ウィンチェスターモデル1897:ジョン・M・ブローニング設計のポンプアクション散弾銃と軍用『塹壕銃』の歴史

ウィンチェスターモデル1897:ブローニング設計のポンプアクション散弾銃が塹壕銃として第一次・第二次世界大戦で果たした軍用史と技術革新を詳述。

著者: Leandro Alegsa

ウィンチェスターモデル1897は、ジョン・モーゼス・ブローニングによって発明された初期のポンプアクション式散弾銃である。第一次世界大戦第二次世界大戦ともに米軍で使用されるほど人気があった。近距離、特に塹壕の中で威力を発揮したので、軍では「塹壕銃」と呼ばれた。ポンプアクションとはいえ、引き金を押しながらショットガンをポンピングすることで、素早く射撃することができた。

設計と基本的特徴

モデル1897は頑丈なチューブ式弾倉と外部ハンマーを備えた伝統的なポンプアクション散弾銃で、当時としては信頼性と連続射撃性能に優れていました。標準的には12ゲージが多く用いられ、弾倉に複数発を装填して短時間に連続して発射できる点が特徴です。初期型には「スラムファイヤ(スライドファイア)」と呼ばれる作動特性があり、引き金を押したままフォアエンドを前後に操作すると、閉鎖と同時に発射される仕組みになっていました。この動作は近接戦闘での連射性を高めました。

塹壕銃としての改造と戦場での運用

戦時には近接戦闘に最適化された専用の「塹壕銃」仕様が採用されました。代表的な改造点は次の通りです:

  • 短縮バレル:取り回しを良くするためにバレル長を短く(例:20インチ前後)した。
  • 熱遮蔽とバヨネットラグ:連続射撃時のバレル放熱を防ぐヒートシールド、接近戦用のバヨネット取り付け装置を追加した。
  • 堅牢化:塹壕や野戦の過酷な環境に耐えるように一部を強化したモデルが供給された。

これらの改良により、モデル1897は塹壕や建物内部での威力と即応性が高まり、心理的影響も含めて戦場で重宝されました。ドイツ側からは「非人道的」との抗議も一部にありましたが、当時の国際法で散弾使用自体が明確に禁止されていたわけではなく、米軍は使用を続けました。

民間用途と派生モデル

戦間期および戦後は狩猟、スポーツシューティング、警察用途など民間・法執行機関でも広く使われました。頑丈で信頼性が高いことから、狩猟用や家庭防衛用としての需要も大きかった一方、法執行での採用は扱いやすさと近接戦闘能力が評価されました。

評価と歴史的な影響

ウィンチェスター1897は、ポンプアクション散弾銃の普及に大きく貢献した銃の一つです。信頼性・操作性・近接火力に優れ、戦場での実績は後続モデルにも影響を与えました。現在では実戦や映画、博物館でその名を見ることが多く、軍事史や火器史における重要な存在とされています。

現在の取り扱い

今日、多くのモデル1897は歴史的・収集価値のあるものとして扱われています。現代の銃規制や安全基準の下で、所持・使用には国や地域ごとの法令が適用されますので、所有を考える際は該当する法規を確認することが重要です。

参考として、本銃はジョン・モーゼス・ブローニングの設計哲学である「単純で堅牢な機構」が色濃く反映されており、20世紀初頭の火器技術を象徴する代表的なモデルの一つです。



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