元素121 ウンビウニウム(Ubu)とは — 未確認の超アクチノイド概説

元素121・ウンビウニウム(Ubu)とは?未確認の超アクチノイド候補、性質・合成実験と理論的予測をわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

ウンビウニウム(英: Unbiunium、仮符号 Ubu)は、原子番号121の仮説上の超重元素です。IUPACによる暫定命名規則に基づく仮の命名(3文字で表される系統名)は、恒久的な名称が正式に決定されるまで用いられます(参照: IUPACの命名法)。ウンビウニウムは理論的には周期表第8周期に位置すると予想され、いくつかの模型では超アクチノイド(いわゆる「スーパ−アクチノイド」)やfブロックに属するとされますが、原子番号が非常に大きいため相対論的効果が強く、電子配置や化学的性質の確定的な予測は難しいとされています。

合成の試みと実験的状況

この元素の合成は過去に何度か試みられています。最初の報告的な試みの一つは1977年、ドイツのダルムシュタットにあるGSIヘルムホルツ重イオン研究センターで行われ、ウラン238の標的に銅65イオンを照射してウンビウニウム同位体の生成を試みました。

  • 238U +65 Cu →303 Ubu

この実験では原子の確定的な観測には至りませんでした。以降も超重元素探索は世界中の重イオン研究施設で続けられていますが、121番元素の合成・同定を確定する再現可能な結果は報告されていません。

理論的予測と性質

ウンビウニウムの性質に関する情報はすべて理論計算に基づきます。超重元素領域では原子核安定性、電子軌道のエネルギー順序、化学的酸化状態などに強い相対論的効果が働くため、次のような特徴が示唆されています。

  • 核安定性: 「安定性の島(island of stability)」に近い中性子数(例えば N ≈ 184)を持つ同位体が相対的に長寿命を示す可能性があるが、どの同位体が最も安定かは計算モデルに依存する。
  • 崩壊様式: アルファ崩壊や自発核分裂が主要な崩壊モードと考えられている。多くの超重元素同位体は非常に短寿命(マイクロ秒〜秒以下)である可能性が高い。
  • 電子配置・化学的性質: 標準的な周期表の予想からずれる電子配置となる可能性があり、化学的性質の予測には不確実性が大きい。一般に超重元素では+3や+4などの高い酸化状態を取りうるが、実験値がないため確定できない。

命名規則と現状

元素121に対する「ウンビウニウム(Unbiunium)」および記号「Ubu」は、IUPACが採る数詞に基づく暫定的な命名法によるものです。元素発見が国際的に承認され、提案された命名がIUPACにより承認されると、仮名は正式名称に置き換えられます。

実験上の課題と今後

超重元素の合成にはいくつかの大きな技術的・物理的障壁があります。生成断面積(クロスセクション)が極端に小さく、非常にまれな生成事象を高感度で検出する必要があること、生成された原子の半減期が極めて短く迅速な識別が必要なこと、長時間にわたる高強度ビーム照射や高い標的耐久性が要求されることなどです。これらの理由で、新元素の発見や確認には大型加速器と専用検出器、継続的な国際協力が必要です。

結論として、元素121(ウンビウニウム)は理論的には興味深い候補ですが、現時点では未確認であり、その物理化学的性質は理論計算に依存しています。将来の高性能な実験装置と継続的な探索により、いつか実際に合成・同定される可能性があります。



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