ボドリアン図書館とは|オックスフォード大学の歴史・所蔵・法定預託
ボドリアン図書館(オックスフォード大学)—歴史・貴重所蔵・法定預託の役割や見どころを詳述。訪問・研究に役立つ情報を一挙紹介。
ボドリアン図書館(Bodleian Library)(1602年設立)は、オックスフォード大学の主要図書館であり、ヨーロッパで最も古い図書館の一つです。イギリスでは大英図書館に次いで2番目に大きな図書館で、複数の建物と専門コレクションからなる「ボドリアン図書館群(Bodleian Libraries)」を形成しています。17世紀以降、法定預託権を持ち、英国・アイルランドで出版された多くの出版物の保存に重要な役割を果たしてきました。
歴史の概略
ボドリアン図書館の起源は、大学の古い書庫や寄贈書籍にさかのぼります。中世後期にはハンフリー公爵(Duke Humphrey)の図書館(ハンフリー公爵の図書館)が存在しており、1488年から1560年まで大学の図書館として機能していました。現在の「ボドリアン」は、1598年から1602年にかけてトーマス・ボドリー卿(Sir Thomas Bodley)が再建・改組して設立されました。その後、何世紀にもわたって恩人からの寄贈や法定預託によって蔵書を拡大してきました。
所蔵と利用
ボドリアンは、書籍や定期刊行物、貴重な写本(中世写本や初期印刷本を含む)、地図、版画、写真、手稿、音声・映像資料、アーカイブ資料など多岐にわたるコレクションを所蔵しています。所蔵点数は膨大で、学術研究のための一次資料が豊富にそろっています。
- 非貸出資料が多数:大学の会員であっても、ボドリアンが所蔵する多くの資料は図書館の閲覧室でのみ読める「非貸出」扱いです。
- 利用登録:閲覧を希望する外部利用者も所定の利用者カード(Reader's card)を取得して利用できます。貴重書や特別コレクションの閲覧は事前予約と身元確認が必要です。
- デジタル化:近年は重要資料のデジタル化も進められており、オンラインで閲覧できる資料も増えています。
建物群と主要施設
図書館はオックスフォード中心部、ブロード・ストリート近辺に点在する複数の建物で構成されています。主要な建物・施設には次のようなものがあります:
- ハンフリー公爵の図書館(Duke Humfrey's Library):中世期に遡る古い書庫で、古写本の重要な収蔵庫です。
- オールド・ボドリアン(Old Bodleian):伝統的な閲覧室や保存部門を擁する歴史的な中核施設。
- ラドクリフ・カメラ(Radcliffe Camera):円形建築の図書館建物で、人文系の閲覧室として広く利用されています。大学構成の一部としてボドリアンと密接に連携しています。
- ニュー・ボドリアン/ウェストン図書館(Weston Library):旧ニュー・ボドリアンを改修して2015年に開館した施設で、特別コレクション展示や一般公開スペース、保存修復の設備が整っています。
これらの建物の多くは、歴史的建造物としての価値も高く、観光名所としても知られています。19世紀以降には地階(地下倉庫)が増築され、大量の資料を収蔵するための倉庫空間が確保されています。
法定預託と寄贈
ボドリアンはイギリス国内における法定預託図書館の一つとして、国内で出版された一定の出版物の写しを受け取る権利を持っています。これにより、学術資料の包括的な保存が制度的に支えられています。さらに、個人や機関からの寄贈・遺贈によっても重要なコレクションが形成されてきました。
運営と人材
長年にわたり多くの著名な学者が図書館長(ボドレーの司書、Bodleian Librarian)を務め、図書館の収集方針・保存方針・公開方針の発展に寄与してきました。現在は複数の専門部門が連携してコレクションの管理、保存修復、利用者サービス、デジタル化を推進しています。
公開・見学・文化的役割
ボドリアンは学術研究の拠点であると同時に、展示やツアー、講演会などを通じて一般にも開かれた文化施設です。ウェストン図書館などでは定期的に特別展が開催され、貴重書や写本が展示されます。また、映画やドラマのロケ地として利用されることもあり、広く知られた観光スポットでもあります。
まとめると、ボドリアン図書館は長い歴史と豊富なコレクションを持ち、学術的・文化的に極めて重要な存在です。利用を希望する場合は事前に利用条件や閲覧申請を確認することをおすすめします。

大学教会から見たラドクリフカメラ
質問と回答
Q: ボドリアン図書館とは何ですか?
A: ボドリアン図書館は、オックスフォード大学の図書館で、ヨーロッパで最も古い図書館のひとつです。
Q: ボドリアン図書館は、イギリスの他の図書館と比べてどのくらい大きいのですか?
A: ボドリアン図書館は、大英図書館に次いで英国で2番目に大きな図書館です。
Q: イギリスの法定寄託法とは何ですか?
A: イギリスの寄託法では、国内で出版された著作物は、ボドリアン図書館を含む6つの寄託図書館のいずれかに寄託されることが義務付けられています。
Q: ボドリアン図書館はアイルランド法上、どのような権利を有するのでしょうか?
A: アイルランド法に基づき、ボドリアン図書館はアイルランド共和国で出版された各書籍のコピーを要求する権利を有します。
Q: オックスフォード大学の学生は、ボドリアン図書館のすべての図書を借りることができますか?
A: いいえ、オックスフォード大学のメンバーは、一部の依存図書館から一部の書籍のみを借りることができます。ボドリアン図書館が所蔵する資料の大半は、図書館の建物内でのみ閲覧することができます。
Q: ボドリアン図書館は何棟の建物から構成されていますか?
A: ボドリアン図書館は、オックスフォード中心部のブロードストリート近くにある5つの建物から構成されています。
Q: ボドリアン図書館は誰が設立したのですか?
A: ボドリアン図書館は、1598年から1602年にかけて、サー・トーマス・ボドレーによって設立されました。
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