トラヴィス郡(テキサス州)—オースティンを擁する郡の歴史・人口・地理
トラヴィス郡(オースティン所在)の歴史・人口・地理を詳解。1840年成立から急増する人口動態、地形と地域特性をデータと図でわかりやすく紹介。
トラヴィス郡は、テキサス州中南部の郡である。2010年国勢調査での人口は1,024,266人であった。2014年の推計人口は1,151,145人である。テキサス州で5番目に人口の多い郡である。郡庁所在地はオースティン。オースティンはテキサス州の州都としても知られている。
この郡は1840年に設立された。ウィリアム・バレット・トラビスにちなんで命名された。トラヴィスはアラモの戦いでのテキサス共和国軍の司令官であった。
トラビス郡は、オースチン-ラウンドロック都市圏に属している。バルコンズ断層に沿って位置している。 西はエドワーズ高原、東はブラックランドプレーリーという物理的な境界線がある。
地理
トラヴィス郡は変化に富む地形をもち、西側のやや高地なエドワーズ高原(石灰岩質の台地)から東側の肥沃なブラックランドプレーリーへと傾斜する。郡内をテキサス州のコロラド川(Colorado River)が流れ、その流路上にあるダムによって形成されたレイク(例:レディーバード湖=Lady Bird Lake)はオースティン市街の中心部を形づくっている。気候は一般に湿潤亜熱帯性で、夏は高温多湿、冬は比較的温和である。郡内には公園や保全地域(例:Zilker Park、Barton Springs、McKinney Falls State Parkなど)が点在し、自然環境と都市空間が混在している。
歴史
トラヴィス郡は1840年に設立され、テキサス独立戦争の英雄ウィリアム・B・トラヴィスにちなんで名付けられた。郡内の主要都市であるオースティンは、1839年にテキサス共和国の首都として選ばれたことから急速に発展し、州都所在地として政治・行政の中心となった。19世紀から20世紀にかけては農業や牧畜が主要産業だったが、20世紀後半以降は州政府、教育機関、ハイテク産業などへと経済構造が転換した。
人口と社会
先に述べたように2010年国勢調査では人口は1,024,266人、2014年推計で1,151,145人と報告され、21世紀の初頭以降も継続的に人口が増加している。郡は都市化が進み、多様な民族・文化が混在している。ヒスパニック系やアフリカ系、アジア系の住民が増加しており、若年層や移住者が多いことから労働力と消費市場の拡大が見られる。住宅需要の高まりに伴い、郊外化や交通混雑、住宅価格上昇といった都市的課題も顕在化している。
経済・交通
郡内経済は州政府機関、教育機関(特にUniversity of Texas at Austinの存在)、医療、ハイテク産業、観光・レジャーなどが中心である。オースティン周辺は「ライブ・ミュージックの都」として知られ、音楽・イベント産業やスタートアップ企業が集積している。
交通網は州間高速道路I-35やUSハイウェイ183、州道71、Mopac(Loop 1)などが主要幹線で、通勤や物流の重要ルートとなっている。空路ではオースティン・バーグストローム国際空港(Austin–Bergstrom International Airport)が郡の南東部に位置し、国内外のアクセスを担っている。公共交通としてはCapital Metroがバスや通勤列車サービスを提供しているが、郊外の拡大に伴い公共交通整備の必要性が高まっている。
教育・文化・観光
郡内には高等教育機関や研究施設が集まっており、特にオースティン市内のUniversity of Texas at Austinは学術・研究・文化の中心である。文化面では、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)やAustin City Limits(ACL)といった大規模な音楽・映画・テクノロジーのイベントが開催され、国内外から多くの来訪者を集める。郡内には多数の博物館、美術館、ライブハウス、飲食店があり、観光資源も豊富である。
政府と行政
トラヴィス郡の地方行政は典型的なテキサス州の郡政府構造を採用しており、郡判事(County Judge)と4人のコミッショナーからなるコミッショナーズ・コートが条例・予算・政策決定を行う。他に郡保安官事務所、郡裁判所、公衆衛生部門などが住民サービスを提供している。州都を抱えるため州政府との連携・調整が多く発生する点も特徴である。
トラヴィス郡は経済的・文化的な中心地であるオースティンを核に、成長と変化を続ける地域である。人口増加、開発、環境保全、交通・住宅問題など多面的な課題に取り組みつつ、教育・技術・芸術の分野で全国的にも重要な役割を果たしている。
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