概要

1545年は、西ヨーロッパでの軍事衝突、カトリック教会によるプロテスタントへの対応における決定的な進展、そしてアメリカ大陸での広範な経済変化によって形づくられた。これはイタリア戦争の後期段階と、ヨーロッパの植民地拡大の初期数十年の時期に当たる。この年のいくつかの出来事、なかでもイングランド沖での海軍事故と、のちにトリエント公会議となる会議の開幕は、現在でも歴史的関心を集め続けている。

ヨーロッパ:海上戦争と軍艦の沈没

1540年代半ば、イングランドとフランスは再び敵対関係にあった。1545年7月、イングランド南部沖の河口部であるソレント海峡で海戦が起こり、ヘンリー8世の主力軍艦の一隻であったメアリー・ローズが沈没した。この船と多くの乗組員を失ったことは、テューダー朝の海軍戦の象徴であると同時に、海上での火薬戦の危険を示す劇的な出来事となった。メアリー・ローズは何世紀ものあいだ海底に横たわり、20世紀後半に引き揚げられて、テューダー朝の物質文化に関する豊かな考古資料をもたらした。

宗教:トリエント公会議の開幕

1545年12月13日、教皇パウルス3世の下でトリエント公会議の第1会期が開かれた。プロテスタント宗教改革への対応として招集されたこの公会議は、教義の明確化、教会改革、規律上の措置からなる長期の計画を開始し、それが対抗宗教改革を形づくっていった。実際の審議は断続的に長年にわたったが、1545年の開幕は近世宗教史における重要な転機を示している。

アメリカ大陸:ポトシと新しい世界経済

このころ、一般には1545年ごろとされるが、スペイン人入植者は、現在のボリビア高地にあるポトシのセロ・リコに広大な銀鉱床を発見した。以後数世紀にわたってポトシから産出された莫大な銀は、大西洋と太平洋の交易を変え、しばらくのあいだスペインを富ませ、価格変動とインフレーションの一因となり、強制労働と人口動態の混乱を通じて先住民社会にも影響を与えた。

人物と遺産

1545年には、のちに制度や学術を形づくる人々の出生もあった。よく記録されている人物の一人に、後にオックスフォード大学のボドリアン図書館を創設するイングランドの外交官トーマス・ボドリー(1545年生)がいる。より広く見れば、この年の軍事的損失、教会改革の取り組み、植民地での発見は長い影を落とした。メアリー・ローズから回収された遺物はテューダー朝期の生活理解を深め、トリエント公会議は何世代にもわたりカトリック教義を規定し、ポトシの銀は世界経済の結びつきを促進した。

主な出来事

  • ソレント海峡での海戦とメアリー・ローズの沈没(1545年7月)。
  • トリエント公会議の開幕(1545年12月13日)と、対抗宗教改革の中心会議の始まり。
  • ポトシのセロ・リコ銀脈のおおよその発見。やがてスペイン帝国にとって主要な銀の供給源となった。

注目すべき点

1545年に見られる軍事、宗教、経済の出来事の組み合わせは、近世ヨーロッパとその海外帝国の相互連関をよく示している。国内外での戦争、キリスト教内部の教義をめぐる争い、そして海外での資源採取が、権力関係の変化と、長期にわたる社会的・経済的変化をもたらしたのである。