エドワード・L・ソーンダイク:アメリカ心理学者、学習理論と教育心理学の先駆者

エドワード・L・ソーンダイクの生涯と学習理論を解説。コネクショニズムと教育心理学の先駆的業績をわかりやすく紹介。

著者: Leandro Alegsa

エドワード・リー・ソーンダイク(1874年8月31日 - 1949年8月9日)は、アメリカの心理学者である。コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジでその生涯を全うした。彼は倫理学と学習過程の研究に取り組んだ。これはコネクショニズムの理論につながり、現代の教育心理学の科学的基礎を築くのに貢献した。

ソーンダイクは、従業員の試験やテストなど、産業界の問題にも取り組んでいました。心理学会の理事を務め、1912年にはアメリカ心理学会の会長も務めた。

研究の特徴と方法

ソーンダイクは観察と実験を重視し、行動を客観的に測定する手法を導入しました。特に動物実験を用いて学習過程を解明し、量的データに基づく理論構築を行った点が特徴です。代表的な方法は「パズル箱」(puzzle box)を用いた実験で、猫が箱から出るまでの試行錯誤行動を記録し、学習の法則性を明らかにしました。

主要な業績(概説)

  • 効果の法則(Law of Effect):満足をもたらす行動は強化され、将来的に起こりやすくなるという原理。行動と結果の結びつきに注目した点が行動主義へ与えた影響は大きい。
  • 準備の法則(Law of Readiness):学習は生理的・心理的準備状態に依存し、準備が整っていると学習が進みやすいとする考え。
  • 反復の法則(Law of Exercise):反復や練習によって結びつきが強まるという概念。ただし後年、反復だけでは説明できないことも示されている。
  • 学習は主に試行錯誤(トライアンドエラー)による連合形成で生じるとし、これがいわゆるコネクショニズム(connectionism)の基礎となった。

教育への応用

ソーンダイクの理論は教育現場に多くの実用的な示唆を与えました。学習内容を小さな単位に分けて段階的に教えること、反復と適切な強化を用いること、評価を客観的に行う測定法の確立などが挙げられます。彼の研究は学力検査や標準化テストの発展にも寄与し、教科書作成やカリキュラム設計にも影響を与えました。

産業界と応用心理学

労働者の適性検査や採用・配置のためのテスト開発など、産業心理学的な応用にも積極的に関わりました。実務上の問題を心理学的手法で解決することに取り組み、測定・評価技術の普及に貢献しました。

主な著作と遺産

ソーンダイクは多数の論文・著書を残し、学術的・教育的な影響は大きいです。代表的な研究成果は学習理論の基盤となり、その実証的・量的アプローチはその後の心理学(特に行動主義、教育心理学、心理測定学)に強い影響を及ぼしました。具体的な代表作としては初期の重要な著作に『Animal Intelligence』(1898年)があり、猫を用いた学習実験の詳細がまとめられています。

評価と影響

ソーンダイクは学習を科学的に扱った先駆者として高く評価されます。一方で、行動の内部過程(内的認知過程)の役割を軽視しているとする批判もあります。しかし彼の方法論と発見は、教育制度の合理化や心理学を応用する諸分野の発展に不可欠な礎を築きました。

彼の業績は、今日の教育心理学、職業適性評価、学習アルゴリズムの基本概念などにまで影響を与え続けています。

ソーンダイクの法則

効果の法則とは、基本的に「ある状況において満足のいく効果をもたらす反応は、その状況において再び起こりやすくなり、不快な効果をもたらす反応は、その状況において再び起こりにくくなる」というものである。

書籍

ソーンダイクの教科書は、20世紀前半の教員養成のための心理学講座で広く使われた。

  • 1903年 教育心理学。ニューヨーク、レムケ&ビュヒナー。1910年改訂増補版、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ、ニューヨーク。
  • 1904年 精神的・社会的測定の理論序説。ニューヨークサイエンス・プレス
  • 1905 The elements of psychology.ニューヨークザイラー
  • 1911.動物の知能:実験的研究。New York:マクミラン.
  • 1913.教育心理学:ブリーファーコース。New York:ニューヨーク:Routledge.
  • 1921年 教師用単語集1932年 児童・青少年向けの一般読書で最も頻繁に広く見られる2万語の教師のための単語帳。1944年 (J.E.Lorgeと共著) The teacher's word book of 30,000 Words(教師のための3万語の単語帳)
  • 1922年 算術の心理学。ニューヨーク、マクミラン。
  • 1927年 「知能の測定法」。New York, Teachers College, Columbia University.
  • 1931.人間の学習。ニューヨーク、センチュリー
  • 1932年 学習の基礎。ニューヨーク、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ。


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