カノープス(星)とは|南天最亮星の距離・明るさ・物理特性を解説
南天最亮星カノープスの距離・明るさ・半径・温度など物理特性を図解でわかりやすく解説
カノープス(バイエル指定ではカリーナ座α)は、カリーナ座で最も明るい恒星であり、全天ではシリウスに次いで二番目に明るい星です。南天では最も明るく、古くから航海や方角の目印として重視されてきました(名前はギリシャ神話の舵手カノープスに由来します)。
基本データと見かけの明るさ
- 見かけの等級(視等級):約 -0.72等(地上から観測される明るさ)
- スペクトル型:A9 II(光度階級IIの明るい巨星/低光度超巨星に分類されることが多い)
- 全天での順位:シリウスに次ぐ二番目に明るい恒星。南緯の高い場所では特に目立つ。
- 可視範囲:北緯およそ約37°付近まで観察可能(それより北では地平線下に沈む)
距離と視差測定の歴史
カノープスは「光度の低い超巨星(low-luminosity supergiant)」に分類されることがあり、同じスペクトル型の星でも本質的な光度(絶対光度)が広くばらつくため、距離を推定するのが難しい星でした。歴史的には距離の推定は96光年から1200光年と大きく不確かでしたが、1990年代に打ち上げられたヒッパルコス衛星による視差測定で、カノープスの距離はおよそ310光年(約95–96パーセク)であることが確定しました(衛星測定以前は見かけの明るさからの推定に大きな不確実性がありました)。その後、太陽の近傍の恒星との比較や、現代の観測衛星でも測定が続けられていますが、非常に明るい恒星は衛星望遠鏡で飽和しやすく、測定には注意を要します。
物理特性(光度・温度・サイズ)
- 光度:およそ 13,600倍の太陽光度(L☉)に相当すると推定されています。
- 表面温度:約7350±30 K(A型に近い温度領域で白っぽい色を示します)。
- 半径・直径:半径は約71 R☉、直径では約142 R☉(約0.66天文単位)に相当します。もしカノープスを太陽系の中心に置いたとすると、その表面は太陽から見て水星軌道の半径(約0.39 AU)の約3/4〜4/5に達する大きさになります。
- 角直径:地球から見ると非常に小さく、角直径は約0.006秒程度しかありません。
以上の値から、もしカノープスが地球から1天文単位の距離にあったなら、その見かけの等級は約 -37等 に達すると計算されます。しかし実際にはカノープスは約310光年と遠いため、視等級はシリウスより暗く見えます(シリウスはわずか8.6光年しか離れていません)。
進化段階と分類上の注意点
カノープスは、A型に近い温度を持つ明るい巨星/低光度超巨星で、赤色巨星へ進化する過程に入る直前か、あるいは比較的安定した段階にある可能性があります。こうした段階の星は内部構造や外層の物理が複雑なため、同じスペクトル型でも本来の光度が異なることが距離推定を難しくしてきました。
X線放射と磁気活動
カノープスは強力なX線源でもあり、これは光球の外側に存在するコロナが磁気的に加熱されているためと考えられています。観測ではコロナの温度が数百万〜約一千五百万K程度にまで達していることが示唆され、恒星風や磁場に起因する高温プラズマがX線を放射していると解釈されます。
運動群と起源
カノープスはその位置と運動から、周囲の若い恒星群(例えばさそり座・ケンタウルス座付近の恒星群)と関係があるのではないかと指摘されることがあります。こうした関連性があるかどうかは現在も研究が続いており、同じ起源を持つ恒星群への所属が示唆される場合もありますが、はっきりとは断定されていません。
観察のポイント(まとめ)
- 全天で二番目に明るい星で、南天では最も明るい存在。
- 視等級は約-0.72等で、北緯約37°まで観察可能。
- 距離はヒッパルコスで確定した約310光年(約95–96 pc)。
- 物理的には太陽の数万倍ではなく、約13,600 L☉、半径は約71 R☉、表面温度は約7,350 K。
カノープスは見かけの明るさと進化段階の関係が複雑で、恒星進化の理解にとって興味深い対象です。近年の精密測定(ヒッパルコスやその後の宇宙望遠鏡)により距離や物理量の理解が進んでいますが、非常に明るい恒星の測定には依然として注意が必要で、今後の観測でさらに詳しい姿が明らかになることが期待されています。
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カノープスの位置
質問と回答
Q:カノープスのバイエル指定は?
A:カノープスのベイヤー記号は "りゅうこつ座α星"。
Q:カノープスは地球からどれくらい離れているの?
A: カノープスは太陽系から310光年(96パーセク)離れています。
Q: なぜ、1990年代以前はカノープスの距離を測るのが難しかったのですか?
A: 1990年代以前にカノープスの距離を測ることが難しかったのは、カノープスが「光度の低い超巨星」であり、そのような星は珍しく、あまり理解されていなかったからです。そのため、カノープスの本質的な明るさ、つまりカノープスがどれくらいの距離にあるのかを知ることは困難でした。この問題を解決するためには、直接測定するしかなかったのです。
Q: カノープスは太陽の何倍の明るさなのでしょうか?
A:カノープスは、太陽の13,600倍の明るさを持っています。
Q:地球から1天文単位の距離に置くと、見かけの大きさはどのくらいになるか?
A:地球から1天文単位の距離にある場合、見かけの光度は-37。
Q: 表面温度は?
A:カノープスの表面温度は、7350±30Kと測定されています。
Q:どのような団体に属しているのですか?
A:カノープスは、さそり座・ケンタウルス座連合という、同じような起源を持つ星の集まりに属しています。
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