声帯(声帯襞)とは?構造・機能・男女差と発声の仕組みを解説
声帯(声帯襞)の構造・機能、男女差と発声の仕組みを図解で詳解。声の高さの原因や日常でできるケア法も紹介。
声帯または声帯襞は、喉頭を横切って伸びる2組の組織である。空気が喉頭を通過するときに振動することができ、これによって音が出る。人間は、この声帯を使って言葉を発している。
解剖と構造
声帯(声帯襞)は左右一対のひだ状の組織で、喉頭(声道)の中に水平に位置する。表面は粘膜で覆われ、その下に以下のような層があると説明されることが一般的です。
- 上皮(epithelium):声帯表面の薄い層。粘膜波(ムコーザルウェーブ)の滑らかさに重要。
- ラミナプロプリア(lamina propria):さらに浅層・中間層・深層に分かれ、粘弾性や支持構造を担う。声帯の振動特性はこの層の性質に左右される。
- 声帯筋(vocalis muscle):声帯の本体をなす筋肉で、張力や厚さを変えて音の高さや音色を調節する。
声帯の長さは年齢や性別で差があり、成人では一般的に男性の方が長く太い。声帯の物理的性状(長さ、厚さ、張力)が声の高さ(基本周波数)や音質を決める主要因である。
発声の仕組み(声が出るしくみ)
発声は簡単に言えば、肺からの空気圧(亜声門圧)により声帯が閉じたり開いたりする連続的な振動から生まれる。主な要点は次の通りです。
- まず声帯が完全あるいは部分的に閉じ、肺からの空気が声帯下にたまることで圧力が上昇する。
- 一定の圧がかかると声帯が押し開かれ、空気が一気に通過する。その際の急速な圧力低下(ベルヌーイの原理)と筋肉の弾性により声帯は元に戻る。これが周期的に繰り返されることで振動が生まれる。
- 声帯の振動が気流に周期的変化を与え、声道(咽頭・口腔・鼻腔)で共鳴して最終的な音声が形成される。
声の高さ(基本周波数、F0)は主に声帯の長さ、質量、張力で決まる。一般的な成人のF0の目安は男性で約85〜180 Hz、女性で約165〜255 Hz程度とされるが、個人差は大きい。
男女差と発達
成長やホルモンの影響で声帯の長さや厚さが変わり、それが男女の声の違いに大きく寄与する。思春期の男性ではテストステロンの作用で喉頭(甲状軟骨)が大きくなり、声帯が太く長くなるため声が低くなることが多い。
一般的な声帯の長さの範囲(成人)としては、男性:17 mm〜25 mm、女性:12.5 mm〜17.5 mm程度が報告されている。ただしこれらは平均的な値で、個人差や計測方法により変動する。
また、声の特徴は遺伝や発達、喉頭の解剖学的差、訓練や使用習慣など多くの因子で決まる。たとえば声の高低や音色の差には遺伝子によって影響を受ける部分もあると考えられている。
検査・測定方法
- 喉頭鏡検査(間接鏡・直視鏡):声帯の形や結節、ポリープの有無などを観察する基本検査。
- ストロボスコピー:周期的な光を用いて声帯の振動を遅く見せ、ムコーザルウェーブや振動不全部位を評価する。
- 音響解析:録音した声を解析して基本周波数、フォルマント、ジッターやシッマなどの指標を得る。
- 超音波やMRI:研究的・特殊な場合に用いられることがある。
主な異常とケア
- 声帯結節(声帯ポリープ)・結節:使い過ぎや誤った発声が原因で起こることが多く、声のかすれや疲れを生じる。軽度なら発声療法で改善することがある。
- 急性・慢性喉頭炎:感染や過度の酷使、胃食道逆流(GERD)などで発生。休声や薬物療法が必要な場合がある。
- 声帯麻痺:神経障害により片側または両側が動かなくなると、声が弱くなったり咳や嚥下障害が生じる。
- 腫瘍性病変:良性〜悪性まであるため、異常が続く場合は耳鼻咽喉科での評価が必要。
声帯の健康を保つためのポイント:
- 十分な水分補給(粘膜の乾燥を防ぐ)。
- 喫煙の中止(声帯への慢性的な刺激を避ける)。
- 過度な叫びや長時間の大声を避ける。声を休ませる時間を作る。
- 正しい発声法(発声訓練やボイストレーニング)を学ぶと負担が減る。
- 長引く嗄声(かすれ声)や声帯の痛み、飲み込みにくさがある場合は専門医を受診する。
声帯は日常的に使う重要な器官であり、構造・機能ともに複雑です。異常が疑われる場合は早めに耳鼻咽喉科や音声専門の医療機関で適切な評価と治療を受けることが望ましいです。

声帯
偽声帯
声帯は、偽声帯と区別するために「真性声帯」と呼ばれることもあります。これは一対の厚い粘膜のひだです。真の声帯の真上に位置し、声帯を保護します。通常の会話ではあまり使われませんが、音楽的な叫び声や、死に物狂いの歌唱法ではよく使われます。また、トゥバンの喉歌いでも使われる。偽索は、前庭ヒダ、心室ヒダとも呼ばれます。上の図では、心室ヒダとして見ることができます。
偽声帯は、本当の声帯と違って、手術で取り除いても完全に生えてくる。
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