カンカン(フレンチ・カンカン)とは:起源・歴史・特徴と代表曲ガイド
カンカン(フレンチ・カンカン)の起源・歴史、舞踊の特徴と代表曲を写真・音源でわかりやすく紹介。ムーラン・ルージュやオッフェンバックの魅力も解説。
カンカンは、コーラスラインを組んだ女性ダンサーたちがロングスカートやペチコート、黒いストッキングなどの衣装をはためかせながら高く脚を蹴り上げる、ミュージックホール/キャバレー系のダンスです。起源はおおむね1830年前後、パリのモンパルナスなど下層階級の舞踏会やダンスホールに求められ、19世紀末から20世紀初頭のベル・エポック期に大衆的な人気と舞台化が進みました。1890年代のダンサー、ラ・グリューやジェーン・アブリルなどは、ムーラン・ルージュなど有名なキャバレーに出演して高給と名声を得ており、当時のパリの娯楽文化を象徴する存在となりました。フランス第二帝政期から世紀末にかけて、多くの女性ダンサーたちがカンカンのさまざまな動きやフォーメーションを発展させていきました。
起源と歴史
カンカンはもともと民衆的な社交ダンスや舞踏会の延長として始まり、次第にプロの舞台芸術として洗練されていきました。19世紀後半にはパリのキャバレーやミュージックホールが舞台化の中心となり、振付や衣装、曲目が段階的に統一されていきます。ベル・エポックの大衆文化と観光産業の発展に伴い、カンカンは国内外の観客に知られるようになり、映画やショーで取り上げられて世界的に有名になりました。
特徴(動き・衣装・音楽)
- 動き:高いキック(ハイキック)、回転、分割(スプリット)、側転やアクロバティックなパーツを含むことが多く、脚の見せ方やスカートのはためかせ方が見せ場になります。複数人のコーラスラインによるシンクロも特徴です。
- 衣装:ロングスカートの下に重ねたペチコートやフリル、ストッキングとガーター、時に羽飾りやシンプルなコルセットを合わせ、動きで下着やペチコートを見せることが演出になります。挑発的でありながら舞台芸術としての美意識も重視されます。
- 音楽:テンポの速い2/4拍子(ガロップ系)の曲が多く、金管や打楽器のリズムが強調されます。オーケストラ編成のほかアコーディオン編成でも演奏され、リズミカルで反復の多いフレーズがダンサーの足さばきとよく合います。
代表曲ガイド
- ガロップ(オッフェンバック):ジャック・オッフェンバックのオペラ冥界のオルフェウス(原題:Orphée aux enfers)にある「ガロップ(Galop)」(通称「インフェルナル・ガロップ」)は、カンカンで最もよく演奏される曲の一つです。軽快でテンポの速いリズムが高キックの見せ場と非常によく合います。
- アレンジ曲・組曲:カンカン用に編曲された管弦楽やピアノ、アコーディオン編成のアレンジが多数存在し、舞台や映画ごとに演奏形態が変わります。映画や舞台のために新たに作曲・編曲された楽曲も多く、伝統的なガロップと並んで用いられます。
社会的な受容と影響
カンカンは当初は下層社会の遊興から出たため、性的に挑発的だとして一部で批判や規制の対象ともなりましたが、やがて上流階級や外国の観光客にも受け入れられ、人気の観光アトラクション、舞台芸術として確立しました。20世紀以降はミュージカルや映画、バラエティ番組でたびたび登場し、視覚的な派手さとエネルギーで今も世界中のショーで演じられています。
現代のカンカン
現代では伝統的な様式を守る舞台から、モダンな振付や衣装で再解釈する公演まで多様な形で上演されています。プロのダンサーによるコーラスラインだけでなく、観光ショーやテーマパーク、カバレーナイトなど多様な場で楽しまれ、文化的なアイコンとしても定着しています。
カンカンは単なる「踊り」ではなく、時代背景や衣装、美術、音楽が一体となった舞台芸術です。歴史的なルーツとともに、現代でもなお観客を魅了する表現力を持ち続けています。
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1895年のポスター
質問と回答
Q:カンカンダンスとは何ですか?
A:カンカンダンスは、ロングスカート、ペチコート、黒いストッキングを身につけた女性ダンサーのコーラスラインによって踊られるミュージックホールのダンスである。
Q:カンカンはどこで最初に踊られたのですか?
A:1830年頃、パリのモンパルナスの低俗な社交場で踊られたのが最初と言われています。
Q:1890年代に活躍した有名なカンカンダンサーは誰ですか?
A:1890年代の有名なカンカンダンサーには、ムーランルージュなどに出演して高額のギャラをもらっていたラ・グールーやジェーン・アブリルがいます。
Q:様々なカンカンの動きを開発したのは誰ですか?
A:フランス第二帝政期から世紀末にかけての女性ダンサーたちが、さまざまなカンカンの動きを開発しました。
Q:カンカンで演奏される最も一般的な曲は何ですか?
A:ジャック・オッフェンバック作曲「冥府のオルフェウス」の「ガロップ」が最もよく演奏される曲です。
Q:カンカンは映画化されたことがありますか?
A:はい、1960年にフランク・シナトラとシャーリー・マクレーンが主演し、コール・ポーターが音楽を担当した「Can Can」というアメリカ映画として映画化されています。
Q:カンカンの曲は、簡略化されたものと進化したものの違いは何ですか?
A:カンカン曲の進化形である「カンカン(冥府のオルフェウス)」はアコーディオンで演奏されますが、簡略形は特に指定はありません。
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