メタリカのアルバム『...And Justice for All』(1988年)—第4作の背景と概要

メタリカ第4作『...And Justice for All』(1988年)の誕生秘話と制作背景を解説。クリフ・バートンの死とニューステッド加入がもたらした変化、楽曲と評価を詳述。

著者: Leandro Alegsa

...And Justice For All』は、メタリカの4枚目のアルバムで、1988年8月25日に発売された。クリフ・バートンの死後、ジェイソン・ニューステッドにベーシストを交代してからのメタリカのファーストアルバムである。しかし、彼らはThe $5.98 E.P.をレコーディングし、リリースしたと言わなければならない。Garage Days Re-Revisited』を収録しているが、こちらはメタリカがカバーした5曲しか収録されていないため、メタリカのアルバムとしてカウントされないことが多い。

制作と音楽的特徴

このアルバムは、バンドが大きな喪失と変化を経た直後に制作されたため、全体に硬質で緊張感のあるサウンドが特徴的である。ラインアップはジェームズ・ヘットフィールド(ボーカル/リズムギター)、ラーズ・ウルリッヒ(ドラム)、カーク・ハメット(リードギター)、ジェイソン・ニューステッド(ベース)という布陣で、既存のスラッシュ・メタル的要素に加え、構成の複雑さや長尺曲、変拍子を多用した楽曲が目立つ。

テーマとしては、司法制度や権力の不正、戦争とその帰結、個人の孤立といった社会的・政治的な問題が歌詞の中心になっており、タイトル曲や「Blackened」「Harvester of Sorrow」などで顕著に表れている。

プロダクション面では、演奏の精緻さは高く評価される一方で、ミックスの低音域(特にベース)の聞こえにくさが長く議論の的になった。ジェイソン・ニューステッドは公式メンバーとして演奏に参加しているが、最終ミックスではベースが控えめに扱われており、この点はファンや評論家から批判を受けた。

代表曲と反響

アルバムからはシングル「One」が大きな反響を呼び、ミュージックビデオもMTVで頻繁に流されるなどバンドの知名度をさらに高めた。「One」は戦争の悲劇とトラウマを描いた歌詞・ドラマティックな構成で知られ、以降のメタリカの代表曲の一つとなった。

リリース後、アルバムは批評的にも商業的にも成功を収め、バンドの国際的地位を確立した。批評家はその演奏力や作曲の完成度を称賛する一方で、先に述べたミックスの問題を指摘することが多かった。

評価と影響

影響の面では、この作品はスラッシュ・メタル/ヘヴィメタル界における重要作とみなされることが多く、複雑な楽曲構造や重厚なリフ、社会的なテーマ性は後続の多くのバンドに影響を与えた。また、アルバム制作時の実験的なアプローチやプロダクション上の判断は、後にメタリカ自身が音作りを見直すきっかけにもなった。

ツアーと遺産

アルバム発表後、バンドは世界規模のツアーを行い、楽曲はライヴでの主要レパートリーとなった。時代を経てもなお、...And Justice For Allはメタリカの重要作として語られ続けており、バンドの進化と90年代以降の展開を理解する上で欠かせない作品である。

トラックリスト

特に断りのない限り、すべての曲はJames Hetfield、Lars Ulrich、Kirk Hammettによって書かれたものです。

  1. "Blackened" (Hetfield, Ulrich, Jason Newsted) - 6:41
  2. "...And Justice for All" - 9:47
  3. "Eye of the Beholder" - 6:30
  4. "ワン" (ヘットフィールド、ウルリッヒ) - 7:26
  5. "The Shortest Straw" (Hetfield, Ulrich) - 6:36
  6. "Harvester of Sorrow" (Hetfield, Ulrich) - 5:46
  7. "The Frayed Ends of Sanity" - 7:44
  8. "To Live Is to Die" (Hetfield, Ulrich, Cliff Burton) - 9:49
  9. 「ダイアーズ・イヴ」 - 5:13


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