概要

「コケガエル」は、学術上の正式な分類名ではなく、コケの多い場所や湿度の高い環境、あるいは植生の豊かな微小生息地にすむ複数のカエル類に対して用いられる一般名である。もっともよくこの名で呼ばれるのは、南部アフリカに分布する小型の陸生種を含むArthroleptella属だが、旧世界のRhacophoridae科に含まれる一部のカエルや、他地域のコケに関連する種にも、広い意味で用いられることがある。

特徴

コケガエルは一般に小型で、保護色をもち、コケや落ち葉、低い植生の中に溶け込みやすい外見をしている。形態はグループによって異なるが、共通して、ずんぐりした体つき、地表性の種に見られる短い四肢、そして樹上性のラコフォリッドでは登攀に適した発達した趾端を備えることがある。行動や生活史も湿った微小環境への適応を示し、コケや石の下に隠れる種もいれば、湿った着生植物や渓流沿いを利用する種もいる。

分布と生息地

コケガエルと呼ばれる種は、旧世界のさまざまな地域に見られる。Arthroleptella属は南部アフリカに限定して分布し、フィンボスや山地性のヒース、あるいは湿った斜面に結びついている。Rhacophoridae科の成員は、コケのついた幹や林床にすむ場合にコケガエルと呼ばれることがあり、熱帯アフリカ、アジア、および太平洋の一部に広く分布する。こうした名に共通する生態学的な特徴は、湿潤で日陰のある微小生息地への依存である。

分類と名称

「コケガエル」は正式な分類群名ではなく、口語的な呼び名であるため、系統的に近くない複数の系統をまたいで使われる。したがって、Arthroleptella属という南部アフリカの小型カエルの明確な分類群と、Rhacophoridae科という、樹上性の種を多く含むより大きな科とを区別する必要がある。一般名は、進化的な関係ではなく、生息環境や外見を反映したものである。

生態、意義、保全

コケガエルは、小型無脊椎動物を食べる食虫性動物として、その個体数の制御に役立つほか、より大型の動物の餌にもなる、なじみ深い生態的役割を担う。狭く湿った微小生息地に依存するため、多くの種は生息地の攪乱、湿地の排水、火災の頻度やパターンの変化、外来植物、気候変動の影響を受けやすい。その結果、コケに関連する種の中には分布域が限られ、保全上の懸念があるものも少なくない。地域の生息地の質を示す指標として用いられることも多い。

注目すべき点と区別

  • 一般名の用法: 「コケガエル」は、分類上の近縁性ではなく生息地の好みによってまとめられる、無関係なカエル類に使われる。
  • 大きさと形はさまざま: 極小の地表性 Arthroleptella から、趾端をもつ比較的大きな樹上性ラコフォリッドまで含まれる。
  • 保全上の注意: 多くは分布域が狭く、湿った微小生息地を必要とするため、環境変化に弱い。