とは、生物学的な分類タクソノミー)におけるランクで、種の上位、科の下位に位置します。一般に1つの属には複数の種が含まれますが、含まれる種が1つだけの単型属(monotypic genus)もあります。研究者が「属」と言うときは、互いに近縁で形態的・遺伝的にまとまる1つ以上の動物植物群を指します。

階級(タクソノミックランク)

  • 一般的な階層の例:ドメイン > 界 > 門(門) > 綱 > 目 > 科(family) > 属(genus) > 種(species)
  • 属は「科」を構成する単位であり、複数の属が集まって科を形成します。
  • 属の下には種、種の下には亜種(subspecies)などが置かれます。

命名規則と表記

  • 属名はラテン語またはラテン語化された語を用い、学名は印刷上常にイタリック体で表示されます(例:Felis silvestris)。
  • 二名法(二名表示):種名は2語からなり、先に属名、そのあとに種小名が置かれます。属名は必ず大文字で始まり、種小名は小文字で書きます(例:Felis silvestris)。
  • 複数形:英語では属はラテン語由来なので、単数は「genus」、複数は「genera」となります。
  • 略記:同論文中で既に示した属名は頭文字で略すことができます(例:Escherichia coli → E. coli)。
  • 著者名と年:学名の後に命名者と刊行年を付すことがあり、これらは斜体にしません(例:Homo sapiens Linnaeus, 1758)。
  • 亜種など:三名法では属名+種小名+亜種名の順で書きます(例:Felis silvestris catus)。
  • 縮約表記:種が不確定な場合「sp.」(単数)や「spp.」(複数)を用います。

タイプ(典型種)と分類の基準

  • 各属には「タイプ種(type species)」が定められ、属名の基準点となります。科の場合も「タイプ属(type genus)」が基準になります。
  • 属の範囲(circumscription)は形態学的特徴、分子系統(DNA)解析、生態的・地理的情報などを総合して決定されます。近年は分子系統に基づく再分類が多く、属の区分は変わることがあります。
  • 分類学では単系統(monophyly、共通祖先を含むまとまり)が重視され、単系統でない場合は属を分割または統合する議論が行われます。

命名規約と国際コード

  • 動物名は国際動物命名規約(ICZN)に、植物・菌類・藻類は国際植物命名規約(ICN)に、細菌は国際微生物命名規約(ICNP)に従います。
  • 属名の語尾や性(文法的性)により、種小名の語尾が変わる(性一致)が要求されることがあります(特に植物・動物の規約で扱いが異なる点に注意)。

実例と注意点

  • 例:Felis silvestris の場合、Felisは属名で、常に大文字で始まります。全体はイタリック体で表記します。
  • 例:Homo sapiens(ホモ・サピエンス)、Escherichia coli(大腸菌)、Rosa canina(犬バラ)など。
  • 分類は新しい研究で変わる可能性があり、古い文献と名前が一致しないことがあります(同義語や改名)。
  • 学術的な記載では、種や属の定義(分割・統合)についての根拠を明示することが求められます。

まとめ

属は生物分類の基本単位の一つで、互いに近縁な種群をまとめるランクです。学名表記では属名が先に置かれ、イタリック体・大文字で始まること、略記や著者名の付記などの慣習がある点に注意してください。分類は形態や分子データに基づき見直されるため、属の境界や名称は研究の進展に伴って変更されることがあります。