フリーダイヤル(無料通話番号)とは?仕組み・番号例・コレクトコールとの違い

フリーダイヤルの仕組みや代表番号例、コレクトコールとの違いをわかりやすく解説。導入メリットや注意点まで電話業務を最適化する実用ガイド。

著者: Leandro Alegsa

トールフリー電話番号(一般には「フリーダイヤル」や「フリーコール」とも呼ばれます)とは、その電話番号に電話をかけた側ではなく、当該番号を所有する事業者や団体が通話料を負担する電話番号を指します。つまり、発信者は通常その通話について料金を支払わずに通話できる仕組みです。電話番号の課金主体を受信側に転換することで、顧客からの問い合わせやサポート窓口への着信を促進する目的で広く利用されています。

仕組みと技術的なポイント

  • 通話料の負担:発信者側は原則として通話料を負担しません。通話の終端(着信側)を受け持つ通信事業者が通話料金を請求し、その料金を当該番号の契約者(企業など)が支払います。
  • 発信時の手続き不要:着信側が個別に通話の承諾を求める必要はなく、フリーダイヤル番号を所有している時点で着信通話料を負担する契約になっているため、受電側が毎回同意する手間はありません。
  • 転送・IVR・通話計測:フリーダイヤルは通常、特定の回線やPBX、SIPトランクへ転送されます。IVRや通話録音、通話解析(通話数・発信元の地域別など)を組み合わせて顧客対応やマーケティングに活用されます。
  • 番号ポータビリティ:多くの国でフリーダイヤル番号のポータビリティ(事業者変更時に番号を保持する仕組み)が可能で、運用会社を変更しても番号を維持できますが、手続きや費用、移行期間が必要です。

番号例(地域ごと)

  • 日本:代表的なフリーダイヤルは「0120」や「0800」で始まる番号(例:0120-XXX-XXX)。
  • 北米では通常「1-800」で始まりますが(800は北米番号計画におけるエリアコード)。北米は「1-800」のほか「1-888」「1-877」「1-866」「1-855」「1-844」「1-833」など複数のフリーダイヤルプレフィックスが存在します。
  • イギリス:一般に「0800」や「0808」がフリーダイヤルとして使われます。
  • オーストラリア:通常「1800」がフリーダイヤル(「13」「1300」などはローカル料金や低料金サービスで、必ずしも無料とは異なります)。
  • その他の国や地域でも、それぞれ固有のフリーダイヤルプレフィックスや利用ルールがあります。

発信者が注意すべき点

  • 携帯電話やPHS、IP電話などから発信する場合、接続料金や通話料が発生することがある点に注意してください。国や通信事業者、契約プランによってはフリーダイヤルに課金されるケースもあります。
  • 海外からの発信は多くの場合フリーダイヤルに接続できなかったり、国際通話料が発生したりします。国際フリーダイヤル(ITFS)や有料のアクセス番号を使った代替手段が用意されることがあります。
  • 一部のフリーダイヤル番号は迷惑電話や不正利用の対象になりやすいため、企業側は着信制御や通話記録の導入、通話上限設定などで対策することが重要です。

企業側(番号所有者)が知っておくべきこと

  • コスト構造:初期導入費、月額基本料、通話時間に応じた従量課金などが発生します。大量着信がある場合は月額プランや帯域確保の交渉が必要です。
  • 運用と分析:着信元データや時間帯別の通話数を分析することで、顧客対応の最適化や広告効果の測定(広告媒体ごとに別番号を割り当てる等)が可能です。
  • 契約・ポータビリティ:番号の取得方法や移管手続き、契約期間、違約金などを事前に確認してください。番号ポータビリティには手続き期間がかかります。

コレクトコールとの違い

コレクトコールとは(着信課金通話)は、発信者側が電話会社に直接お金を払う必要がないという点で一見似ていますが、仕組みと運用は異なります。

  • コレクトコール:発信者が通話を依頼すると、電話会社が着信者に「この通話の通話料を負担しますか?」と確認を行い、受話側が個々の通話ごとに承諾した場合にのみ通話料が着信側に課金されます。受け手の明示的な同意が必要です。
  • フリーダイヤル:番号の所有者(企業等)はあらかじめ着信通話料を負担する契約を通信事業者と交わしており、着信時に受話側の都度の同意は不要です。顧客側は原則いつでも無料でかけられる点が利便性の違いです。

まとめ(実用的ポイント)

  • フリーダイヤルは顧客からの問い合わせを増やすために有効な手段ですが、携帯や国際発信時の課金条件や不正利用対策、月次コストを含めた運用計画が重要です。
  • コレクトコールは着信者の都度同意が必要なため、顧客対応やマーケティング用途には一般的に向きません。用途に応じてどちらを使うか選択してください。


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