ウランとは?原子番号92の性質・同位体・用途と危険性
ウランとは何かを簡潔解説—原子番号92の性質、同位体(U-238/U-235/U-234)、原子炉や核兵器での利用、産業用途と放射能・健康リスクをわかりやすく紹介。
ウランは周期表の化学元素(金属)で、原子番号は92です。ウランの原子の中心、すなわち原子核とには92個の陽子があり、自然界のウランは主に中性子数の異なる複数の同位体から成ります。代表的な鉱石は酸化ウランを多く含むピッチブレンデ(ウラニナイト)で、これを採掘・選鉱してウラン濃縮や製錬が行われます。
基本的な物理化学的性質
外観・密度・融点など:ウランは本来、光沢のある銀白色の金属ですが、空気中では表面が酸化して暗色の酸化物層をつくるため、通常は黒っぽく見えます。密度は約19.1 g/cm3で非常に重く、融点は約1132°C、沸点は約4131°Cです。原子量は約238.03 u(天然平均)です。
主な同位体と放射能
- ウラン-238 (U-238):天然ウランの大部分を占め、存在比は約99.27%です。半減期は約4.468×109年で、α崩壊を起こします。
- ウラン-235 (U-235):天然ウラン中で約0.72%を占め、半減期は約7.04×108年です。熱中性子を効率よく吸収して核分裂を起こすため、原子炉燃料や核兵器の原料として重要です。
- ウラン-234 (U-234):天然にはごく少量(約0.0055%)含まれ、半減期は約24.6万年です。天然ウラン中では主にU-238の崩壊系列の産物として存在します。
U-235が中性子を吸収すると一時的にU-236になり、それが不安定になって2つ以上の軽い核種に分裂(核分裂と呼ぶ)し、大量の熱と追加の中性子を放出します。この連鎖反応を制御して熱エネルギーを取り出すのが原子炉で、制御せず短時間に起こすと核兵器になります。
ウランの用途
- 原子力燃料:天然ウランを濃縮してU-235の割合を高めたものを原子炉燃料として使用します。原子炉では核分裂で発生した熱で蒸気を作り、発電します(蒸気タービンによる発電)。
- 核兵器:核兵器には高濃縮ウラン(HEU)または原子炉で生産されたプルトニウム-239が用いられます。U-238は中性子を吸収してプルトニウムを生む母体にもなります。
- 劣化ウラン:天然ウランからU-235の割合を減らしたものを劣化ウランと呼び、非常に高い密度を利用して対戦車兵器や装甲材、放射線遮蔽材、飛行機のバラストなどに用いられます。
- 工芸品・着色料:放射性であることが知られる前は、ステンドグラスや陶器の染料(ウラン釉など)に用いられ、特有の黄色〜緑色や蛍光を示す「ウランガラス」が作られました。現在でも一部の骨董品として見られますが、取り扱いには注意が必要です。
採掘と精製(概略)
ウラン鉱石は地上や露頭、地下採掘、またはウラニウム貯留層で採掘されます。採掘後は粉砕・化学処理によりウラン濃縮物(イエローケーキ=酸化ウラン)を得て、さらにガス化(六フッ化ウラン)して遠心分離などの方法でU-235の割合を高める「濃縮」が行われます。濃縮度合いにより用途(発電用、研究炉用、兵器用など)が分かれます。
危険性と安全対策
- 放射線リスク:ウランは主にα線(アルファ線)を出す放射性核種です。α線は空気中や皮膚に対しては透過力が弱いですが、ウランの粉塵や化合物を体内に取り込むと内部被曝につながり、肺や骨に局所的な被曝を与えて健康に重大な影響を及ぼします。
- 化学的毒性:ウランは重金属でもあり、特に腎臓に対する化学的な毒性があります。したがって放射線だけでなく化学毒性にも注意が必要です。
- 環境と廃棄:採掘・精製・使用後の廃棄物は長期間管理が必要です。放射性廃棄物の処分、貯蔵、汚染防止は厳格な規制と監視が求められます。
- 表示と規制:ウランを含む物質には通常、国際的に認められた放射性の警告標識(三つ葉のトレフォイル)が付けられます。取り扱いは法令に基づいた許可・管理下で行われ、専門的装備(換気、防護具、放射線測定器など)が必要です。
補足説明:よくある誤解
・映画や小説で描かれるような「ウランが緑色に光る」というイメージは誇張です。ウラン金属自体は銀白色で、酸化物や蛍光するガラス(ウランガラス)は緑〜黄色に見えることがありますが、自然発色と放射能の可視的発光は直接対応しません。
・「ウラン235を取り出したものを劣化ウランと呼ぶ」という表現は正確ではありません。正しくは、U-235の割合を減らした(濃縮を行って残った)ウランを劣化ウランと呼びます。
まとめ:ウランは希少で重い金属元素であり、原子炉燃料や兵器材料として重要な一方、放射能と化学毒性の両面で危険性を持ちます。採掘・精製・利用・廃棄の各段階で厳格な安全管理と法規制が必要です。

放射線警告

ガラス皿に入った少量のウラン
質問と回答
Q:ウランとは何ですか?
A:ウランは周期律表の化学元素(金属)の一つで、原子番号は92です。
Q:ウランの同位体はいくつあるのですか?
A:ウランには、原子核に含まれる中性子の数が異なる3種類の同位体があります。最も多いのはウラン238で、次がウラン235、そして最も希少なウラン234です。
Q: ピッチブレンデとは何ですか?
A:ピッチブレンデは、ウランの主な採掘対象鉱石です。
Q:ウランはどうやって原子炉や兵器に使われるのですか?
A:核連鎖反応を起こすことで、ウラン235をウラン236に変え、原子核を2つに分割するのです。この過程は核分裂と呼ばれ、たくさんの熱を作り出し、原子炉で蒸気を作ったり、核兵器で爆発を起こしたりするのに使われるのです。
Q:劣化ウランは放射性物質ですか?
A: 劣化ウランはウラン235を取り除いたもので、天然ウランより放射能は低いのですが、それでも若干の放射能を含んでいます。
Q:天然の未精製ウランは何色に見えますか?
A: 天然の未精製ウランは光沢のある白い金属として見えますが、通常は黒い酸化物の状態で見られます。また、水中に保管されている使用済み燃料棒やその一部がチェレンコフ放射により青く光ることがあります。
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