レニン・ボルタイレ・モレノ・ガルセス(Lenín Boltaire Moreno Garcés、1953年3月19日生まれ)は、エクアドルの政治家である。モレノは2017年5月24日から第44代エクアドル現大統領を務めている。2007年から2013年まで、ラファエル・コレア大統領のもとでエクアドル副大統領を務めた。副大統領に選出されたことは、下半身不随のモレノが世界でも数少ない障害者の国家指導者であったことからよく知られている。
2017年4月2日、モレノは2017年エクアドル大統領総選挙で、ラッソの49%に対し51%の得票率で銀行家のギジェルモ・ラッソを破り、大統領に選出された。
2017年5月24日、モレノは世界で唯一、車椅子に乗った現役の国家元首となった。
経歴と私生活
モレノはエクアドル出身で、若いころから公務に関わってきた。1998年、強盗事件で負傷し下半身不随となったが、その後障害者の権利擁護に力を入れ、障害者支援プログラムの推進者として国内外で知られるようになった。私生活では妻のロシオ・ゴンザレス(Rocío González Navas)と結婚している。
副大統領と国際的な活動
2007年から2013年にかけてはラファエル・コレア政権下で副大統領を務め、特に障害者政策や社会福祉分野での活動が評価された。副大統領退任後は、国際連合の障害者問題に関する役職(国連の障害問題特別代表/特使など)を務め、国際的な場で障害者の権利拡大やアクセシビリティの改善を訴えた。
大統領在任(2017–2021)と主要な出来事
選挙と就任:2017年の選挙では当初ラファエル・コレアの後継者として支持を受けていたが、就任後は次第にコレアと政策・人事面で距離を置くようになった。
政策の転換:モレノ政権は財政再建や民間投資の促進を前面に出す政策へと転換し、これに伴う緊縮策や公的支出の見直しを行った。こうした方針は一部で支持を集めた一方、批判や反発も招いた。
2019年の燃料補助金撤廃と抗議:政府が燃料補助金の削減を含む改革を進めた際、先住民団体や労働組合などが全国的な抗議行動を展開し、激しい混乱となった。政府は最終的に一部方針を見直すなどの対応を迫られた。
ジュリアン・アサンジと外交:2019年、エクアドル政府は在ロンドン大使館で保護していたジュリアン・アサンジの庇護を取り消し、これによりアサンジは英国当局に逮捕された。この決定は国際的にも大きな注目と議論を呼んだ。
汚職捜査と政治的対立:モレノはコレア政権時代の汚職疑惑の追及を進め、コレア側との対立が深まった。支持者はモレノを「裏切り者」と批判する一方、政府側は腐敗追及として正当化した。モレノ政権自体も監視・スパイ疑惑や権力の私物化を巡る疑念など、複数の論争や捜査の対象となった。
安全と司法:刑務所の暴動や組織犯罪の増加に対応するため、治安対策を強化した時期があり、司法・治安分野での改革や緊急措置が実施された。
任期終了とその後
モレノは任期を満了し、2017年5月24日から2021年5月24日まで第44代大統領を務めた。2021年の大統領選挙では前回の決選投票で敗れたギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)が当選し、モレノは政権を平和的に移譲した。退任後も彼の大統領時代の政策決定や汚職・監視疑惑に関する議論は続いており、政治的評価は賛否が分かれている。
評価と遺産
モレノは障害者の権利擁護者として国際的に評価される一方、政権運営では経済政策の転換とそれに伴う社会的衝突、また汚職追及と政治対立を巡る論争により評価が分かれる指導者であった。彼の在任期間はエクアドル政治における右派と左派の対立、国際金融との関係、そして国内の社会運動の力を改めて浮き彫りにした。
(注)本項はモレノの公的経歴と主要な出来事を概説したものである。裁判や調査は継続中の場合があり、最終的な法的結論や歴史的評価は今後変わる可能性がある。