温度計は、温度(物がどれだけ熱いか・冷たいかの程度)を測定・表示するための器具です。代表的なものに、狭いガラス管の中で液体(水銀や着色アルコール)が膨張して管に沿って上がる「液体温度計」があります。他に、温度に応じて電気的特性が変化する素子を使い、読み取りを電子的に行う「デジタル温度計」も広く使われています。
ガリレオの時代に作られた初期の装置は「温度計」というより「温度計測器(サーモスコープ)」で、空気の膨張・収縮を利用していました。17世紀中頃からは、封入した液体(アルコールや水銀)を用いたものが登場し、19世紀には工業や家庭で見られる機械式の温度計として、バイメタル(異なる金属を張り合わせた帯)を使いポインタを動かす仕組みが普及しました。現在では、用途に応じて液体、バイメタル、電子式(サーミスタ、サーモカップル、抵抗温度検出器など)といった種類が使い分けられています。
仕組み(簡単な原理)
- 液体温度計:ガラスの毛細管に入れた液体が温度上昇で膨張し、管内を上昇します。水銀は線が細く見やすく、沸点が高く蒸発しにくいなどの利点がありますが、有毒で取り扱いに注意が必要です。アルコールは低温まで測定でき着色しやすいため読みやすく、低温環境でよく使われます。
- バイメタル温度計:異なる熱膨張率を持つ二種類の金属を張り合わせた帯(バイメタル)が温度変化で曲がり、その変形を機械的に増幅して指針を動かします。堅牢で電源が不要、目視で読みやすいため室内・空調・オーブンなどに使われます。
- 電子式(デジタル)温度計:代表的な素子に、
- サーミスタ(熱で抵抗が大きく変わる半導体)— 小型・高感度だが温度範囲は限定的
- RTD(抵抗温度検出器、主に白金)— 高精度・長期安定性が良いが高価
- サーモカップル(異種金属接合で生じる起電力を測る)— 広い温度範囲に対応し耐熱性が高い
- 温度センサーIC— マイコンと組み合わせて簡単にデジタル表示可能
種類と用途の例
- 医療用:電子体温計(口腔・耳・額用)は速く安全に体温を測定できます。
- 家庭用・気象観測:外気温や室温を測るための液体温度計・デジタル温度計。
- 産業用:高温炉や化学プラントではサーモカップル、精密な品質管理ではRTDが用いられます。
- 調理:オーブンや食材の中心温度を測るプローブ型デジタル温度計。
歴史の概略
- 16〜17世紀:ガリレオらが空気の膨張を利用した温度計測器(サーモスコープ)を考案。
- 17世紀中頃:液体を封入した温度計が発展。封じた液体の上昇で目盛りを読む形式が普及。
- 18世紀:温度の数値化と尺度の整備が進む(華氏・摂氏などのスケールが登場)。
- 19世紀:工業化に伴いバイメタル式や各種機械式温度計が実用化され、近代的な温度計の種類が増加。
- 20世紀以降:電子技術の発展でデジタル温度計・半導体センサー・高精度RTDなどが広く使われるようになりました。
測定単位と校正
- 主な温度単位は摂氏(℃)、華氏(°F)、絶対温度としてのケルビン(K)です。科学分野ではケルビンが標準で使われます。
- 温度計は定期的な校正が必要です。簡単な方法として氷点(0℃近辺)や沸点(100℃近辺、気圧に依存)で基準合わせを行います。産業用途では標準器に対するトレーサビリティのある校正が求められます。
使い方と注意点
- 水銀温度計は落下で割れると危険なので、取り扱いに注意し、廃棄は自治体の指示に従ってください。
- 液体温度計は目の高さで読み取り、気泡や液柱の切れ目が無いか確認します。
- 電子式は設置場所やプローブの接触状態で誤差が出やすいので、測定条件を統一することが重要です。
- 用途に応じたタイプ(応答速度、測定範囲、耐環境性、精度)を選び、必要なら校正証明書のある機器を使ってください。
まとめ
温度計は単に数字を示すだけでなく、仕組みや用途に応じて多様な形態があります。家庭や医療、産業、科学研究など求められる特性が異なるため、用途に合った種類を選ぶことが重要です。また、水銀のような有害物質の扱いや定期的な校正といった安全・品質管理も忘れてはなりません。


