リッチモンド(メルボルン)—ビクトリア州の郊外街:歴史・人口・見どころ
リッチモンドは、オーストラリア・ビクトリア州のメルボルンにある郊外の町です。リッチモンドは、メルボルンのビジネス街からわずか3km(2マイル)南東に位置しています。2011年の国勢調査では、リッチモンドの人口は26,121人でした。
概要と地理
リッチモンドは内側の郊外(インナーサバーブ)に分類され、ヤラ川に近接しています。市街地は住宅地、商業地区、工業跡の再開発エリアが混在しており、主要な通りとしてはSwan StreetやBridge Road、Victoria Streetがあり、これらの通り沿いにショップやレストラン、バーが集中しています。
歴史
19世紀から20世紀にかけては工業と労働者階級の住宅が並ぶ地域として発展しました。多数の倉庫や工場が建ち並び、繊維産業や製造業が地域経済を支えました。20世紀後半になると産業構造の変化に伴い一部が衰退しましたが、1990年代以降は 再開発 と ジェントリフィケーション(高級化) が進み、古い倉庫を改装した高級住宅やブティック、カフェが増えています。
住宅と再開発
古い郊外には、より高価な住宅や店舗が再建されています。このような荒廃した地域の除去は、1990年代初頭に始まりました。リッチモンドには、かつて倉庫だった富裕層向けの住宅が多くあります。また、貧しい人々のための公営住宅の高層アパートや、ヴィクトリア朝時代の長屋もあります。また、お店やレストラン、バーもたくさんあります。
再開発は街の景観や住民構成を変え、若い専門職やクリエイティブ層が流入しましたが、一方で地元の長年の住民や低所得者層の住まいの確保が課題となっています。
文化・コミュニティ
リッチモンドは多文化が共存する地区で、特にビクトリア・ストリート沿いにはベトナム人が活発に生活しているエリアがあり、ベトナム料理店やアジアン・マーケットが多く見られます。ヴィクトリア・ストリートは「リトル・サイゴン」とも呼ばれることがあり、食文化の一大拠点です。
交通
- 鉄道:リッチモンド駅は市内中心部へのアクセスが良く、多くの列車や路線に接続しています(複数の郊外路線が発着)。
- トラム:Swan StreetやBridge Road、Victoria Streetなど主要道路にはトラム路線が通っており、市内の移動が便利です。
- 道路:主要道路や幹線が利用しやすく、タクシーやライドシェアの利用も一般的です。
見どころ・ショッピング
- Bridge Road:アウトレットやブティック、靴店が集中するショッピングストリート。
- Swan Street:カフェやレストラン、ナイトライフが充実した通り。
- Victoria Street:ベトナム系飲食店や食材店が並ぶグルメ街。
- ヤラ川沿いの散策路や近隣の公園:週末の散歩やランニングに人気。
スポーツ
リッチモンドといえばオーストラリアンフットボール(AFL)の名門クラブ、Richmond Football Club(通称“Tigers”)の本拠地としても知られています。クラブのトレーニング拠点や歴史的な競技場があり、地元で熱狂的なファン文化があります。大型スポーツイベントでは周辺エリアが賑わいます。
治安と地域課題
リッチモンドは活気ある一方で、社会的な課題も抱えています。リッチモンドには、ビクトリア・ストリート沿いにベトナム人が活発に生活しているエリアがあります。また、このエリアは、路上や家の中で起こる違法薬物(特にヘロイン)の取引でもよく知られています。地域では公的機関やNPOによる支援プログラム、依存症対策、住宅政策などの取り組みが行われています。
訪れる際のポイント
- 飲食店が多く、特にヴィクトリア・ストリート周辺は食べ歩きに適しています。
- 公共交通が発達しているため、中心業務地区(CBD)からのアクセスは容易です。
- 夜間の繁華街では混雑や治安の変化があるため、周辺の状況に注意してください。
- 最新の人口や統計情報は政府発表の最新の国勢調査データを参照すると確実です。
リッチモンドは、歴史的背景と現代的な再開発、豊かな食文化やスポーツ文化が混ざり合う個性的な郊外です。観光やグルメ、ショッピングを楽しみつつ、地域が抱える社会課題にも目を向けると理解が深まります。


MCGの歩道橋から見たナイレックス・クロック
トランスポート
リッチモンドにはリッチモンド鉄道駅と呼ばれる鉄道駅があり、10本の線路と10のホームがあります。リッチモンド鉄道駅は以下の鉄道路線にあります。Alamein、Bairnsdale、Belgrave、Cranbourne、Frankston、Glen Waverley、Lilydale、Pakenham、Sandringham。
ポピュラーカルチャーにおける
リチャード・ローウェンスタイン監督、マイケル・ハッチェンス主演の1980年代のカルトパンク映画「Dogs in Space」はリッチモンドで製作されました。
ソングライターのポール・ケリーの曲「Leaps and Bounds」で、リッチモンドの「サイロの上の時計」について触れられている。その本当の名前は「Nylex Clock」。