70バージニスb:1996年発見、地球から約60光年の系外惑星
70バージニスb — 1996年発見、地球から約60光年。偏心軌道を持つ注目の太陽系外惑星の最新研究と謎を解説。
おとめ座70番星に周回する系外惑星、70バージニスbは、地球から約60光年の距離にある天体として知られている。発見は1996年に天文学者のジェフリー・マーシーとR・ポール・バトラーによって発表され、発見法はドップラー分光法(視線速度法)によるものだった。70バージニスは、惑星が公転していることが確認された初期の恒星の一つであり、初期の系外惑星研究において重要な役割を果たした。
発見と検出方法
70バージニスbは、恒星のスペクトル線の周期的なずれを捉えることで検出された。視線速度法により測定された振幅から、この惑星はかなり大きな質量を持つことが示された(下限質量はおおむね木星質量の数倍~約7.5倍と推定される)。発見当初は恒星の距離や光度に関する推定値が不確かであったため、惑星の位置づけにも誤解が生じたが、後により正確な測定で恒星の性質が改定された。
物理的性質
種類:観測データからは70バージニスbは巨大なガス巨星であると考えられている。
 質量(下限):視線速度法の性質上「下限」しか分からないが、一般的に木星質量の数倍から約7.5倍程度と報告されることが多い。
 大きさ・表面環境:直接観測で半径や大気の詳細が確定しているわけではないが、巨大ガス惑星であるため表面(固体表面)は存在せず、恒星に近い軌道にあることから高温であると考えられる。
軌道とハビタブルゾーン
70バージニスbは親星に比較的近い軌道をとっており、軌道離心率は中程度から高め(おおむねe≈0.3–0.4程度とされることが多い)で、公転周期は数十〜百日程度(報告値では約117日付近)とされている。発見当初は恒星の距離や光度の推定誤差のため、この惑星が恒星のハビタブルゾーン内にあると考えられていたが、後に恒星が想定より明るく遠いことが分かり、70バージニスbはハビタブルゾーンの外側、あるいは内部でも温度変動の大きい軌道にあると判断された。軌道の偏心率が比較的高いことから、惑星の受ける放射量や表面(大気)温度は公転に伴って大きく変動する。
居住可能性と将来の観測
巨大ガス惑星そのものが地表を持たず生命居住に適する可能性は低い。ただし、大型の衛星(仮想的な衛星)が存在すれば、条件によっては局所的な居住可能性が議論されることもあるが、現時点ではそのような衛星の検出はされていない。将来的な高精度の観測や直接撮像・大気スペクトル測定が行われれば、質量のより正確な決定や大気組成の手がかりが得られ、系の形成史や系外惑星の多様性理解が進むと期待される。
まとめ
70バージニスbは、1996年に発表された比較的早期に発見された系外惑星の一つであり、発見当初のハビタブルゾーンに関する誤解や、その後の恒星パラメータ改定といった経緯を通して、系外惑星観測の発展を示す事例となっている。現在では巨大ガス惑星であり、偏心軌道による大きな温度変動を被ると考えられているため、地球型の居住環境は期待できない。
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セレスティアのコンピュータプログラムで表示される70Virginis b。
特徴
70バージニスbは木星型太陽系外惑星で、116日周期で70バージニスの周りを公転している。質量は木星の7.5倍。表面重力は木星の2〜3倍程度と考えられている。1996年1月の発見当時、この星は地球から29光年しか離れていないと考えられていた。そのため、見かけの明るさである等級(マグニチュード)が低くなっていたのだろう。その結果、この惑星の軌道はハビタブルゾーンにあると考えられ、「ゴルディロックス(寒すぎず暑すぎず)」というニックネームが付けられた。その後、ヒッパルコス衛星によって、この星は70ヴィルジニス星から遠く離れているため、その明るさは惑星がハビタブルゾーンにあるには熱すぎるということがわかった。
関連ページ
- ペガシス座51番惑星b
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