概観
1890年は、19世紀の終わりにあたる転換点として広く見なされている。この年には、帝国間の外交、国内政治の改革、目を引く技術的成果、そして深刻な社会的対立が同時に進んだ。法制度やインフラの発展は工業社会の複雑化を映し出し、文化の生産や著名人の死は、後世にこの時代を理解するうえで重要な手がかりとなった。
政治、条約、国家形成
国際舞台では、植民地勢力が海外領有地をめぐる調整を行い、勢力圏を明確にした。ヨーロッパとアフリカでは、ライバル関係にある帝国同士の合意によって植民地支配の地図が変化した。アメリカ合衆国では7月に2つの西部準州が州に昇格し、北米における大陸内の入植と政治的統合がなお続いていることを示した。
法、衝突、社会の動き
1890年には、重要な法的・社会的な転換点がいくつもあった。各国政府は、独占的慣行を抑えることを目的とした新しい反トラスト法によって、拡大する企業権力の規制に乗り出した。社会運動と政治運動も再編され、アメリカでは2つの主要な女性参政権団体が合併し、統一された全国的運動を進めることになった。同時に、この年はアメリカ辺境での暴力的な衝突も記録している。著名な先住民指導者の殺害と、その後に起きたラコタの野営地での虐殺は、長く続いた武装抵抗の象徴的な終わりとして広く記憶されるようになった。
科学、技術、インフラ
工学と技術の進歩は、大規模なインフラ事業や、新技術の公共生活への応用のなかに明瞭に表れた。スコットランドで評判の高いカンチレバー式鉄道橋が開通し、鋼構造と長大スパン設計の進歩を示した。アメリカ合衆国では、電力を用いる新しい処刑方法が初めて実施され、技術と刑事司法をめぐる議論を呼んだ。通信網と交通網も拡大を続け、20世紀におけるより急速な変化への土台が築かれた。
文化、文学、著名人物
1890年の文化記録には、影響力のある文学・芸術活動に加え、後に象徴的意味を帯びるいくつかの死が含まれる。7月には有力なポスト印象派の画家が亡くなり、その生涯と作品は19世紀後半美術の緊張を体現するものとして理解されるようになった。大衆小説、定期刊行物のジャーナリズム、舞台芸術は、この年も引き続き世論の形成に寄与した。
主な出来事と遺産
- ヘリゴランド=ザンジバル条約: アフリカの領土と海軍基地に影響した、ヨーロッパ諸国間の外交的調整。
- アメリカ合衆国で、企業集中への対応を目的とする主要な連邦反トラスト法が成立。
- 7月にアイダホ州とワイオミング州がアメリカ合衆国の州として加入し、西方への政治的発展を示した。
- 処刑における電気椅子の初使用。新技術の使い方が争点となった例である。
- 2つの団体の合併による、アメリカ全国女性参政権組織の結成。
- 著名なポスト印象派画家の死と、アメリカ平原での暴力的事件。多くの歴史家は、これらを軍事時代の終わりとみなしている。
歴史家はしばしば1890年を、19世紀のいくつかの流れが終わり、新たな流れが始まることを告げた年として読む。海外での帝国間競争の激化、工業資本主義への法的対応、インフラの拡張、そして文化的実験の継続である。この年に起きた出来事と議論は、20世紀に入ってからも政治、法、文化に長く影響を与えた。