世界アンチ・ドーピング機構(WADA)とは — 目的・役割・規程の概要

世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の目的・役割・規程をわかりやすく解説。歴史、検査体制、教育・科学的対策まで全体像を網羅。

著者: Leandro Alegsa

世界アンチ・ドーピング機構WADA、フランス語:Agence mondiale antidopage、AMA)は、スポーツにおける薬物との闘いのための財団である。国際オリンピック委員会により設立され、カナダに本部がある。

WADAは、スポーツにおける薬物との闘いを推進、調整、監視しています。科学的研究、教育、アンチ・ドーピングの能力を有する。世界アンチ・ドーピング規程を監視している。これは、ユネスコの「スポーツにおけるドーピング禁止に関する国際条約」によって施行されています。欧州評議会アンチ・ドーピング条約と米国アンチ・ドーピング機構も同様の目的を持ち、WADAと連携している。

目的と基本的な役割

WADAの主な目的は、スポーツ界でのドーピングを根絶することにより、競技の公正性と選手の健康を守ることです。具体的には次の役割を担います。

  • 規則作成と統一:世界アンチ・ドーピング規程(World Anti‑Doping Code)を策定・改定し、国際競技大会や各国のアンチ・ドーピング機関(NADO)が共通して適用できる基準を提供する。
  • 禁止物質・方法の決定:毎年更新される禁止リスト(Prohibited List)を発行し、競技中・競技外で禁止される薬物や方法を明確化する。
  • 検査・分析の基準化:採取手順、検体分析、ラボ認定の基準を定め、世界中で信頼性の高い検査が行われるよう監督する。
  • 教育・研究の推進:ドーピング防止のための教育プログラムや科学研究を支援・推進し、選手やコーチ、関係者の意識向上を図る。
  • コンプライアンス監視:規程の順守状況を監視し、違反がある場合は調査や制裁措置の対象とする。

主要な仕組みと活動

  • 世界アンチ・ドーピング規程:加盟組織(国際競技連盟、オリンピック委員会、NADO等)が従う共通ルール。違反時の手続きや制裁、検査方法、TUE(治療目的使用の例外)などを定める。
  • 禁止リスト:禁止物質と禁止方法がカテゴリ別に整理され、毎年改訂される。選手は自己責任の原則(strict liability)により、自己の体内にある禁止物質に関して責任を負う。
  • 検査と分析:採尿や採血によるドーピング検査は、A/Bサンプル制度やチェーン・オブ・カストディ(保管・移送管理)など厳格な手順で行われる。検査分析はWADA認定ラボが担当する。
  • アスリート生物学的パスポート(ABP):血液や尿の生理学的データを継時的に記録・解析し、薬物の直接検出が困難なケースでも不自然な変化を追跡して不正を発見する手法。
  • TUE(治療目的使用の例外):特定の医療的必要がある場合、禁止薬物の使用を許可する制度。申請と承認には厳格な基準が設けられている。
  • 研究と教育:科学研究を資金援助し、若年選手や指導者向けの教育教材を作成・配布。予防としての啓発活動を重視している。

ガバナンスと運営

WADAは理事会(Foundation Board)や執行委員会(Executive Committee)、アスリート委員会などで構成され、スポーツ側(オリンピックムーブメント)と政府側が共同で運営しています。資金は政府とスポーツ団体双方から拠出され、年次予算により各種活動が実施されています。

国際協力と法的枠組み

WADAの規程は各国のアンチ・ドーピング機関や国際競技連盟によって採用され、またご指摘のとおり、ユネスコの国際条約など国際法的枠組みとも連携しています。国際的な協力により、競技会場に限定されない広範な監視と対応が可能になっています。

コンプライアンス違反時の対応

規程違反が確認された場合、個々の選手には失格、メダル剥奪、出場停止などの制裁が科されます。また、組織レベルでの不備や協力拒否がある場合は、国際大会への参加資格停止や資金援助の停止などが実施されることがあります。WADAは透明性を高めるため、調査結果や制裁の公表を行っています。

まとめ

WADAは単に「検査を行う機関」ではなく、規則作成、科学的基盤の整備、教育・研究支援、国際協力の推進など多面的な活動を通じて、スポーツの公正性と選手の安全を守ることを目的としています。各国や競技団体、選手本人もこれらの基準に基づいた行動が求められます。



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