とは、アメリカでは州のすぐ下に位置する基礎的な地方自治体の単位です。50州のうち48州が「郡(county)」を採用しており、ルイジアナ州は郡を小教区と呼んでいます。アラスカ州は郡を廃止して行政区のみを使用していますが、いずれも実務上は郡に相当する地方区分です。米国国勢調査局や各種の集計では、郡と郡に相当する区分(パリッシュ、ボロー、独立市、国勢調査区など)がおおむね3,400前後存在するとされています。

郡の仕組みと役割

郡は州政府と住民との間に位置し、地域サービスの提供や行政管理を担います。主要な役割には次のようなものがあります。

  • 治安と法執行(保安官事務所や郡刑務所の運営)
  • 司法・裁判所の運営(郡裁判所や地方裁判所)
  • 土地登記や記録(登記簿、出生・死亡届など公文書の管理)
  • 財産税の課税と徴収、予算管理
  • 道路・橋梁など基盤整備の維持管理
  • 社会福祉、保健サービス、公衆衛生
  • 選挙の管理(投票所の設置、選挙人名簿の管理)

郡政府の本庁舎や裁判所が置かれる中心地は一般に「郡庁(county seat)」と呼ばれ、行政サービスや公共記録への窓口が集中しています。

郡の種類と特殊事例

州によって郡の呼び方や区分は異なります。主な例を挙げます。

  • 通常の郡(county):多くの州で採用されている基本単位。
  • 小教区(parish):ルイジアナ州で用いられる呼称。宗教的歴史に由来しますが、機能は他州の郡と同様です。
  • ボロー(borough)と国勢調査区(census area)アラスカ州では郡に相当する区分として「ボロー」を使い、未編入地域には国勢調査区が置かれます。
  • 独立市(independent city):バージニア州などでは市が郡と独立しており、郡と同等の行政単位として扱われます。
  • 合併自治体(consolidated city-county):市と郡の行政を統合して単一の政府体制で運営する例もあります(例:サンフアン郡・市の合併など)。

郡の人口・規模

郡の人口は大きく差があります。全米の1つの郡の平均人口はおよそ10万人前後とされますが、人口が非常に多い郡もあれば極端に少ない郡もあります。最も人口の多い郡はカリフォルニア州のロサンゼルス郡で、約980万人(数百万単位)にのぼります。一方で最も人口の少ない郡の一つはハワイ州のカラワオ郡で、国勢調査の結果では数十人から百人に満たない規模です(参考:2020年国勢調査では約80〜90人台)。

州ごとの郡の数

州ごとの郡の数にも大きな差があります。全米平均では1州あたり約62の郡に相当しますが、最少はデラウェア州の3つ、最多はテキサス州の254です。州ごとの郡一覧は各州ごとのページで詳しく掲載されています。

これらのページには、各州のすべての郡が掲載されています。

*注:ルイジアナ州は郡ではなく小教区に分かれている唯一の州ですが、合計で64の小教区があります。