムソン
- 作曲:モーリス・ジャール(Maurice Jarre)
- 撮影:ラッセル・ボイド(Russell Boyd)
製作・撮影について
当時のインドネシア情勢や検閲の都合により、ジャカルタでの撮影は難しく、フィルムは主にフィリピン(マニラ)などでロケーション撮影が行われました。ピーター・ウィアーらは現地の政治的雰囲気を映像化するために細部に配慮し、衣装や美術、言語表現を通じて時代背景の再現に努めています。
公開・受賞
オーストラリアでは1982年に公開され、その後アメリカでは1983年1月21日に公開されました。リンダ・ハントは助演女優としてアカデミー賞(Best Supporting Actress)を受賞し、この役で高い評価を得ました。ほかにも脚色や演技面で各国の映画賞や批評家の注目を集めています。
評価・テーマ
批評家は特にリンダ・ハントの演技、メル・ギブソンとシガーニー・ウィーバーの掛け合い、そして政治的緊張感の描写を評価しました。一方で、歴史的事件の解釈や描写については議論を呼ぶ点もあります。主なテーマは、報道の責任、個人の倫理観、そして政治情勢の中での愛と信頼のあり方です。
補足情報
- 原題:The Year of Living Dangerously
- ジャンル:政治ドラマ/ロマンス
- 言語:英語(一部インドネシア語など)
- 制作国:オーストラリア(主導)
- 作曲:モーリス・ジャール(映画音楽)
- リリース(米国):1983年1月21日
作品は歴史的事象を背景に人間ドラマを描いた映画として現在も語り継がれており、特にリンダ・ハントの演技は映画史上に残るものとして評価されています。