冥王星は太陽系の矮小惑星で、正式名称は134340冥王星です。冥王星は太陽の周りを回る天体の中でサイズとしては上位に入り、かつては惑星と分類されていましたが、現在はカイパーベルトに属する代表的な矮小惑星の一つとされています(カイパーベルトは外縁天体群の領域です)。

定義と分類

2006年8月24日、国際天文学連合(IAU)は「惑星」の定義を初めて明文化しました。この定義により、冥王星は「惑星」から外れ、エリスやセレスとともに「矮小惑星(矮小惑星 = dwarf planet)」に分類されました。IAUの定義では、惑星は(1)太陽の周りを公転し、(2)自己重力でほぼ球形を保ち、(3)軌道周辺を掃き清めている、という3つの条件を満たす必要があります。冥王星は(1)(2)は満たしますが、(3)の「軌道周辺の掃き清め」が不十分であると判断されました。その結果、冥王星は2006年に小惑星(マイナー惑星)のリストに番号付きで登録され、134340という番号が与えられました。

物理的特徴

冥王星は主に岩石と氷で構成されており、平均密度は約1.85〜1.9 g/cm³で、おおむね岩石と氷の混合体と考えられています。質量は地球の衛星であるの約5分の1(約0.18倍)で、体積は月の約3分の1程度です。平均半径は約1,188 km、表面重力は地球よりずっと小さいため、保持できる大気は非常に薄いものです。

表面温度は非常に低く、典型的には約−220〜−240℃(約30〜50 K)程度とされます。表面には窒素、メタン、一酸化炭素などの凍った氷が広がり、季節や公転位置によって大気が蒸発・凝縮して変化します。2015年の探査で複雑な地形(氷の平原、山、断層、成層のある大気や薄いヘイズ層など)が確認され、地質学的活動の痕跡も示されました。

軌道と公転

冥王星の軌道は非常に偏心率が大きく、傾斜角も大きいため「変則的」と表現されます。公転軌道は太陽から約30〜49AU(約44〜74億km)の範囲を移動し、そのため海王星よりも太陽に近づく期間が存在します(ただし軌道の位相のため衝突や軌道交差は起きません)。公転周期は約248年、地球から見た見かけの動きや季節変化も長い時間スケールで現れます。

衛星と連星系の可能性

冥王星には複数の衛星が見つかっています。最大の衛星はチャロンで、1978年に発見されました。チャロンとの系は質量比が比較的大きく、二体の重心(バリセンター)が両天体の外部に位置するため、しばしば「連星系」と呼ばれます(これは両天体が互いの共通重心の周りを回っているという意味です)。IAUは現時点で連星矮小惑星の定義を正式には導入しておらず、チャロンは冥王星の「月」として分類されています(中心がそれらの中にないため、という点に関しては研究と議論が続いています)。

チャロンのほか、2005年に発見されたニクスヒドラ、2011年に発見されたケルベロス、2012年に発見されたスタイックスの合計5つの公認の衛星が知られています。これらの小さな衛星の起源は、巨大衝突による破片からの再形成であるという説が有力です。

発見と歴史的経緯

冥王星は1930年に米国の天文学者クライド・トンボー(Clyde Tombaugh)によって発見されました。発見以来長らく「第9の惑星」として教科書に載せられていましたが、1970年代以降に冥王星の質量やサイズが小さいことが明らかになり、2000年代に入ってからはエリスのような外縁天体の発見が相次いだことで惑星の定義を見直す動きが高まりました。散りばめられた円盤状の天体「エリス」など、冥王星のような天体が見つかったことが、最終的な再分類のきっかけの一つとなりました。

2006年のIAU決定以降、冥王星の分類については学会内外で賛否両論が続いており、現在でも「冥王星を惑星とみなすべきだ」と主張する研究者や一般の意見が存在します。

探査

2015年7月、NASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」が冥王星に最接近し、観測と撮影を行いました。これにより冥王星とその衛星の高解像度画像やスペクトルデータが得られ、表面の多様な地形、組成差、薄い大気の存在、氷の流動や最近の地質活動を示す証拠など、多くの新事実が明らかになりました。ニュー・ホライズンズのデータは現在も解析が続いており、冥王星に関する理解は急速に深まっています。

まとめ(要点)

  • 分類:かつては第9惑星とされたが、現在は矮小惑星(134340冥王星)。
  • 構成:岩石と氷が主成分で、平均密度は約1.9 g/cm³。
  • サイズ:質量は月の約1/5、体積は月の約1/3。
  • 軌道:公転半径は約30〜49 AU、軌道は傾斜・偏心が大きい。
  • 衛星:チャロンを含む少なくとも5つの衛星を持つ(ニクス、ヒドラ、ケルベロス、スタイックス)。
  • 探査:2015年のニュー・ホライズンズ探査で詳細な観測が行われ、多くの新知見が得られた。