ベテルギウスとは オリオン座の赤色超巨星の概要 大きさと超新星爆発の予測
Betelgeuse (アラビア語:إبط الجوزاء Ibṭ al-Jauzā', "オリオン座の脇の下"を意味する)は、オリオン座にある大きな赤色超巨星である。スペクトル型はおよそM1–M2の超巨星(Ia〜Iab級)に分類され、肉眼でもはっきり見える明るさを持つ恒星です。通常は夜空で9番目に明るい星で、オリオン座では2番目に明るい星として知られ、冬の夜空でオリオンの左上(右肩)に位置します。
変光性と見かけの明るさ
ベテルギウスは半規則的な変光星で、見かけの等級がおおむね0.2等から1.2等の間で変化します(典型的には約0.4等前後を中心に変動)。分類上は半規則変光星(SRc型に近い)とされ、主に脈動と表面の対流・大規模な活動に伴う光度変化が原因です。これらの変化は短期の脈動周期のほかに長期的な変動成分を含み、一等星の中では特に変光の振幅が大きいことで知られます。
大きさと物理的性質
ベテルギウスは観測可能な恒星の中でも最大級の一つで、明るさとともにその大きさでも注目されます。半径は太陽のおよそ950倍から1,000倍と見積もられており、直径に換算すると約13億2,200万kmから13億9,200万kmに相当します(約4.4〜4.7天文単位)。このため、もし太陽系の中心に置いた場合、木星の軌道付近を覆うほどの直径になります。ベテルギウスは太陽以外で大きさが直接測定された最初の恒星の一つでもあり、干渉計による角直径測定で表面のサイズや非一様性が確認されています。
また、地球との距離はおよそ地球から640光年とされ(測定には誤差や改訂がある)、平均的な絶対等級(光度)はおおむね絶対光度は約-6.0等程度と見積もられます。質量は数十倍の太陽質量ではなく、近年の推定ではだいたい10〜20太陽質量程度とされることが多く、進化段階や初期質量の不確かさにより幅があります。
質量放出と周囲の環境
質量が大きいために非常に速く進化しており、表面から強い恒星風を放出しています。ベテルギウスは周囲の間物質を約30km/s程度の速度で吹き流し、その結果として幅4光年以上にも及ぶ大規模な衝撃波を生じさせています。観測では持続的な質量損失率が示唆されており、おおよそ10^-6〜10^-4太陽質量/年の範囲と推定されることが多い(値は測定方法や期間により異なります)。これらの質量放出と恒星風の相互作用により、周辺には非対称なガス・ダストの構造やボウショック(弓状衝撃波)が形成されています。
進化と超新星爆発の予測
ベテルギウスは現在、恒星の進化の後期段階にあり、核燃焼が進んだ高齢期の赤色超巨星です。将来的には鉄心崩壊によるII型超新星(コアコラプス)として爆発すると考えられており、天文学的な時間尺度では「近い将来」に起こる可能性があるとされています。正確な時期は不確かですが、モデルによっては数万年から100万年程度の間に起こる可能性が示唆されています(「すぐに」地球に危険を及ぼすようなタイミングではありません)。超新星爆発が起これば、昼間でも見えるほど明るく輝くと予想されます。
観測結果とボウショック
2013年1月にハーシェル宇宙望遠鏡が行った観測では、ベテルギウスの恒星風が周囲の星間物質に衝突し、弓状の衝撃波(ボウショック)を形成していることが明らかになりました。ベテルギウスは赤色超巨星の一つで、このようなボウショックが確認されている例として、ほかにミュー・ケ平やIRC-10414などがあります。ベテルギウスの運動と周囲物質との相互作用は、将来の質量放出や超新星前段階の物理過程を理解する上で重要な手掛かりを与えます。
最近の注目事象(2019–2020年の大減光)
2019年末から2020年初頭にかけて、ベテルギウスは異例の大きな減光(いわゆる「大減光」)を起こし、視等級が通常より大きく暗くなりました。この現象は脈動や表面の大規模な冷却領域、そして星が放出したダストが光を遮ったことなどが組み合わさった結果と考えられており、複数の観測・解析でダスト生成と表面温度低下の両方が関与した可能性が示されました。この出来事は赤色超巨星内部と表層のダイナミクスの理解を深める重要な契機となりました。
まとめると、ベテルギウスはその巨大なサイズ・明るさ・活発な質量放出・将来の超新星爆発という点で天文学的に非常に重要な対象であり、干渉計や赤外線・サブミリ波・宇宙望遠鏡など多波長観測によって現在も精力的に研究が続けられています。


ベテルギウス(左上)とオリオン座分子雲複合体( ロジェリオ・ベルナル・アンドレオ )の濃密星雲を示す画像


αと書かれた左の星のピンクの矢印は、オリオン座のベテルギウスを示しています。
別の名前
ベテルギウスは、αオリオニス(α Orionis、略してαオリ)とも呼ばれています。
関連ページ
- オリオン座
- リゲル
- 119 タウリ、アンタレス、ミュー・ケペイ、その他の類似した赤色超巨星
質問と回答
Q:本文中で取り上げられている星の名前は何ですか?
A:本文中に出てくる星はベテルギウスです。
Q:ベテルギウスはアラビア語で何を意味するのですか?
A:ベテルギウスは、アラビア語で「オリオンのわき腹」という意味です。
Q: ベテルギウスの幅は、太陽と比べてどのくらい?
A:ベテルギウスの幅は、太陽の950〜1000倍です。
Q:ベテルギウスは地球からどのくらい離れている?
A:ベテルギウスは、地球から約640光年の距離にあります。
Q:ベテルギウスは何という星ですか?
A:ベテルギウスは赤色超巨星です。
Q:ベテルギウスは何歳?
A: ベテルギウスは、1000万年未満の星です。
Q: 2013年にハーシェル宇宙望遠鏡が行った、この星の風に関する観測は?
A: 2013年のハーシェル宇宙望遠鏡の観測により、この星の風が周囲の星間物質と衝突していることが分かりました。