ICD-10とは?WHO制定の疾病分類コードの定義・歴史・一覧ガイド
ICD-10とは何かを分かりやすく解説—WHO制定の疾病分類コードの定義・歴史・一覧と実務での活用まで、医療関係者も一般も使える完全ガイド。
ICD-10(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 10th Revision)は、病気や医学的問題を分類するコードのリストです。ICDは、世界保健機関(WHO)によって発行されています。ICDは、これまで多くの改訂版、または更新版が発行されてきました。最新版であるICD-10は、1983年に始まり、1992年に完成した。
ICDでは、特別な固有のコードを付与しています。
ICD-10とは(定義と目的)
ICD-10は、疾病や死因、外因、身体状況などを国際的に共通の体系で記録・報告するための分類表です。主な目的は以下の通りです。
- 公衆衛生監視と統計作成:国際比較可能な統計(死亡率・罹患率など)を作成するため。
- 臨床記録と医療管理:診療録や電子カルテでの一貫した診断記録、医療資源の管理。
- 研究・政策立案:疫学研究、保健政策や予防対策の立案に利用。
歴史と改訂の流れ
ICDは19世紀末に起源をもち、その後何度か改訂が行われています。ICD-10の作成作業は1980年代から開始され、最終版は1992年に策定されました。その後、各国や地域で臨床的・管理的ニーズに合わせた「修正版(改変版)」が作られています(例:米国のICD-10-CM、オーストラリアのICD-10-AMなど)。なお、ICDの次世代であるICD-11はWHOにより策定され、各国での導入が進められています。
構成とコードの読み方
ICD-10は体系的に章・ブロック・カテゴリ・サブカテゴリで構成されます。基本的なコードの特徴は次のとおりです。
- コードは英字1文字+数字2桁(カテゴリ)を基本とし、必要に応じて小数点以下に1桁を追加することが多い(例:A00、A00.0)。
- 各章は人体の系統や原因別に分かれています(感染症、腫瘍、循環器系、精神障害など)。
- 付属の索引(Index)や指示書(Instruction Manual)を用いて適切なカテゴリを決定します。ICD-10は通常、Volume 1(Tabular List)、Volume 2(Alphabetical Index)、Volume 3(ICD-10 for Mortality/死因分類の指針)の3巻構成です。
利用例と実務での使われ方
- 国や自治体が行う疫学調査や疾病監視レポートの作成。
- 病院での診療録の標準化、保険請求データの集計(国によっては診療報酬や保険請求にICDコードを利用)。
- 国際比較研究や多施設共同研究での診断定義の統一。
主な改正版とICD-11への移行
- ICD-10-CM(Clinical Modification):米国向けの臨床改変版で、より詳細な臨床記述が可能。
- ICD-10-AM:オーストラリアで開発された改変版。診断・手技コードの運用に合わせた調整がある。
- ICD-11:ICD-10の後継。電子化と使いやすさを意識して再編成され、WHOは正式にICD-11を公表しているため、各国で順次移行が進んでいます。
具体的なコード例(参考)
- A00:コレラ(例:A00.0は「典型的なコレラ」など詳細を示す)
- J18:肺炎(非特異的な細菌以外の肺炎などのカテゴリ)
- F32:うつ病エピソード(精神疾患の分類)
(上記はあくまで構造の説明用の例です。実際の運用では最新版のタビュラーリストと索引を参照してください。)
注意点と留意事項
- ICD-10は基礎となる国際基準ですが、多くの国では独自の修正版を用いているため、国際比較を行う際は互換性に注意が必要です。
- 診断名の正確な記載や、複数疾患の主従関係の判断が統計の解釈に大きく影響します。
- ICD-11への移行が進むと、コード体系や定義が変わるため、移行計画と教育・システム対応が重要になります。
まとめ
ICD-10は、病気や健康問題を国際的に統一して分類するための重要なツールです。公衆衛生、臨床、研究、保険請求など多くの場面で用いられ、各国での改変版や最新のICD-11への移行を含めて、継続的な理解と運用の更新が求められます。具体的なコーディング作業では、必ず公式のタビュラーリスト/索引/指示書を参照してください。
関連ページ
- 腫瘍学国際疾病分類
百科事典を検索する