植物のとげとは?棘・刺・刺状突起の違いと防御・共進化
植物のとげ(棘・刺・刺状突起)の違いと防御機構、動物との共進化を図解でわかりやすく解説。
植物の「とげ」は日常語では一括りにされますが、植物学では起源や構造の違いによって区別されます。総称としてのとげには、茎や枝が変化したもの、葉やその一部が変化したもの、表皮や皮層から生じた突起などがあり、それぞれ外見は似ていても発生起源や機能、折れやすさが異なります。
「棘」「刺」「刺状突起」の違い
- 茎・枝由来(いわゆる「棘」や「thorn」):植物の枝や茎が鋭く変形したもの。発生学的に茎器官であるため、内部に維管束(木部・篩部)を含み、幹としっかりつながっています。抜けにくく丈夫です。枝の先端が変化した例がこれに当たります。
- 葉由来(「刺」や「spine」):葉そのもの、葉柄、托葉や葉の一部が変形してできるとげ。サボテンの多くの刺は葉由来で、細くて鋭く乾燥地での水分喪失を防ぐ働きもあります。葉の変形によるものが典型です。
- 表皮・皮層由来(「刺状突起」や「prickle」):表皮や皮層から形成される突起で、茎や枝の表面から生えているため、簡単に取れることが多いです。バラ(イバラ)のとげが代表例で、構造的には枝や葉由来のとげと違い維管束を持ちません。
見分け方のポイント
- 付着部を確認:葉の付け根(葉痕)に由来すれば葉由来、節や枝の伸びる位置から生じていれば茎・枝由来、表面にぽつんと生えていて簡単に取れれば表皮由来のことが多い。
- 維管束の有無:維管束がつながっていれば茎・枝由来(頑丈)、維管束がなければ刺状突起(取りやすい)。
- 取りやすさ:表皮由来の突起はしばしば簡単に取れるが、茎由来は取れにくい。
防御機能と共進化
とげは主に草食動物から身を守るための機械的防御です(草食に対する防御)。とげによって食べにくくする・刺して痛みを与えることで摂食を減らします。さらにとげは、乾燥地では日陰を作って蒸散を抑える、捕食者からの被害を減らすなどの副次的な効果を持つこともあります。
植物と動物の間では「共進化(相互の進化的な応答)」が起きることがあります。例えば、アカシアのような植物は強いとげを持つことがあり、これに対してキリンなどの草食動物は、とげを避けたり回避する行動や解剖学的適応を示してきました。ある種のキリンは長くて器用な舌や厚い口腔粘膜を使ってとげの間から葉を摘み取る能力を発達させ、これらは植物のとげを「越える」ための適応の例です(進化してきたという言い方ができます)。また一部のアカシアはアリと共生し、アリが植物を守ることでとげ以外の防御を補強する例もあります。
とげ以外の防御との組み合わせ
多くの植物はとげだけでなく化学的防御(苦味や毒性)や毛(毛状突起)、厚い葉など複数の防御手段を併用します。組み合わせることで、特定の捕食者に対する防御効果を高めたり、異なるタイプの食害者(昆虫・哺乳類など)に対応したりします。
実生活での利用と注意点
- とげのある植物は防犯や生け垣に利用されることが多い(侵入抑止)。
- ガーデニングで扱う際はとげによる怪我に注意。刺さったとげは感染源になり得るため、適切に取り除き消毒すること。
- とげの種類を知ると管理(剪定や移植)の仕方が変わる。たとえば刺状突起は比較的簡単に除去できるが、茎由来の棘は切断や根本からの除去が必要になることがある。
まとめると、植物の「とげ」は見た目は似ていても、起源(茎・葉・表皮)や構造、機能が異なります。それらの違いを知ることで、生態的役割や人間の利用・取扱い方もより正しく理解できます。
ギャラリー
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バラの茎の上のプリクル
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棘とは、先端が鋭く尖った枝のことである。
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このオコジョのトゲは枯れた葉っぱでした
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このアカシアのトゲは葉の下に生えている(写真では茎が横向きになっている)。
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