グスタフ3世(1746–1792)とは:スウェーデン王の生涯・政治改革・暗殺

グスタフ3世の波乱の生涯と政治改革、文化振興から宮廷での暗殺に至る劇的な結末までを詳述。スウェーデン近代化の光と影を検証。

著者: Leandro Alegsa

グスタフ3世Gustav III、1746年1月24日[西暦13日]-1792年3月29日)は、1771年にスウェーデン王に即位し、1792年に暗殺されるまで在位した。アドルフ・フレデリック王とプロイセンフリードリヒ大王の妹であるルイーズ・ウルリカ王妃の長男であった。

生い立ちと家族

グスタフ3世は王家の一員として生まれ、幼少期から母ルイーズ・ウルリカの影響でフランス文化や啓蒙思想に親しんだ。教育は宮廷で行われ、政治・軍事に関する訓練を受ける一方、芸術や演劇にも強い関心を示した。成年後はデンマーク王女ソフィア・マグダレーナ(Sofia Magdalena)と結婚し、息子グスタフ4世アドルフ(Gustav IV Adolf)が後を継いだ。

即位と政治的背景

父アドルフ・フレデリックの死に伴い1771年に即位したが、当時スウェーデンは「自由の時代(Age of Liberty)」と呼ばれる議会優位の体制が残っていた。グスタフ3世は王権の回復を志向し、1772年にクーデターを起こして新たな憲法(1772年の統治法)を制定、王権を強化していった。以後、彼は「啓蒙専制君主(enlightened absolutist)」的な統治を目指しつつ、貴族主導の政治勢力と対立した。

主な政治改革と国内政策

  • 1772年のクーデターと憲法改正:王の権限を回復し、行政の中央集権化を進めた。
  • 1789年の『Union and Security Act』:貴族の特権を制限し、王権をさらに強化した法令で、反発と分裂を招いた。
  • 財政・経済政策:商工業振興や関税政策で国内産業を保護する一方、国家財政の立て直しを試みた。
  • 司法・行政改革:官僚機構の整備や行政手続きの近代化を志向した。

これらの改革は国家の近代化に寄与したが、強権的な手法や貴族層の利害と衝突したため、反発も大きかった。

文化政策と芸術の保護

グスタフ3世は芸術の強力なパトロンとして知られ、宮廷文化を華やかにしスウェーデン文化の発展を促した。主な功績は次のとおりである。

  • 国立劇場や王立オペラの支援・再編を通じて、演劇・音楽を奨励した。
  • スウェーデン・アカデミー(Svenska Akademien)を1786年に創設し、言語・文学の振興を図った。
  • 建築や宮廷儀礼で「グスタヴィアン様式」と呼ばれる美術潮流に影響を与えた。

彼の時代は「グスタヴィアン文化の黄金期」とされ、詩人や音楽家(例:カール・ミカエル・ベルマンら)も宮廷の支援を受けた。

外交と戦争

外交面ではフランスと接近し、ロシアとの対立が続いた。1788年から1790年にかけて発生したロシア戦争(ロシア・スウェーデン戦争)は、グスタフ3世が国民の支持基盤を固めるために開始した側面があり、軍事的には一進一退の戦いとなった。戦争は最終的に1790年のような停戦・講和で収束し、領土の大きな変動は限定的だったが、戦費と人的負担は大きく、国内の対立を助長した。

暗殺とその影響

1792年3月16日(当時の暦で)グスタフ3世はストックホルムの仮面舞踏会でヤコブ・ユハン・アンカーシュトレム(Jacob Johan Anckarström)らによる暗殺未遂に遭い、負傷した。負傷から数日後の1792年3月29日に容体が悪化して死亡した。暗殺は王権強化に反発する一部の貴族や不満分子による陰謀とされる。処刑や摘発が行われ、暗殺後は王の未成年の息子グスタフ4世アドルフが後継したが、摂政以下の政治情勢は不安定になった。

評価と遺産

グスタフ3世の評価は二面的である。彼は文化面での貢献や国家近代化の試みにより高く評価される一方、政治手法の強硬さや専制的傾向、戦争政策によって多くの敵を作った。長期的にはスウェーデンの近代国家形成や文化的自立の契機となったが、短期的には国内の分裂や政変を招いた。

主な業績(要点)

  • 1772年のクーデターによる王権回復と憲法改正
  • 行政・司法・経済の近代化に向けた改革
  • 劇場・オペラ・文学の振興、スウェーデン・アカデミー創設(1786年)
  • 1788–1790年のロシア戦争、1789年の『Union and Security Act』による貴族権限の制限
  • 1792年の暗殺—政治的波紋と後継問題の発生

グスタフ3世は、その華やかな宮廷と激しい政治的対立、そして劇的な最期によってスウェーデン近代史に強い印象を残した君主である。



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