4AD:ピクシーズやコクトー・ツインズ擁するイギリスの名門インディー・レーベル
4AD:ピクシーズ、コクトー・ツインズらを擁する英国の名門インディー・レーベルの誕生、代表作と歴史、音楽シーンへの影響を詳述。
4ADは、イギリスのインディペンデント・レコード・レーベルです。1979年にBeggars Banquetで働いていたIvo Watts-RussellとPeter Kentという2人の男性によって始められました。当時はAxis Recordsという名前でしたが、同名レーベルとの混同を避けるため1980年に4ADへ改名しました。レーベルは後にベガーズ・グループ(Beggars Group)の一員となり、独立系の流通網と連携しながら世界的な影響力を持つ存在へと成長しました。
歴史と歩み
創設当初から4ADは、ポストパンクやゴシック、ドリームポップ、アンビエントなど多様な音楽性を受け入れつつ、独自の美学で知られるようになりました。レーベルの初期〜中期(1980年代〜1990年代)には、UKおよび海外の重要バンドやアーティストを多数輩出し、インディ・ロック/オルタナティヴの重要レーベルとしての地位を確立しました。
音楽性とアートワーク
4ADは音楽だけでなく、パッケージやヴィジュアル面にも強いこだわりを持っていました。レーベルのアートワークはVaughan Oliverを中心としたデザイン集団「23 Envelope」や、写真家のSimon Larbalestier、デザイナーのNigel Griersonらによって手掛けられ、同レーベルの作品は一貫したアート志向のビジュアル・アイデンティティを保ちました。このため、音像とビジュアルが一体となった「4ADらしさ」がリスナーにも強く印象づけられました。
主なアーティストと代表作
- コクトー・ツインズ(Cocteau Twins) — ドリーミーで層状のギターワークとエリザベス・フレイザーの独特なボーカルが特徴。代表作に「Treasure」(1984)など。
- ピクシーズ(Pixies) — 1980年代後半に4ADと契約し、アルバム「Surfer Rosa」(1988)や「Doolittle」(1989)などで大きな影響を与えた。
- デッド・カン・ダンス(Dead Can Dance) — 民族音楽的要素とゴシック/アンビエントを融合させた独自のサウンドで知られる。1980年代に4ADから複数作を発表した。
- Throwing Muses、The Breeders(Kim Dealによるプロジェクト)など、インディ/オルタナシーンで重要なアーティストも多く在籍しました。
- また、Ivo Watts-Russell自身が企画したコラボレーション・プロジェクト「This Mortal Coil」は、4ADのアーティストを横断した実験的な作品群として高い評価を受けました。
影響と評価
4ADは単なるレコード・レーベルを越えて、1980年代以降のインディ・ミュージックやオルタナティヴ・カルチャーに多大な影響を与えました。独自のサウンドとヴィジュアルを一貫して追求したことで、後のドリームポップやシューゲイザー、トリップホップなど多くのジャンルに影響を及ぼしています。また、独自のアーティスト・マネジメントや国際的なプロモーションによって、UK以外の市場でも成功を収めました。
資料・書籍
フェイシング・ザ・アザー・ウェイ、マーティン・アストンがレーベルの歴史を綴った書籍「The Story of 4AD」は2013年に出版され、4ADの創業期から発展、関わったアーティストや関係者の証言を通してレーベルの歩みを詳しく紹介しています。4ADについてより深く知りたい読者には重要な参考資料です。
現在も4ADは新旧のアーティストを迎えつつ活動を続けており、その独自の審美眼と音楽的冒険心は、今なお多くのミュージシャンやリスナーに影響を与えています。
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