インキュベーション(孵化・ブローディング)とは|鳥類・爬虫類の卵と温度管理
鳥類・爬虫類の卵のインキュベーションと温度管理を分かりやすく解説。ブローディングの仕組み、性比や孵化成功の最適温度と実践ポイントを紹介。
インキュベーションまたはブロッディングとは、卵生動物(産卵動物)が卵を孵化させるために卵の上に座ること。また、良好な環境条件の下で卵の中の胚を発育させることも指す。家庭飼育や繁殖、保全活動、商業的飼育では、自然の親鳥や親個体が行う方法を真似て人工的に管理することが多く、温度・湿度・通気・卵の回転など複数の要因を適切に管理することが成功の鍵となる。
鳥類は温血動物なので、親が卵の上に座って体温で温めます。多くの鳥は腹部に羽毛のない「ブロッドパッチ(brood patch)」と呼ばれる部分を形成し、そこから直接熱を伝えて卵を温めます。爬虫類や無脊椎動物は一般に外温性(冷血)であるため、卵を暖かい場所や温度の安定した基質(砂、腐葉土、バーミキュライトなど)の中に置く必要がある。種によっては日光や地中の温度勾配を利用して孵化温度を確保することもある。時には鳥も太陽の助けを必要とすることがあり、特に巣を露出して作る種では太陽熱や巣材の発酵熱を利用する場合がある。
孵化に必要な主な要素
- 温度(Temperature):胚の発育速度と成功率に最も強く影響する要素。鳥類では種ごとに最適温度がある(例:ニワトリは概ね37.5°C前後)。爬虫類では種によっては温度が子孫の性比を決定する(温度依存性性決定:TSD)ことがあり、すべての爬虫類がTSDを示すわけではない(多くのカメ類やワニ類で顕著)。
- 湿度(Humidity):殻からの水分損失を制御するために重要。鳥類の多くは孵化期間の大半で相対湿度を50%前後に保ち、終盤(ロックダウン期)に高める(例:65%程度)ことが多い。爬虫類の柔らかい卵は基質の水分量に敏感で、乾燥や過湿で発育不良やカビ発生の原因となる。
- 回転(Turning):胚が卵殻の内側に付着するのを防ぎ、発育を均一にするために卵を定期的に回転させる必要がある。多くの家禽用インキュベーターは自動で数時間おきに回転する(目安:1日3〜6回程度)。孵化直前の数日間は回転を止める。
- 通気(Ventilation):酸素供給と二酸化炭素の排出が必要。密閉しすぎると酸欠や過剰なCO2で胚に悪影響を与える。インキュベーターや巣は適度な換気が確保されること。
- 衛生と取扱い:卵の外殻や巣・インキュベーターの清潔さは感染症予防に重要。手で触る場合は清潔な手で扱い、必要以上に殻を拭いたり洗ったりしない(天然の保護膜を傷めることがある)。
鳥類のインキュベーション(家禽を含む)
家禽類では、卵を孵化させるために卵の上に座る行為を「ブローディング」と呼ぶ。一連の卵の上に座る行動や傾向は、broodinessとも呼ばれる。商業的な肉用・採卵用改良ではブローディング性を抑える選択がなされることが多く、逆に自然繁殖や少数飼育ではブローディングの強い雌が重宝される。
代表的な管理例(目安):
- ニワトリ:温度約37.5°C、初期湿度45〜55%、孵化直前(18日目以降)は湿度を上げる(約65%)。卵は1日数回回転、孵化直前は回転停止。
- マガモ・アヒル:やや低めの温度が好まれる種もあり、湿度はやや高めに設定することが多い。
- ウズラや七面鳥など種によって最適温度・湿度は異なるため、各種のガイドラインに従う。
人工インキュベーターは温度と湿度を比較的一定に保てるため、家庭や研究で広く使われる。重要なのは温度計・湿度計を正確に設置し、頻繁に扉を開けて内部の環境を乱さないこと、卵をマークして回転方向を管理すること、定期的にキャンドリング(透光検査)して胚の発育を確認すること(例:ニワトリは7日目に一度、終盤に再確認)。
爬虫類のインキュベーション
爬虫類の卵は種により殻の硬さや基質の好み、最適温度が大きく異なる。多くの爬虫類は野外で土中や落ち葉の中に産卵し、地温や微気候を利用して孵化させる。飼育下では以下を注意する:
- 柔らかい殻の卵は乾燥に弱いため、バーミキュライトやパーライトなどの保湿基質に埋めて保湿を管理する。
- 温度が高いほど発育は速く進むが、過度の高温は奇形や死亡率の増加を招く。長期にわたる安定した温度管理が重要。
- 一部のカメ類やワニなどでは温度依存性性決定(TSD)が見られ、 incubationの温度が雄雌比に影響する(一般に種によって「高温で雌が多くなる」「中温で雄が多くなる」などのパターンがある)。しかし全ての爬虫類がTSDを有するわけではなく、ヘビの多くや一部のトカゲ科は遺伝的性決定を持つ。
観察・トラブルシューティング
- キャンドリング:透光で胚の発生を確認する。発生が止まっている卵や空卵を早めに識別し、感染拡大を防ぐ。
- 過熱・冷却の予防:停電やヒーター故障時のバックアップ対策を検討する。特に初期の胚は温度変動に弱い。
- 湿度異常:低湿度だと胚が脱水して小さくなる(孵化しにくくなる)、高湿度だと殻内のガス交換が阻害されカビや窒息の原因になる。
- 衛生管理:割れた卵や腐敗卵はすぐに取り除き、消毒する。インキュベーターは使用前後に清掃・消毒を行う。
実践的なアドバイス(趣味家向け)
- 温度と湿度の記録を付ける。小さな変化でも累積すると結果に影響する。
- 卵に鉛筆で番号と回転の印(例:AとB側)をつけ、同じ向きで戻す習慣をつける。
- インキュベーターの扉は必要以上に開けない。特に孵化直前期は内部湿度が急変しやすい。
- 情報源は種ごとに異なるため、信頼できる飼育書や専門家のガイドラインを参照する。
- 保全目的や飼育繁殖では、法律や地域の規制(採取・繁殖許可)を確認すること。
最後に、インキュベーションは単に温めるだけでなく、種の生態に即した環境管理と継続的な観察が必要なプロセスです。成功率を上げるには基礎知識の習得と、経験に基づいた細やかな管理が欠かせません。

マガモのメスが卵を抱く様子
質問と回答
Q: 潜伏とは何ですか?
A: 抱卵とは卵生動物が卵を孵化させるために卵の上に座ることで、また、良好な環境条件下で卵の中の胚が発育することを指します。
Q: なぜ鳥は卵の上に座るのですか?
A: 鳥類は温血動物なので、卵を温めるために卵の上に座ります。
Q: 爬虫類や無脊椎動物はなぜ卵を暖かい場所に置く必要があるのですか?
A: 爬虫類や無脊椎動物は冷血動物なので、卵を暖かい場所に置く必要があります。
Q: 爬虫類の性比は何によって決まりますか?
A: 爬虫類のなかには、実際の温度によって性比が決まるものもいます。
Q: 鳥類の孵化を成功させるには、一定の温度が必要ですか?
A: はい、鳥類では、孵化を成功させるために一定の特定の温度が必要な場合があります。
Q:家禽の抱卵とは何ですか?
A:家禽の場合、卵の上に座って孵化させることを「ブルッディング」と呼びます。
Q: ブルッディネスとは何ですか?
A:ブルード性とは、卵の塊の上に座ろうとする行動や傾向のことです。
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